初一般公開・ミケランジェロのトリブーナ@サン・ロレンツォ教会

ミケランジェロのトリブーナ

こんな景色が見られる事なんて、今までありませんでした。

サン・ロレンツォ教会内には、ドナテッロ、フィリッポ・リッピ、ブロンズィーノ、ロッソ・フィオレンティーノ、デジデーリオ・ダ・セッティニャーノ、アンドレア・デル・ヴェロッキオなどの作品が沢山。
サン・ロレンツォ教会 / メディチ家礼拝堂

ミケランジェロの”聖遺物のトリブーナ”

その中で、ミケランジェロというビッグネームの作品なのに、あまり目立っていないのが、ここ聖遺物のトリブーナ。

ミケランジェロのトリブーナ

入り口を入って振り向いた頭上にあるテラスみたいなところです。

“Tribuna delle Reliquie” トリブーナ・デッレ・レリークイエと呼ばれます。
レリークイエは聖遺物(複数形)の事。

現在は使われてはいませんが、装飾の美しく施された聖遺物を並べる為に使われていました。

イタリアのテレビ特集なんかでこのトリブーナからの映像が使われいたのを観て、「いいなー、取材班は登ったんだなー。」と思うばかりでした。

それが、今年の2月1日から公開中!

早速行って来ました。

聖遺物のトリブーナ見学

てっきりトリブーナをさくっと見せてくれて終わりの見学かと思っていたら、1時間きっちりと教会内も案内してくれました。

面白い内容なのですが、ただ上に登って写真を撮るだけが目的の人だと、前半は飽きてしまうかもしれません。

そして、こちら、トリブーナに出てきました。

ミケランジェロのトリブーナ
トリブーナから見た教会内部

ブルネッレスキが設計した理性的な計算され尽くした比率をよく観察する事ができます。

例えば、床に見られる灰色の帯状のライン。

11ブラッチャ(約6,5m)を1つの辺として、主身廊の横幅は22ブラッチャ、左右側身廊は11ブラッチャが取られています。

比率は1:2:1。

その単位は更に左右に並ぶ助祭壇にも続き、漆喰の白とセレーナ石の青みがかった灰色の二色で、遠近法がすっきりと計算された形で見えます。

消失点の位置にはちょうど磔刑像があります。

ミケランジェロのトリブーナ

ダード・ブルネッレスキアーノ(ブルネッレスキのダイス)と呼ばれるエレメントもここからだとよく観察できます。

コリント式の柱頭と半円アーチの間にあるダイス状の部分。

ルネサンス様式の代表格の、ブルネッレスキ設計代表作の、そのオリジナルがこれこれ!

“ルネサンス”っていう言葉は広く使われる言葉だけれども、これを見ずしてルネサンスは語れない。

若干言いすぎた感もありますが、それくらい大切。

あ、このダードつながりで、こんなのも。

プルヴィーノ

こっちはラヴェンナのプルヴィーノ。

ミケランジェロ聖遺物のトリブーナへの入り口

紹介する順番が逆になりますが、入る時はどこを通るのかというと、

トリブーナは教会の内部にあるので、教会内のどこかに階段への隠し扉でもあるのかと思いきや、一回教会からは出る事になります。

同じくミケランジェロ設計のラウレンツィアーナ図書館のある中庭の方へまず出ます。

ラウレンツィアーナ図書館

向こう側にある、窓が整然と並んでいるところがラウレンツィアーナ図書館。

中庭を挟んでこちら側に扉ががあり、そこを開けてもらって入ります。

階段を上がった後に、こんなせまーい通路を歩きます。

ミケランジェロのトリブーナ

歩いている最中に停電には決してなって欲しくない場所。

これまた小さな扉を開けると、そこはトリブーナの中。

ミケランジェロのトリブーナ

ここから振り向くと、聖遺物を内部に飾っていたという扉があります。

写真を一応撮りましたが、至近距離すぎて「扉の一部だね。」としか分からないので、省略。

サン・ロレンツォ教会、トリブーナ情報 -情報更新

月曜日から土曜日まで、午前10:30にイタリア語、正午12:00は英語のツアーが一回ずつあります。

しばらくメンテナンスの為に閉鎖になっていましたが、再オープン時から仕組みが変わりました

→2024年5月現在、残念ながら再オープンの情報は聞きません。