前のブログ記事からの続きです。続きというか、時列的には前です。
旅の出発点が真実の口に行ってみよう!で、その周辺も回ることにしてこちら、
サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ聖堂
にちょっと遠回りして寄ることにしたのでした。
こちらは、ローマ・カトリック教会の4大聖堂(バジリカ)と呼ばれる重要な教会の一つ。サン・ピエトロ大聖堂が一番有名ですが、こちらはアヴィニョンの捕囚があるまでは約1000年間教皇が住んだパラッツォ・デル・ラテラーノがあり、より歴史のある教会です。
歩くのが好きな人(私)は余裕で苦しまずにテルミニ駅から来れます。歩くのがおっくうな人はバスとかタクシーがいいかも。微妙な距離なので、グーグルマップとかでルート検索すると、バスの待ち時間とかを考えれば歩いた方がいい、という感じです。
駅に近いもう一つの4大聖堂、サンタ・マリア・マッジョーレ教会からひたすらメルラーナ通りをまっすぐ進み、最後はちょっと上り坂。
坂を上り切って見えるのが、このオベリスク。
現存するものでは一番大きいものなんだそうです。紀元前15世紀にトトメス3世と4世ががカルナックのアーモン神殿に建てさせたものを、ローマ皇帝コスタンティウス2世が357年にチルコマッシモの中心に据えたのが、また1587年になって3つに折れてるのが再発見されて、翌年にシスト5世がここサン・ジョヴァンニ広場に持って来させた、のだそうです。ともかく、古いのはよく分かりますね。
拡大。
こういうヒエログリフ、さらっと読める人とかいますかね?読めたら楽しいかも。覚えるのが大変そう。
その周辺には、アウレリアヌスの城壁跡とかがちょこちょこあったりして、ローマでの位置関係を徒歩の距離感と方向感覚でなんとなくインプット。今はもうないものをイメージするのってちょっと苦労するけれども分かると全体が把握しやすいです。
これが、サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ聖堂のファサード。
ちなみに、こっちはアッシジ(ポルツィウンコラ)のサンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会。
デザインは違うものの、受ける印象が似ていると思うんですけれども、どうでしょうね?
サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノの方は1732年アレッサンドロ・ガリレーイ設計。
サンタ・マリア・デリ・アンジェリは、1930年チェーザレ・バッザーニ。ローマバロックを参考にして設計。
ちなみに、アッシジには今年の夏に行ったばかり。教会の中に気を取られて、ファサードは「大きいなー」で素通りしてました。が、このチェーザレ・バッザーニ!!
誰だよそれ?みたいな名前の人ですけれども、フィレンツェの国立中央図書館を設計した人です。アッシジでその作品に出会ってたなんて、今になって気づきました。
ちなみに、私は国立中央図書館のコレクションの元をつくったアントーニオ・マリャベーキさんの顔が好きです。どんな作品になっても変な顔。ウフィツィ美術館にもレリーフがあります。新しい展示の部屋もマリャベーキの間と呼ばれていますし、隠れ有名人。
サンタ・マリア・デリ・アンジェリ聖堂のお話はこちらです。
話は戻って、同じ印象を受けるのは、もしかしたら荷物検査のせいかもしれません。
サン・ピエトロはもちろんですが、サンタ・マリア・マッジョーレも、サンタ・マリア・デリ・アンジェリも、ここも、教皇の聖堂Basilica Papaleというくくりに入りますので、警備のやり方が同じなのかもしれません。教会のファサードからかなり距離をおいて大きな柵をつくって、その柵の中に入る前に軍隊の人に荷物を見せるなり、X線検査機を通すなりします。
4大聖堂のうち、あともう一つまだ行ったことのないサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ聖堂もこうなってるのかな?というのが気になります。そのうち行きます。
中に入ります。
内部もすごいんですけれども、すっ飛ばして、一番好きな場所だけご紹介!
キオストロ。中庭の回廊です。
ここは有料で4ユーロ必要ですが、見逃しちゃもったいないです。
コズマさんってこういう装飾をする人が有名になって、それからコズマーティとかコズマテスコとか形容詞になっちゃっている、12から13世紀にかけて大流行したモザイク職人たちの仕事です。
色々な教会の床によく見られる特徴的な模様が、前回のブログテーマの真実の口のあるサンタ・マリア・イン・コズメーディン教会でも見られて、
この特徴的な丸と、その周りの細かいモザイク。
フィレンツェにもいくつかあります。サン・ミニアート・アルモンテ教会のポルトガル枢機卿の礼拝堂の床が有名。そちらはルネサンス時代のコズマテスコ復刻版。
あと、好きなのが、フィレンツェ大聖堂の旧ファサードのモザイク。
未完に終わりましたし、現在は断片しか残っていませんが、もし完成していたならば・・・と妄想。キラキラですよ!
こっちは、サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノの断片の方。
これは、聖堂内部の真ん中にあった”マッダレーナの主祭壇“の断片です。
ボニファーチョ(ボニファティウス)8世の時代に彫刻家デオダート・ディ・コズマが制作しましたが、古くなってボッロミーニの計画が採用された17世紀の改装で解体されてしまいました。
その断片が回廊に展示してあります。
ちょっとボロっとしてますが、近くで見ると今でも美しいモザイクがキラキラしています。
ちょっと離れた場所にも同じくマッダレーナの祭壇の断片。
ボニファーチョ8世の肖像を制作した彫刻家としても知られるアルノルフォ・ディ・カンビオの作品もありました。
横たわっている姿なのに服の裾の重力のベクトルが水平!
思わず服の襞を観察してしまいますね。批判している訳ではないんです、むしろ大好きです。
13世紀に亡くなったリッカルド・アンニバルニさんの霊廟の断片です。
ローマの有名観光地もいいですけれども、ちょっと離れてこんな落ち着いた場所でゆっくり鑑賞するのもいいですね。