こんにちは。
今回は(も) 地味なテーマで、ローマのマイナーな場所のおすすめを取り上げてみたいと思います。
個人的な視点での選択なので、教会内での見どころは若干ずれていると最初にお伝えしておきます。
サンタ・プラッセーデ教会
ローマ テルミニ駅からは割と近い場所にある教会です。
奥の後陣部分にあるモザイクが美しいのですが、脇にあるサン・ゼノーネ小礼拝堂が小さな宝石箱の中のようで、。
照明はありませんので、小さな窓から入ってくる光のみの薄暗い空間です。
まず最初、天井にある物質としての重厚さを湛えるモザイクが目に入り、やがて周りが全て緻密な模様を描くモザイクであると気付かされます。
このすぐ近くにはキリストが鞭打ち刑になったときに使われた柱の一部とされるのものがあります。
サン・クレメンテ・アル・ラテラーノ教会
この教会はですね、写真撮影が禁止です!
なので、説明がし難いのですが、、そうそう、これならある。あ、写真が斜めってる。
只今ウフィツィ美術館で開催中の”I Cieli in un stanza. Soffitti lignei a Firenze e a Roma nel Rinascimento – 部屋の中の空 ルネサンスのフィレンツェとローマでのの木製天井” の展示作品。(Luigi Rossini 1843)
の、写真で、丁度ローマのこの場所、サン・クレメンテ・イン・ラテラーノ教会内部の様子です。
この教会内部の囲いのような構造や、壁と床のモザイクなど有名で、イタリア美術の教科書に出てるやつです。
以前この教会に来た時は時間がなかったので、内部空間をさらっと見ただけでしたが、(マゾリーノの壁画もありますので、教会内の見学だけでも非常に満足。)今回初めて地下へ入りました。
なんとこの地下、地下の遺跡の下に更なる地下の遺跡があったりしまして、多層の地下駐車場を予見していたのか?さすがローマだな!
-紀元1世紀の古代ローマ遺跡が一番下、その上が4世紀の昔の教会、という積層です。
しかし、やはり写真撮影禁止なんですね。
仕方がないので、公式サイトをどうぞ。http://www.basilicasanclemente.com/ita/
地下を蕩々と水が流れていたり、興味深い空間でした。
社会科見学の中学生軍団がワイワイしていたので、地下奥深くの意味のわからない恐怖は感じずに済みました。
ベトナムで地下塹壕を見学したとき、生き埋めってこういうこと???と地下恐怖体験で、地下遺跡の更に地下って、地震があったら、、とか考え出すと、意外と怖い。
サント・ステファノ・ロトンド・アル・チェリオ教会
教会の名前に入っている”ロトンド”が丸とか円の意味で、その名前のとおり丸い教会です。
丸い形はよくあると言えばあるのですが、ここで面白いのは内壁にぐるっと描かれている壁画。
ぱっと見た感じは、まあ、これもよくある絵なんですけど、絵の中にあるアルファベットにお気づきになりました?
中央左の人が持ってる片手鍋みたいなのと、その右の人が持っている棒の間あたりに、Aの文字。それより奥にはDとかBとか書いてあるのです。
この絵だけでなく、もれなくどの壁画にもABCとの表記あり。
これは、その下を見ると謎が解けます。
絵の下にこの枠に収まった文字があります。
左欄はラテン語、右蘭はイタリア語での場面の説明書きなんです。Aは〜、Bは〜で、、という解説。なんとも明快。
ここでは「ディオクレティアヌス帝とマクシミリアヌス帝の時代」に起こった事項でして、こんな感じ。
A : 聖ヴィートとモデストとクレシェンツィアが、煮えたぎったテルペンチンと松脂の中で拷問されている。
B : 聖セバスチャンが矢で貫通されている。
C : 沢山のクリスチャンが野獣に晒されている。
D : コズマ、ダミアーノ、パンタレオン、ティブルツィオ、スザンナ、コルコニオ、アドリアーノ、他、殺害された。
E : テベイとトルチダータの軍隊レギオン。
ブログを書くし、と改めて読んでみたのですが、いやはや、文字が消えかかっていてよく分からないところもあって、微妙に読みにくかったです…。
サンティ・コズマ・エ・ダミアーノ教会
コロッセウムとヴィットリアーノの間という、超一等地にあるくせに無視されがちな教会、でも通りがかったら是非入っていただきたい教会。
モザイクって、肉眼だと暗い所も光が当たって輝いている所も美しい色彩を伴ってはっきりと認識することができるのに、写真だとなんだかな、という状態になってしまいますね。
入り口付近にいる係の人にお願いをすると、地下のクリプタにも入れます。
そのついでにいくつか質問をしたら、この上の写真を撮った立ち位置は後の時代になってからの改築部分なので、本来このモザイクはもっと下から見上げる目線を考えて製作されていた、ということなども教えてくれました。
なるほど、言われてみれば図像が間延びしていますね。
この係りの方、説明をしながらそこにあったパンフレットとか絵葉書とか
「これも持っていきな、あ、これは持っていないね、これも。ガイドをしてるならローマにもお客さんを連れてくることもできるよね。」
と、資料としてほぼ全部いただいてしまいまして…。
もっと観光客にも来ていただきたいそうですよ。(紹介するっていう使命は果たせたかしら?)
入場は無料ですし、喜捨は自由に入れていただく感じで、どうぞご遠慮せずに中へお入りください。
奥の部屋にはナポリ風の超ゴテゴテ楽しいプレゼーペ(キリスト誕生のシーンのジオラマみたいなやつ)もありますのでお見逃しなく。
プレゼーペで気合入りまくって主題すら何が何だか分からなくなっている例は、ナポリ郊外のカゼルタ宮殿にあります。↓
サンティ XII アポストリ教会
この教会には教皇クレメンテ14世の霊廟があります。
アントーニオ・カノーヴァ作。
私が行った時、折しも『Canova. Eterna bellezza – カノーヴァ・永遠の美 展』が開催中。
(ナヴォーナ広場に面したMuseo di Romaにて、2020年3月15日まで)
なので、作品の習作なども見ることができました。↓
作品を観る位置が違うと、印象がかなり違いますね。
アントーニオ・カノーヴァは、只今上記のローマにおいての展覧会と、ミラノのGallerie d’Italiaでの展覧会と2つも同時開催中。
通常だったらコペンハーゲンやサンクトペテルブルグに行かなくちゃ観賞できない作品が、ぐっと集まって来ていて好きな人には幸せ感ありありな良いタイミングです。
ミラノのカノーヴァ展→ GALLERIE D’ITALIA MILANO – CANOVA THORVALDSEN
ローマのカノーヴァ展→ MUSEO DI ROMA – CANOVA. ETERNA BELLEZZA
代表作の三美神とか、うわー、としか言いようがなかったです。
話をローマのこの教会に戻しますと、個人的に好きなのはクリプタの構造。
エッシャーの騙し絵とか好きな人はたまらないかも?
聖なる空間であるのだけれども、こういう所に来ると反射的にうきうきしてきてしまいます。三つ子の魂百まで。
サンタ・マリア・マッジョーレ教会
この教会もテルミニ駅近くで、一番最初に挙げたサンタ・プラッセーデ教会の至近距離。
小さい教会でも全くなく、教皇庁直属の4つの大きな教会の一つで、多くの人が訪れます。
有名な教会なのに、なんでここを挙げたのかというと、普段行かないところにも入ったからです。
正面から見た時のテラス部分に行きました。
テラスの奥には、アルノルフォ・ディ・カンビオの彫刻作品、東方三博士の礼拝があります。
入るのには5ユーロかかるからなのか、教会内には割と人がいたけれども、こちらは人っ子一人いない、係りの女の子が後追いでやってきてくれるまでは真っ暗な部屋でした。さみしい。
アルノルフォは有名建築家でもあります。
そのアルノルフォの設計のオリジナルのフィレンツェ大聖堂のファサードには、彼自身の彫刻作品も設置されていた過去がありまして、現在は大聖堂美術館に良い感じの展示で見ることができます。
ここまで記事を書いておいて、画像を軽くしようとリサイズと圧縮をやり過ぎた気がしてます。スマホからとかだとあまり変わらないかもしれないけれども。
せっかくの美しいものを美しく表示できないのは…くぅっ無念。
(面倒なので修正はしません)