もくじ
こんにちは。
みなさんは、イタリアで役所への手続きなどをした事がありますでしょうか?
留学生なんかは最初の関門がクエストゥーラ(警察署)での滞在許可証だったりします。
イタリア語なんてわかんねぇーよこら!って時の手続きなので、結構大変だったりするんですけど、まあ、そういう人を扱い慣れているクエストゥーラなので、なんだかんだ申請は通ります。
で、その後イタリアに住民登録をして仕事とかすると、それを追う様にして各種手続きが必要になりますので、面倒でもイタリアンな手続きに慣れてきます。
予告なしの規則改正とか役所のたらい回しとか、電話をかけまくってもどの人も正解を知らないとかはデフォルトです。
お茶の子さいさい。
そんな、役所仕事にも慣れている外国人、いえ、ネイティヴイタリア人も驚愕した役所手続きを今回お話します。
ほんとこんな情報役に立たないけれども。
こんな情報が一番役に立ったのは申請手続き前の私たち申請者ですわ。
(タイムマシーン欲しい)
トスカーナ州、観光業補助金申請
コロナ氏が世界を圧巻したおかげで、いろんな業種が割りをくらってる現在、観光地においての観光業への打撃は計り知れません。
数ヶ月は持ち堪えられても長期化で深刻になるにつれ、こういった補助金は重要です。
ちなみに補助金は、Partita IVAという納税者番号が対象者です。これを持っていない脱税万歳の人たちには国や自治体からの補助は出ません。(年に5000ユーロ以下の収入だと納税者番号を持たなくてもOK。その場合そもそもの収入が低いのでやはり対象外。)
で、今回のはトスカーナ州の観光業〜旅行会社、ガイド、タクシー、NCC運転手付きの専用車、観光バス、など業種別登録が指定のカテゴリーに入っている人向け。
詳細が知らされたのは10月2日、申請日は10月8日。
まずここで、問題発生。
申請にはデジタル署名が必須との表記!
デジタル署名取得に走る!
土日を挟むので4日営業日しかない間に、トスカーナの全申請希望者、大慌てでデジタル署名取得に走る!
そもそも、デジタル署名がなんぞやなど分かる人はガイド業ではほとんどいなかったのではないかと思います。
電子署名とデジタル署名って、違うものなんですね。
今回私も初めて知りましたよ。
電子署名だと無料のもあるし登録も簡単(使った事があって、本当に簡単だった)なんですけど、
デジタル署名の方だと本人確認をしてから初めて利用できるので、その本人確認が大勢のガイドやこの業種の人たちの予約でパンパン。実質一般的な方法での取得が不可能になってました。
なので、Spidっていう別の本人確認システムを使ってオンラインで手続きをするという商品を扱っているところでデジタル署名を取得しました。
幸い私は既にSpidを持っていましたが、持ってない人はデジタル署名の本人確認のためのSpidの本人確認の手続きをするという回りくどいやり方です。
(デジタル署名には、スマートカードや保険カードを使う方法やUSBキーやら、かなり種類があり値段もまちまちなので、ややこしい説明は割愛します)
私の取得したデジタル署名は、PCにアプリをインストール、同時にスマホにもワンタイムパスワード生成用のアプリをインストールして使います。
設定がセキュリティーでガチガチなので必要なPINコードが書いてあるpdfファイルを開くのにsmsで送られてくるパスワードが必要だったり、一回しか送られてこないメールのリンクを使わなきゃいけなかったり、、ちゃんとやった設定のはずなのにアプリが固まったままでサポートデスクに電話したたり、、、
既にこの時点で申請面倒臭い感80%。
申請日先送りの知らせは前日。
で、いよいよ明日が申請日!という時になって、申請日が公式に先送りになったとの連絡がありました。
これは多くの個人からの抗議や、特にガイド協会(ネット上だけの怪しげな協会じゃなくて、ちゃんと国に登録されてる正式なやつ)からの働きかけが反映された形です。
4日間でデジタル署名を用意できなかった人が大勢いたのと、発表されていた申請用紙の雛形にどう考えても不備と思われる点があったからです。
申請用紙の内容(不備多し)
物好きな人は読んでみてください。Regione Toscana – Atti Dei Dirigenti(リンク切れ)
(ページ内のリンク、Allegato 1 と Allegato 2 のところ)
もっと物好きな人はこちらの若干の変更が加えられたものもどうぞ↓
Facsimile domanda Filiera Turismo
申請日までに全部精読したのですが、ガイドの区分とは違う選択肢が並んでるんですね。
例えば、上の2つ目のリンクの4ページ目、ここ↓小さい四角の印を当てはまる場合はチェック。
一番下の行のrating di legalità??!!は?とググると、年間収益が2ミリオン以上で私の区分では登録できない商工会議所に2年以上の記録…etc. 関係がなさすぎる。
その上の呪文みたいな数字入りの法律は、税金をしっかり支払ってるかどうかっていう事らしい(経済学専攻だった友人ガイド調べ)ので、INPSっていう保険公社のサイトで自分の納税しっかりしてます証明書Durcなるものをダウンロード。これを申請時に添付しました。(要らなかったかもしれないけど念のため)もちろんDurc自体ダウンロードも意味不明な場所からでしかできない仕様。
INPSログインは、4月ごろにあった他の助成金申請手続きで必要だったので、今回これでタイムロスした人はいないはず。
他にもガイドとしてPartita IVA納税者番号を開いた時の証明書など、保管しておいてよかったけど今まで一度も使った事がない書類の提出が求められていました。
これ以上細かいことを書き出しても仕方がないのですが、ともかく、ひとつひとつの項目が会計士さんでも迷うような申請書だったのでした。
そもそも、そんな証明書を求めるもなにも、行政の方でアクセスできる情報やんけ、と申請者は思う。そっちで分かることを何故申請者がわざわざ証明書を付けにゃあならん。
Click Day!! ✅
上記までの準備を、きっちりと整え、さあ、決戦の日、10月15日午前9時。
このページをトスカーナ全土で、申請者が全員一斉にクリック!!!
サーバー!!パンパン!!!!!
(当たり前…)
ページが開けない、表示までに異常に時間がかかる、システムエラー、アクセス不可、続出。
なんでこんなことになったのか、理由は明白。
「財源に限りあり、それがなくなり次第、申請受付終了」早いもの勝ち!というものだったからです。
そりゃ、財源が尽きる前にとなるべく早く手続きしようとしますよね。
私はこの日のこの時間、PC前に貼り付いていたので分かりませんが、タクシー運転手も一緒の申請だったので、街からタクシーが消えていたのではないかと思っています。
あとですね、本当になっていない申請フォームで、例えばこれ↓
Codice Fiscale 税務コードを入力するようにという表記なのに、ここに本当に税務コードを入れるとエラーになります。
なので、ここは要求されてもいないPartita IVA納税ナンバーを入れます。(私の実際のナンバーが入ってますが、このサイトのフッターにも表記していますように公表して大丈夫なものです)
なんやね〜ん!
しかも、この先もエラー続きだったので結局下の方に「Se il sistema automatico non è in grado di recuperare i dati da infoCamere, può inserirli manualmente cliccando su QUESTO LINK.(もし自動システムがinfoCamereからデータを取得できない場合は、このリンクをクリックすると手動で入力できます)」と書いてある、ちっちゃい文字のリンクよりマニュアルモードで先に進みました。
(マニュアルモードだと身分証明書の添付が別に必要で一手間増える。)
あと、こちらはその先の入力事項、仕事をしている住所を記入するべきところです。↓
上から順に「市 Comune」「通り Via」「郵便番号 Cap」「県 Provincia」の欄がありますが、
普通に記入していくと、どうしても「県Provincia」が灰色のままで、クリックしても記入ができません。
そのまま他を全て記入してページの記述を保存しようとしても、上のスクリーンショットショットのようなエラーがでます。「必須記入事項です」と。
ここで、つまずいた人も多かったようです。
同時に申請をしいていた仲間と連絡を取り合ったところ、一人がこの問題を解決。「市Comune」にFirenzeと記入して、そのまま1分ほど放置すると、「県」のところも自動入力がされるというもの。
1分の待ち時間…さすがにそれはないよな、と思いますがこれもサーバー混雑が原因だった模様です。
あと、去年の5〜8月までの収入と今年の同じ時期の収入の差の20%が補助されるので、それを正確に記入したら、自動計算がざっくりで1000ユーロごとの支給額の段階に変換されました。私の場合は、わずか100ユーロちょっとの差で1000ユーロ多くもらえるはずだったのに、、という支給額をケチる罠に嵌ってます。
何故だかこういう方面での設定はしっかりとしている。
(申請中に慌ててトスカーナ州の担当にメールしたら、「そういう計算です」とそっけない返答が2時間後!にありました)
あと、画面も分かりにくい。
申請用紙は一枚ではなくて合計8枚あるんですけど、全部記入するなりして保存ボタンを押さなくてはいけません。
で、どこに8枚の申請用紙があるなんてこのページから分かります??
普通、最初の用紙を保存し終わったら、次の用紙が自動的に出てきそうなもんなのですが、保存が終わっても保存した用紙しか表示されないんですね。
サーバーの状態も悪いので保存も上手くいかないし、表示もままならず何回もリロードを繰り替えして、元のページに戻るしどうしたものかと思っていたら、
たまたまマウスがとあるボタンの上を通りましたよ…ああああ、ここ!↓
そこに隠れておいででしたか…。
完全なるシステムエラー
上記の申請書記入だけに何時間費やしたか、9時に始めて12時45分になってました。
ようやく内容もプレビューで再チェックして、これでよし!記入終了ボタンだ!!!
(右の緑マークが終了ボタン↓)
そして、次に来るべきは、全ての記入を終えた申請書のダウンロードページ。
記入済みの申請書を一旦ローカルにダウンロードし、その上にデジタル署名、そのデジタル署名済みの申請書を改めてシステムにアップロードして申請完了!
、になるはずが、
なぜか、緑の終了ボタンを押しただけで、まだデジタル署名をしていないのに「申請完了しました」というメールが届いたぞ。
おかしい。
勝手に〆られている確認画面で、改めて申請提出ボタンを押すと、
“プロジェクトは完了しています” ??!!
デジタル署名なしの申請書だと、絶対書類不備で落とされるに決まっている。
さあ、こんな時は、悪あがきをするしかない。ここはイタリアなんですよ。
メール出しまくり、電話かけまくり♪ 関係なさそうな役所窓口にも押しかけの電話!笑
メールはシステムサポートと申請記入についての問い合わせ用と2種類、それと申請画面から出てくるアシスタント機能。
アシスタント機能にはチャットもあったけれども、もちろんオペレーターの数が足りないらしくビジー状態。
電話はとにかくかけまくりましたが、数々の役所の部門たらい回しの末、電話対応はないらしい事が分かりました。
(「どうやってこの電話番号を知りました?」と相手に聞かれる番号にもかけました。)
できる事は全てやり、友達が.p7m形式のデジタル署名が白紙でしか見えないーとか悶々としてるのを一緒に解決して、、待つ事2時間、
システムサポートからの返信!!!
「デジタル署名をする前の状態に戻しました。これで申請を確実に進められます」
2時間待ちは長いんですけれども、これでも恐らく早い方だったと思います。
というのも、別件で既に問い合わせメール→返答→そこにもう一回質問、という形だったので、早めにメールを読んでもらえたのではないかと、。
アシスタント機能の方から送ったメールに対しては、翌日の返答でした。
そんなこんなで、申請書提出完了は15時ちょっと前、約6時間の戦いでした♪
申請の費用
デジタル署名 €36.60
PEC €6.70
収入印紙 €16.00
合計 €59.30
PECは書留郵便の電子版で、これも申請に必要だけど持っていなかったので購入しています。
そもそもトスカーナ州との連絡に無料で使えるPEC、”apaci”というものがあるのに、ウェブメールのようにサイトにアクセスしてでないと使えず、メールアドレスが発行されないので、わざわざお金を払ってPECを購入せねばなりませんでした。この辺りも不備な気がします。
デジタル署名は3年間、PECは1年間使えるのだとしても、なんなんでしょう、、
ちゃんと補助金は振り込まれるのかどうかは未だ不明。
振り込みがなかったら、単なる無駄な出費です。
なんとも、今までで最強レベルの申請騒ぎでした!
またイタリアでの生存能力が高まったのかしら?これ???
以上です。
結果
めでたく補助金、振り込まれました!
つっこみどころの多い申請手続きでしたが、結果発表もなかなかのものでした。
全申請者の受理リストと不受理リストが、名前と補助金の額と住所が全部オンラインで誰でも閲覧、ダウンロードできる状態。
トスカーナ州、ねえ、プライバシーって言葉、知ってるのかなー?
補助金額から昨年の対象時期の収入がおおよそ計算できてしまうし、
住所って、事業者はオフィスの場所を公にする必要があるけど、ガイドは個人でオフィス持ってないからみなさん本当の自宅ですよ。
この申請の他にも夏にあった別件補助金€462,10の発表も同時期にあり、そっちの結果発表には税務コードが表記。この番号からは年齢も分かります。
付け加えて、トスカーナ州が出している地域別のガイドリストには、電話番号とメールアドレスも出ています。
これらの情報を全部集めると、あら素敵!わー!
個人情報ダダ漏れすぎるトスカーナ州。
(ガイドリストのリンクは付けました。これは本人の同意があって公表されているものなので。それ以外は秘密。)
補助金についてはこのトスカーナ州のものの他に前述のINPSから直接のものや、Agenzia delle Entrate(国税庁みたいなん)で申請するもの、Mibact(文化省)からのもの、ばらばらにあります。
ぼーっとしてると申請を逃してしまいそうです。こえー。