ラヴェンナへの旅、モザイクを肉眼で観る!

ラヴェンナ 聖ヴィターレ教会

なんで今まで行った事がなかったのだか、ラヴェンナ。

今週はうちの子がパパと海へ行っていて、私はうさぎとお留守番。そこで、自分の仕事がない日に心置き無く早朝出発で、遅くに家に帰れる日帰りの旅を思いつきました。

候補は、アッシジ、ルッカ、ペルージャ、アンギアーリ、ピストイア、パルマ、ボローニャ、リミニ、、じっくり観たいものも多いのですが、どうせなら行った事がない所にしようと、ラヴェンナに決定。

こんな有名な所、なんで行ってないのかな?と、ふと、過去を振り返ってみると、あまりモザイクに関心がなかったという事を思い出しました。綺麗だなとは感じても、その時の自分の中の流行りが回ってきていなくて、グッと引き寄せられなかっただけかもしれません。

 

なにせ時間に余裕があるものですから、電車賃が三分の一の鈍行で行きました。所要時間約3時間。横浜から千葉県立美術館とか、MOA美術館とか、そんな感じの移動です。途中から単線になって、ムジェッロの山がちなゾーンは線路脇に生えている草木にピシピシぶつかりながら電車は走ります。のどかです。今の時期は避暑地としても有名な場所です。

乗り換えがないので、自然に癒されて居眠りをしていたら終点、ラヴェンナに到着。

 

 

 

年代順にまとめたりすると長い歴史の話が加わって、きっとうんざりする記事になるでしょうし、私も書くのがめんどくさい(!)なので、行った順番に、しかもかなり行き当たりばったりな順番でご紹介。

予定では、ラヴェンナから5kmほど離れたS.Apollinare in Classe 聖アポッリナーレ・イン・クラッセ教会にも是非行きたかったので、その往復の電車の切符をラヴェンナ駅に到着してすぐに購入。一駅だけお隣がその、Classeクラッセ駅。時刻表を確認すると、次の電車まであと2時間強。なので、とりあえずラヴェンナ駅から一番近くの、

S.Apollinare Nuovo 聖アポッリナーレ・ヌオーヴォ教会へ。

 

聖アポッリナーレ・ヌオーヴォ教会

 

クレリストーリオの部分にモザイク!

最初に言ってしまいますが、写真では全くこの魅力が分かりません。美術史の本には必ず出ている作品だし、何枚も図版や写真を見て知ってはいましたが、本物を見てモザイクに開眼。これは、実際に見ないといけないものですね!!

 

 

聖アポッリナーレ・ヌオーヴォ教会 東方三博士

 

このへっぴり腰(?)の東方三博士、ビザンチンないい感じ。

 

しばらく、ぼーっと鑑賞して、ちょっと我を取り戻してよく観察。すると、ここ。あった。

 

聖アポッリナーレ・ヌオーヴォ教会

 

 

もともとは東ゴートのテオドーリコ(テオドリック)が彼らの信教アリウス派の教会として建てていたのが、後になってそれを異端とする東ローマがここを治めた時代に、アリウス派の図像が消され、この写真にあるテオドーリコの館の間口にあったとされるテオドーリコ自身と周囲の人々の姿が消されてカーテンに差し替えられました。

おもしろいのが、それだけやっておきながら、柱の上にある手を消さなかった事。分かりますか?特に見やすいのは、左から三番目の柱の上に手!!

 

 

そこからちょっと歩いて、ここはガッラ・プラチーディアの霊廟。

ガッラ・プラチーディアは西ローマ帝国終焉の時代に生きた皇女、西ゴート族に連れ去られ、族長と結婚して、戻って再婚して、兄から逃げたり子供の後見人をしたり、、ここは彼女自身と夫であったコスタンツォ3世と兄オノーリオの霊廟として建てたと考えられていますが、実際彼女はローマに埋葬されたとされています。諸説あります。

この、見た目は小屋の中、

 

ガッラ・プラチディアの霊廟

 

 

ガッラ・プラチディアの霊廟

 

 

ガッラ・プラチディアの霊廟

 

これは、想像していたよりも小さな空間でしたが、想像を絶する色!

モザイクの魅力は、石のそのままの色が美しく深い事!単なる色とデザインではなくて、そこに石という確固とした材質があり、それ自体が放つ色がこういう画像でピクセルに分割されてしまうRGBの色じゃないんですね。

 

ガッラ・プラチディアの霊廟 細部

 

こういう幾何学模様もヘリや窓枠の部分に多く見られて、今回それがとても気になりました。これも発色が素晴らしい。色の選択もいいですよね。

 

 

 

その向かいにあるのは、こちら、聖ヴィターレ教会。

 

聖ヴィターレ教会

 

 

内部。

 

聖ヴィターレ教会

 

言葉が出ません。

 

聖アポッリナーレ・ヌオーヴォ

 

ここには、この図があります。試験のために、この図像はサン・ヴィターレにあると、暗記したあれです。

暗記する必要はなかったです、実際に行けば印象に焼き付きます。ええ、この最高に、満員電車も顔負けな足踏み大会、ここにあります。

 

 

プルヴィーノっていう、柱頭の上にもう一つのっかったダイス状のエレメント、ここです。世界で一番有名なプルヴィーノ。

ブルネッレスキがルネサンス時代に取り入れるやつで”ブルネッレスキのダイス”って呼ばれて、フィレンツェのサン・ロレンツォ教会とかにあります。

 

 

プルヴィーノ

 

 

 

 

聖ヴィターレ教会 内部

 

またまたここに小さいアーチの下にある幾何学模様が気になります。真ん中は小さな矢印みたいなものがたくさん並ぶデザイン。ここだけ見るとかなりオリエンタル濃いめ?東ローマ帝国は地理的にもオリエンタルに近く性格的にも様式的にも影響されていたのが感じさせられます。

 

 

聖ヴィターレ教会 内部

 

ひたすら、細部が大好きなもので、窓際の写真。

ものすごく暑い日で、いいお天気に眩しい太陽光。それがこの感動的な色をさらに美しく演出してくれました。

この教会の外観の写真(何枚か上の)を見ると、左の外壁に太陽光が当たっているのが分かると思います。そう、その壁の内側が、このモザイクのある所なんです。確か、時間は正午ちょっと前?そのあたりが狙い目の時間です。(夏時間の8月。)

 

 

この敷地内からは国立美術館に入れます。

のぞいて見ると、かなり大きな敷地プラス冷房なし。

堪えられないので足早に回り見つけたのは、これ。

 

サンタポッリナーレ・イン・クラッセ 下絵

 

なんの事やら?という感じの物体ですが、これはこの後に行く聖アポッリナーレ・イン・クラッセの壁から修復中に発見された下絵です。

 

下絵の説明

 

これは、そこにあった解説。右下の羊ちゃんが並んでいる所の色が濃くなっています。そこから出てきた下絵ですが、実際に表現されたのは羊、下絵は孔雀。おもしろいですね。

 

では、またまた次回に続きます。

(ミラノの墓地の事をまだ書き終わってないのに・・。)

 

 

・続き・

ラヴェンナのモザイクの5世紀からパニーノまで。