もくじ
サン・マルコ美術館は、サン・マルコ修道院の一部です。美術館の他にサン・マルコ教会、そのすぐ近くにあったサン・マルコ庭園をご紹介します。
サン・マルコ美術館について Museo di San Marco
ベアート・アンジェリコ*の数々のフレスコ画で知られる美術館です。
(*日本ではフラ・アンジェリコとしても知られます。1982年に列福されたので修行僧を意味する”フラ”から、正式に福者の”ベアート”になりました。)
もともと、ベネディクト派シルヴェストリーノの修道院だったところが1400年代前半にドメニコ会の手に渡り、ミケロッツォの設計で建て直されたのが現在の建物です。建て直しと同時に、内部に装飾画を施したのが、ベアート・アンジェリコと、その弟子ベノッツォ・ゴッツォリ。
2階(イタリア式一階)は修行僧が眠り、祈りを捧げるチェッラと呼ばれる小さな部屋が並びます。一つ一つの部屋の内部に祈りの為のフレスコ画が施されています。ベアート・アンジェリコは実際に祈りを捧げながらこれらの絵を描きました。左側の廊下を突き当たりまで行くと、フラ・サヴォナローラの使っていた部屋と小礼拝堂があります。
地上階には来客用の部屋や、旧食堂があり、フィレンツェの他の教会にあったベアート・アンジェリコの板絵コレクション等も合わせて展示されています。他にも、フラ・バルトロメーオ、アルベルティネッリ、フラ・パオリーノなど、サン・マルコ派と呼ばれた人たちの作品、ギルランダーイオの最後の晩餐もあります。
美術館出口付近には、1800年代後半に区画整備により失われてしまったフィレンツェの旧市街の面影を残す建物の一部や、紋章、柱などが保存されています。
サン・マルコ美術館内部
サン・マルコ美術館内
地上階の入り口近くの部屋。ここには多くのベアート・アンジェリコの代表作が展示されています。十字架降下、アンナレーナの祭壇画、サン・マルコの祭壇画、リナイオーリのタベルナーコロなど多数。
ベアート・アンジェリコ キリストの磔刑を崇拝する聖ドメニコ
美術館を入ってすぐの中庭をまっすぐ進み、突き当たりの壁にあります。ここでは鮮やかで深い色のラピスラズリの青が使われています。(写真ではくすんでますが、本物は鮮やかです)キリストの足元にいるのは聖ドメニコ。
べアート・アンジェリコ 受胎告知
階段を上がって、はっと息を飲むような美しさを漂わせます。べアート・アンジェリコの代表作、受胎告知。画像とは違って本物の色や物質感は格別ですので、是非現地でご覧いただきたい作品のひとつ。
べアート・アンジェリコ 影の聖母マリア
狭い廊下の壁にあります。左側に窓があるので、その光を受けて影ができているところを描いています。
祈りの部屋チェッラ
小さな祈りの為の部屋はチェッラと呼ばれ、一つ一つに違う絵が描かれています。これはピエタの図。キリストのまわりには、受難のシンボル、ユダの接吻、むち打ちの時に縛り付けられた柱、ロンギヌスの矢、などが描きこまれています。
チェッラが並ぶ廊下。
ミケロッツォ設計の図書館
教会の三廊式の身廊を模したルネサンス様式の空間。この部屋のオリジナルの壁の色は緑色、床もセルペンティーノと呼ばれる緑色の蛇紋岩でした。この図書館で、初めて読書をする為の場所が設けられました。
老コジモの個人礼拝堂
階段を登って右側の一番奥にあります。ベアート・アンジェリコ、ベノッツォゴッゾリと協力者による東方三博士の礼拝。中央下にあるタベルナーコロと呼ばれる窪みは、ここが礼拝堂として使われたと考えられる要素の一つです。
ジローラモ・サヴォナローラの肖像 -フラ・バルトロメオ
サヴォナローラと同じくドメニコ会の修道士、彼の追随者であるフラ・バルトロメオによる肖像画。1400年代終わりにフィレンツェに大きな影響を与えたサヴォナローラは、最後は教皇に破門されヴェッキオ宮殿のアルノルフォの塔に幽閉された後、シニョリーア広場で生きたまま焼かれて亡くなりました。この肖像画はその亡くなった直後の1498-1499年頃に描かれました。
最後の晩餐(サン・マルコ) -ドメニコ・ギルランダイオ
出口方面へ行く途中に、この壁画があります。ギルランダイオはこれとほぼ同時期、構図などもとてもよく似た最後の晩餐をオンニッサンティ教会で製作しました。
昔のフィレンツェ
出口の直前の廊下と部屋に、19世紀終わりにあった都市開発時に撤去された古いフィレンツェの断片を見る事ができます。
サン・マルコ教会 Basilica di San Marco
もともと現在のサン・マルコ美術館と合わせてサン・マルコ修道院を構成してた教会で、今も教会として使われています。
ミサの最中などでなければ、信者でなくとも見学ができます。
サン・マルコ教会のファサード
教会中央にある大きな扉の右、写真でバスの屋根で隠れている場所にサン・マルコ美術館の入口があります。
サン・マルコ教会内部
サン・マルコ教会内部 隠れていたフレスコ画
祭壇画の後ろに残っているフレスコ画が修復後に見学できるようになりました。
サルヴィアーティ礼拝堂
1500年代、パッシニャーノの作品。ミケランジェロの影響が登場人物のポーズに見られます。
聖具室
左奥にありますが、普段は非公開。
サン・マルコ庭園 Giardino di San Marco
教会の外のサン・マルコ広場の西側の壁に、このような石碑があります。メディチ家が所有していた現存しないサン・マルコ庭園を指し示しています。石碑の内容は↓
『15世期半ば、アラッツィ通りとサルヴェストリーナ通りの間にサン・マルコ庭園が花開いた。ここでロレンツォ・デ・メーディチが主宰し、マエストロのベルトルド・ディ・ジョヴァンニが若きミケランジェロと歴史に残るその他の芸術家たちの精神を育てた。後世の人たちはこの庭園をヨーロッパでの最初の美術館、最初の美術アカデミアと認めた。』
サン・マルコ美術館 インフォメーション
-所在地
Piazza San Marco 1, Firenze
-開館時間
8:15-13:50
第1,3,5日曜日、第2,4日曜日の後の月曜日は休館日
-入館料
大人: 8ユーロ
17歳以下: 無料
-所要時間
1〜2時間
-サン・マルコ美術館オフィシャルページ
–Museo di San Marco – Polo Museale della Toscana–
-サン・マルコ美術館チケット予約購入公式ページ
–The ticketing officiale website for state florentine museums–
(予約しないでも入場できます)