日本に行く予定があえなくキャンセルになってしまった2020年、長い夏休みになるはずだったのに気付いたら終わりそうだったので、ぎりぎり南イタリア旅行の計画を立てました。
とりあえずバーリまでの電車を手配して、まあその先は適当に考えようと。ゆっくり海にでも行こうと、とかのんびりバカンスをイメージした訳です。
ところが実際に行ったのは、
バーリ→アルベロベッロ→アックアヴィーヴァ・アッレ・フォンティ→マテーラ→レッチェ→ポリニャーノ・ア・マーレ の合計6箇所。
合計5日間の日程の中、そもそも初日と最終日はフィレンツェから/まで の移動があるので、丸一日の滞在は3日間なのに、いそいそせわしなく移動する旅になってしまいました。
まあ、娘と二人の旅行だったのでそれで済んだけれども、多分一人旅だともっと激しいことになっていたのは間違いありません。
もくじ
マテーラ
行った中で特に計画が甘かったのがですね、マテーラでした。
事前に計画を立てたものの、徒歩での移動時間やらを舐めてましたわ。
街のアップダウンが多いし、目の前に見えている目的の教会にまっすぐ進むと到着できないとか、そもそも見どころが多すぎるんじゃ?
一応インターネットでざっと調べて目的地をピックアップしていたので、最初にその一個目、サンタ・マリア・デ・イドゥリス / サン・ジョヴァンニ・イン・モンテッローネ教会へ。(Chiese Rupestri di S.Maria Idris e S.Giovanni in Monterrone二つの教会が内部でくっついています)
そこで受付の人に聞いたら、予定していたところよりも色々面白そうなところがあるが分かり、結局「全部行きます!」と宣言して全ての共通券を購入。
6箇所の共通券!!
まあ、結論から言うとこのチケット、半分しか使えませんでした…。
期限切れはない、との事ですし、また行くしかないな。
教会内は写真撮影禁止ですので、内部の画像や動画(とっても綺麗)はこちらの公式ページからご覧ください。
→ OLTRE L’ARTE
見学した中では教会もいいのですが、ヴィチナンツァ・ア・ポッツォ Vicinanza a Pozzoが個人的にはすごく良かったです。
係の人が説明をしてくれて、住居空間での映像投影(リクエストで英語字幕可)もあり、実際にどういう風に人々は暮らしていたかなどがリアルに伝わってきます。
人々は貧しくても密接に助け合って生活をしているという良い面と、近所の人の経済状況や人間家族関係などを知り尽くしているだけに嫉妬や諍いがあった際は更に過酷なものになった、など、、リアルですよね。こんな核家族社会でもご近所問題ってよくある話なのに。
他にも治水システムやロバを飼っていた部屋の奥やら、食物保存庫やキッチンがあった場所やら、不思議な家なだけに興味深い。
あ、マテーラが”イタリアの恥”とされて、住人が強制移住になった歴史、その経緯なんかも詳しく分かります。
Google マップでうっすら見える道 ムルジャ マテーラ公園
で、上記のマテーラの街の中の見所に加えて、あらかじめ目的地に現地で行くかどうか決めようと思っていた場所がありました。
それが、このGoogle マップで右半分に見えている渓谷っぽいところにある小道。それらを拡大してみると、なんか通れるっぽいなと感じられませんか?
しかもその中にぽつぽつと教会らしきポイントがあります。
これは気になる!
とりあえず、その小道の入り口っぽいところまで行ったら、看板発見。↓
ちゃんとトレッキングコースになってるんですね。だったら問題ない、行こう!
サンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会
って、おい!すごい登り坂じゃないかー!
ルートは一旦街の下にある川底まで降りて、川幅が一番狭いところを飛び石で渡って、細い岩のごろごろした道をひたすら登るってやつです。
この上の写真の左奥に写ってるのがマテーラの街。
手前右側に写ってる洞窟っぽいところがサンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会Chiesa di S.Maria degli Angeli(12〜13世紀)。
標高378mの最も高い位置にあります。
内部はこんな感じでした。
(教会はかなり荒廃しています。以下の壁画の写真があるのは上の写真よりも手前の区画です。)
もともとは全ての壁がフレスコ画で覆われていたのが、マテーラの街が放棄されて以来のここ40年間でかなり荒らされてしまったそうです。
しかし、こちらの窓から見る街が、また、なんとも感動的。
荒れていてもこの場自体に神々しさを感じます。
日差しは9月の夕方近くでもかなり厳しく、大汗をかいて登ってきた後に見るこの光景。
風も心地よく、なんとも言えません。
ここで一休みしてから先に進みました。
マドンナ・デッレ・ヴェルジニ教会
地図上ではすぐ近くですが、一旦登ったところを95%くらい下って、また登らなきゃならないのでちょっと大変ですが、こんなところに到着。
マドンナ・デッレ・ヴェルジニ教会 Chiesa di Madonna delle Vergini。こちらは標高354mにある13世期からの教会です。
残念ながら修復中でファサードや内部を見る事ができませんでしたが、こうやって遺産が守られているのは嬉しいことです。
ちなみに私は徒歩でのルートを使いましたが、徒歩の道中を楽しむのが向いてない人、足腰に自信のない人は、ここまでは車で来る事ができます。
マドンナ・デイ・ディレリッティ教会
さっきの教会からすぐ近くにあるのがこちらのマドンナ・デイ・ディレッティ教会。
この教会の右左だったかは、広めで天井の低い暗い洞窟が複数あり、その間も行来ができるようになっていましたが、部分的に天井が落ちているのもあったのでちょっと怖いな、とも思いました。今後整備が進むと立ち入り禁止になってしまうのでしょうか…。
マドンナ・ディ・モンテヴェルデ教会
本当はこちらに先に行こうと思って進んでいたら、上記二つの教会に行きついてしまったので、帰りがてら道の分岐に注意しながら進みます。
すごく分かりにくい道で、見落としそうになりましたがなんとか到着、マドンナ・ディ・モンテヴェルデ教会 Chiesa Rupestre della Madonna di Monteverde(14〜15世紀)。
こちらの教会は鐘楼(右側の高いところ)が付いています。正面から見ると、すっぽり洞窟に包み込まれたような不思議な光景。
その内部は、もちろん洞窟です。
ここにも壁画の痕跡がところどころ残りますが、残念ながら保存状態は良くなく、天井も部分的に崩れています。
廃墟の美っていうのもあるんですけれども、あったものが失われてゆくのはなんとも悲しい限りです。
インスタ映えスポット、ティベターノ橋
先ほどの教会4つへ行く道中は他に3人しか人間を見なかったという過疎コースだったんですが、それとはまた別の台地に行く道の方はメジャーで、特にこのティベターノ橋で写真を撮るためだけに街から降ってくる人は涼しくなった夕方という事もあり、沢山いました。
うん、こういう人気スポットになると、こっちの気分が激下り!!!笑
ああ、もういいよ。と、記念写真を撮る気はすっかりなく、とりあえず橋を確認。とりあえず渡ろう。
渡っている最中に、橋の両端で写真撮影会が長く続いちゃってるもんだから、進みも戻りもできずに、私ら母娘は橋の中程で風景を楽しんでいたのでした。
写真の光加減のとおり、かなり日は傾いて夕方ですし、橋を渡って進むコースもかなり長そうで、今回は諦めました。
次回はこちら側と、その奥に続く広大な自然公園のトレッキングを丸一日かけてしたいな、とかなり本気で思っております。
太陽をさえぎる木々はないので、トレッキングするなら季節は秋か春が良さそうです。
思い出の写真
みんなが必死になって”ここで撮影すると最高だぜ!”というポイントで撮るものよりも、こっちの崖の上から自分たちの影を撮った写真の方が好きです。
(うちの娘のプライバシーのため、顔は載せない方針に変わりありません。)
土産のマテーラパン と ストラッツァータ
南イタリア出身の旦那を持つ友人の「マテーラはパンが美味い」情報により、パン、買いました。
でかいのです。一個1kgなので、フィレンツェのパン屋さんでも普通に売っている重さではあります。ただ、その形に特徴があって威圧感すら感じる堂々とした存在感。
上から見ると、こんな形。↓
もうなんか、王蟲に見えて仕方がない。
皮は硬くカリッとして、中はフワッと塩入りの柔らかめ。パンの柔らかさは一週間ほど持ちます。
トスカーナの塩なしパンに慣れていると若干不思議な感じ。おいしいです。
値段は高いのか安いのかよく分かりませんが、一個2.5ユーロでした。帰りがけにヴィットリオヴェネト広場にあるパン屋さんで買いました。
他にごっつり大きなビスケットも買いまして、こちらも美味しかったです。ジンジャー&イチジクとレーズン&チョコの2種類。
名前を覚えてなくて、後で調べたらストラッツァータというマテーラのお菓子でした。
見た目の割りに軟らかめ。
よって、自宅に持ち帰った時には、こんな様になった片方。↓
粉を楽しむ、という新しい食べ方になってしまいましたが、中には塊部分もかろうじて残ってはいました。
粉でも美味しかったです。ジンジャーが嫌味なく効いておりました。
マテーラの夕方
夜景が美しくて有名ですが、微妙な色合いを奏でる夕方もいいものですね。
そんなこんなで、今回は全く滞在時間が足りないなりにも楽しめました。
マテーラ〜バーリの電車、バスがない?
ちなみにバーリ泊だったので、マテーラとの往復には電車かバス。
同じ会社で運賃も一緒だけれども、ダイヤによってどちらか変わります。
バーリ〜マテーラ直結もあれば、途中のアルタムーラ乗り換えもあり。いろいろです。
運行会社のHP→ Ferrovie Appulo Lucane
私はバス酔いする事もあるので全部電車で往復できるように計画していました。
ところが往路、アルタムーラに到着したら「技術問題が発生したのでこの先はバスで!」とバスに乗り換え。
復路も電車がやっぱりなく、マテーラからアルタムーラに到着して乗り換えのはずが、それらしきバスはなし。
私「すみません、バーリ行きのバスはどれですか?」
そこにいたバスの運転手集団「あ!!もう出ちゃってる!!!」
接続バスなので、乗り換え客を待たなきゃいけないのに、そのバスの運転手さんが勘違いして先に出発したばかりだったらしいです。
すると、そこにいた全員がとっさに携帯をポケットから取り出して発信。
「マルコ!!戻ってこい!!!」
一番先に通話ができた人が伝えてくれました。
そんな訳で、次のバスを延々待たずにすぐに出発できました。
よかった。
予想外のことがよくあるのはイタリア旅の意味のわからぬ魅力かも?