エクソシスト養成講座、そして悪魔払いのプライス。

エクソシスト 悪魔払い

フェイクニュースと思ったら本当だったヴァチカンのエクソシスト養成集中講座。

エクソシストの不足が深刻化し、ヴァチカンが養成講座を開講 (カラパイア)

Corsi per esorcisti per le periferie esistenziali degli indemoniati (ヴァチカンニュース・オフィシャル)

 

普通の日本人にとっては、ホラー映画のイメージでしかない悪魔払い、エクソシスム。

ですが、信心深い人たちが沢山いるイタリアでは、悩みを聞いてもらう先は教会だったりします。

エクソシスムの依頼内容は、”邪視”(他人の目線により呪われるという恐れ)、家族間や仕事上の問題、健康問題、はたまた恋愛の心の傷など、意外と普通なものが多いそうです。

イタリア国内で現在年間500,000件、そして年々増加するエクソシスムの依頼に対応する為に、4月16日〜21日にローマのAteneo pontificio Regina Apostolorumで1週間の集中講座が開かれる、というニュース。

ヴァチカン・インサイダーニュースより→A Roma un corso per esorcisti, in Italia 500mila persone ogni anno li chiamano per un aiuto

 

講座内容は魔法陣を引く練習とか、悪魔が出てきた時にどうやって十字架を握ればいいか、、、とかじゃなくて、人類学、現象学、社会学、医学、神経医学、神学、典礼学、教会法、薬学、犯罪学、象徴学、法学、解放への祈り、など。

受講の申し込み書は、イタリア語に英語とフランス語とスペイン語の翻訳を付けて提出。受講者数は10名より。

 

 

エクソシストが書いた本が出版

このコースに先駆け、今年二月にイタリアで一番有名なエクソシスト、ガブリエレ・アモルト(2016年9月没)の弟子、チェーザレ・タルクイ共著の”Professione esorcista (エクソシスト職)”が出版されました。

 

タルクイによると、エクソシストを見る世間の目は«特別な力を持った呪術師»。«だけれども、本当のところ、多くの司祭は怯えていて、悪魔払いを執り行った後に(全く間違いだけれども)悪魔が取り憑くかもしれないと考えて平穏ではない。»

日常的な問題(家族や健康、邪視など)へは、«悪魔憑きとは違い、話を聞いて、人間的な理解を与えるように心理学的対処をするようにつとめている。»

しかし、悪魔はいつも隙を狙っていて、«バチカンも例外ではなく、人間のいる場所には悪魔はやって来る。»だそうです。

 

 

世界のエクソシスト

エクソシストは聖職者だからと言って、勝手にやっていい訳ではなく、ちゃんと決まりがあります。

国際エクソシスト協会なんていうヴァチカン公認の団体があって、ちょっと調べてみたら、日本にもエクソシストが一人いるのを発見。

世界のエクソシスト

L’Agenzia S.I.R.

アジアでは日本はキリスト教信者の割合が低いので、エクソシストが一人だけなのはそんなものかな、といった感じもしますが、

国民の半数以上がカトリックのフィリピンでは2人だけ。

ちょっと意外です。日常生活の問題解決の場を教会に持ち込む人が少ないという事でしょうか?

 

 

悪魔払いの値段

「エクソシスト」なんて言葉でふと思い出したのが、悪魔払いの値段。

数年前にニュースになっていました。

フィレンツェからちょっと西、ピストイアのヴィッラ・ディ・バッジョで教区司祭をしているドン・ヴァレーリオ・マッツォーラが、教会での行事についての値段表を作ったんです。

それが、これ。

 

教会の値段表

Corriere fiorentino

秘跡と奉仕の値段表

  • 洗礼            €90,00
  • 双子の洗礼        (30%ディスカウント)
  • 聖体拝領(初回のみの支払い) €110,00
  • 堅信式(司教込み)      €100,00
  • 結婚式           €190,00
  • 償いの結婚式         €260,00
  • 復活祭の祝福(出張サービス)€20,00
  • 終油の秘跡(前払い)     €70,00
  • 奇跡            €1.000,00
  • 代祷のミサ(月〜金、土日祝日は追加料金) €50,00
  • 悪魔払い         (見積もりをご依頼ください)
  • 葬儀(なるべくご予約ください)€120,00

 

罰金の値段表(下の段)

  • ミサ中の携帯着信音(一回ごと) €5,00
  • ミサ中のメッセージ送信    €80,00
  • 結婚式への新婦の遅刻     €20,00
  • 柱の影に隠れてのキス     €50,00

 

嘘っぽいんですけれども、本当の話です。

ニュースになっただけあって議論はありましたが、司祭様の話では「よく質問される事を分かりやすく書いただけだし、これは価格ではなく目安である。」

「この金額は自分の懐に入る訳ではなく教会の運営費用になる。」との事。

この方が、ドン・マッツォーラ。

ドン・ヴァレーリオ・マッツォーラ

Corriere fiorentino

 

なかなか奥深いプライスリストであります。

ミサ中の着信音5ユーロに対して、メッセージ送信は80ユーロ。

前者は電源を切り忘れる事だってあるし、仕方ないなといった感じでしょうか?

柱の裏でのキスは、どっちかというと祝福してあげてもいい気もします。

結婚式へ遅れるのが新婦が多いという実態があるのかどうか、想像を膨らませられる新婦のみへの罰金20ユーロ。ヘアーセットに手間取る、それとも?

肝心の悪魔払いは状態によって価格が変動するのか、見積もりをお願いしなくてはなりません!

気になるところとして、奇跡がお買い得(?!)。なんと、1000ユーロで買えてしまいます。

終油の秘跡が前払いというの、確かに、臨終を前にして支払いは考えたくはありません。

葬儀の予約をなるべくして欲しい、は、かなり難題。

 

 

ここで、また葬儀について思い出した事があります。

記事が長くなるので分けます。

イタリアでの火葬の方法、フィレンツェのおばけ