あれよあれよと毎日が過ぎ去り、趣味のはずの旅行記をすっかりさぼっていました。
書かずじまいの旅行の方が多くなっているこの頃です。
今回は、かなり無理矢理日帰り旅行にしたので、それだけに思い出深いカゼルタ宮殿の記録でも書いてみようかと思います。
カゼルタ宮殿 Reggia di Caserta
は、ナポリからさらに電車だと40〜50分のカゼルタ駅すぐそばにあります。
ですが、フィレンツェ⇔ナポリの日帰り旅行が時間的にかなりきついのに、ナポリ⇔カゼルタ往復に更に時間を費やすという結構無謀、というか、もったいない、せっかくならばせめて一泊でもすればいいのに、という旅行です。
往復の電車に乗っている時間の方がよっぽど長く、こんな時間配分です。
→往復8時間、滞在時間2時間半。
実際には電車の遅延と、乗り継ぎ時間の関係で、更に移動時間の方がより長くなりました。
移動中に余裕で本を二冊読めましたので、ある意味無駄の全くない、計画的すぎる旅行でもあります。
移動中、車内から見えたナポリ⇔カゼルタ間の風景。なんと、菜の花。菜の花ですよね?
行ったのは2月7日です。
フィレンツェは冬の寒さが少しは緩んできたね〜と呑気に思っていましたが、ここは春でした。異国でした。
確かにイタリア統一前は異国だったのだけど、気候が違うと距離を感じます。
カゼルタ駅を降りて、人通りの多い方の出口に進むと、すぐ目に入るのがこちらのでかい建物。↓
どう考えても見つからなかったりはしなさそうな佇まいです。
写真では若干分からないかもしれないので、私の早歩きで大きさを計測しましょう。
まず、上の写真を撮ってから、休まずにさっさと歩いた2分後の写真↓(カメラの記録より)
なんか近づいてきたけど、まだ距離感。
さらに早歩きで2分経過すると、このあたり↓
やっぱり、でかい。
真ん中の門から一度入ったのですが、チケット売り場は左の門でした。門と門のあいだを移動するのにも微妙に遠いです。
チケット売り場の人に、帰りの電車の時間まであまりないので、見学には最低でどれくらい時間が必要か聞いたら「庭園だけで最低2時間ね。」とのこと。
おおぅ、全部観られるのか?
アドバイスにしたがって、先に庭園に進みました。(宮殿内も見学できます。こちらは後ほど。)
ああ、これが、有名な、、
カゼルタ宮殿の庭園
なんだか、遠近感がよく分からないけれども、最終地点まで相当距離がある事は理解できますよね。
そんな距離感のブラックホールに陥る観光客に、
馬車のおじちゃんは、「7km!7km!」といつも通りのセリフっぽく掛け声。
いやいや、そんな数値に屈するほど生やさしい気軽な旅をしてここまでやってきた訳ではない。
歩く気満々である。
そもそも7kmは誇張し過ぎだ。
グーグルマップさんが言うには、3km弱。
往復で7kmという事?
他にシャトルバスと貸し自転車、貸し電動アシスト自転車が用意されている模様です。
このあたりは、確か15分ほど歩いてきたあたりなのですが、やっぱり遠近感が不明なのには変わりありません。
アメリカのハイウェイみたい。イタリアとか日本ではありえないあの車線の数の多い道の広さと直線っぷりを思い起こさせます。
長い長い庭園の真ん中を、水が流れています。
その所々に噴水なんてあったりして、こんな天気のいい日には水も美しい光を屈折させてくれて、いや、いい時期といい日に来たな、としみじみ嬉しいのでした。
これは、随分歩いてから宮殿側に振り向いて撮った写真。
あの大きな宮殿が、ちいさーく見えます。
見事に気持ちよく晴れていて、しかも観光ローシーズンの平日なので、人もまばら。
バカンスシーズンだと日差しが強過ぎて過酷になる気がします。
水がモネか?というほど綺麗だったのを動画で撮りました。センスのない撮り方なので、最後は首を傾けてご覧ください。
映っているのよりも、本物はもっと綺麗だった!と月並みな言い訳も追加しておきます。
で、最後の地点にたどり着きました。
こ、これは…………………..!
ディズニーランド?
ハリボテ感、もしくはアトラクション感がすごい、水源を模した構造物です。
残念ながら、現在はこの構造物近くまで行く小道が通行止めになっているので、至近距離まで行って観察できませんでした。
詳細観察は次に再訪する時のお楽しみにします。使っている素材チェックをしたいです。
(この見え方だと、昔、造形屋さんでバイトをした時によく使っていたFRP素材に見えてなりません!)
ちなみに、この水はこの場所から湧いているように見えますが、実はそうではなく、遠い水源地からわざわざこの大量の水を運んで来ています。
世界遺産にもなっているカロリーノ水道橋とか、ものすごい仕掛けがあります。
その下には、人口の池があり、彫刻が並んでいます。
その中で好きなのは、これ。
頭、すごい。ギリシャ神話のアクタイオン。
アルテミスの水浴中にその裸体を見てしまったので、鹿に変えられてしまって、自分の猟犬に食い殺されてしまうという、かなり可哀想な方です。
こちらはアルテミス班。↓
やっぱり水と彫刻は相性がいいです。
カゼルタ庭園の中の、イギリス式庭園
アルテミスと鹿になっちゃってる人のところから右折すると、イギリス式庭園があります。
こちらも素晴らしく、かつ広い。
私が行った時は2つあるはずの出入り口が一つ閉鎖されていて、入ったところにまた戻らないと出られないのに、
肝心のお知らせの紙が風でひらひらしていて「入り口/出口」と書いてある「出口」の方を読み落としたばかりに、相当大回りをした末に同じところへ戻ってくるという、時間のない人にとっては重大なタイムロス。
約2kmも歩く距離が増えてしまいました。
手書きの張り紙一枚でお知らせを適当に済ませるのはよして欲しい。
広い庭園内の一部↑
中にいる”うずくまるヴィーナス”、こちらは古代のものではなくナポリ人彫刻家トンマーゾ・ソラーリ作で1700年代の作品です。
イギリス式庭園の特徴である創り出された自然の美しい姿は、きっちりと幾何学を描くイタリア式庭園とはまた違い、それが人工的なものであってもなんだか落ち着きます。
ちなみに、初のイタリア式庭園はフィレンツェ近郊にあるヴィッラ・ディ・カステッロです!とフィレンツェの宣伝もしておきますね。
もっとゆっくりと座ってぼーっとしたい、憩いなポイントが沢山ありました。
ともあれ、時間がなかったので、さっさと宮殿方面へ引き返します。
3kmを最大速の早歩き。
カゼルタ宮殿内
宮殿は、階段からやっぱり大きかった…
ここを上ると、ホールみたいな場所↓に出ます。
エッシャーのだまし絵に入って来てしまったような感覚。
光の具合と階段の向きがその効果を出しているのかな?
ともかく、帰りの電車に乗るまでの時間が迫っているので、あまりじっくりとはできず、さっさと先に進みます。だって、あれだけ外から見てでっかい建物なら、歩いて出てくるだけでもきっと大変に違いない!
は!エレベーター!!
急いでいるので、写真が斜めってます。
なんて近代的な!
18世紀半ばの歯車を使った動力は人というものです。名前は”飛ぶ椅子”。
おお、これこれ!
すごーく大きくて、何よりも、登場人物の数がものすごく多いプレゼーペ。
1700年代ので去年修復が終わったばかりだそうです。
生まれたばかりのイエス様に視線が行き着く前に、沢山の人が、表情が、ポーズが、衣装が、、、ものすごく主張している!
こっちも脇役たちなんだけど、主張がすごい。
それぞれにストーリが進んでいるかのようなので、プレゼーペの一部なんだか何なのかよく分からなくなってきます。
動物とかリアルで、見応えありすぎ。プレゼーペワールド、すご過ぎ。
で、更に先を急いでいたら、
あっけないほどすぐに順路は終わってしまいました。
どうやら、宮殿全体を公開している訳ではなくて、その一区間だけが一般公開区間だったんですね。
そんなわけで、意外と最後はゆっくりしながら、フィレンツェへの帰途につきました。
無事に日帰り旅行完了。