アートニュースをつらつら、だらっと、気分転換に読んでいたら、思わず目を見開いた5分後です。
こんにちは。
フィレンツェにあるメディチ家礼拝堂の中の、ミケランジェロ彫刻作品が昨年くらいだったか、修復が始められていました。
作品を移動して修復工房に持っていくのではなく、その場で仕事というスタイルだったので、作品鑑賞をなるべく妨げないように必要なところだけ足場が組まれていたのを覚えています。
で、その修復は、バクテリアのおかげ。という記事です。
(以下、オリジナル記事の文の構成などは全く無視して勝手にかいつまんで翻訳、勝手な補足情報入れて書きます。)
そのバクテリアとは、“Serratia ficaria SH7”と呼ばれるもので、ENEA(国立新技術エネルギー経済開発機構)とCNRフィレンツェの研究者が修復士を一緒になってパンデミックの間の一年半にわたる仕事で使われました。
大理石の素材自体を痛めつけることなく、汚れのみを食べてくれるという、とても優秀なバクテリア。
これが修復用に使われた最初ではなく、他にも近場では、ピサ大聖堂のクーポラの内側の修復にも使われています。第二次世界大戦中に爆弾から作品を保護するために使われた塗料を落とすのに使われたとの事です。
と、まあ、アートニュース的には「ほほう」という程度なバクテリア使用の修復ニュースなのですが、
びっくりしたのは、この汚れの原因の方でした。
この作品、墓なんですよ、メディチ家のウルビーノ公ロレンツォ(1519年没)の。
で、この墓に後で一緒に入ったのが、親戚筋のアレッサンドロ(1537年没)↓
親戚とは言っても、アレッサンドロにとっては自分の爺さんの兄弟(偉大なるロレンツォ)の孫にあたる人がウルビーノ公ロレンツォなので、結構遠い縁と言えなくもないけど、実父が教皇クレメンテ7世なもので、聖職者には子供がいないという表向きを維持するために、丁度いい感じの年頃で権力関係も程よいロレンツォの息子という事になりました。
でも、このアレッサンドロ氏は、怨恨が原因で殺されたかもという人で、実際その性格の悪さっぷりは公文章からも推察されたり、その当時の人からも散々悪口を言われたりで、その死後は丁重に扱われなかったのか、
なんと、内臓を取り出さず、防腐処理もせず、直で棺桶に入れられおった!!!
そんな訳で、特に描写はしませんけど、
それが原因で大理石にシミを作り、広がって、彫刻作品にまで及んでしまっていたのだそうです。
あらぁーーーーーーーー
気づいていなかったのですが、なんとなく色付いてますかね?↓
こちら↓は向かい側のネムール公ジュリアーノの墓。
大理石って、固いと思われがちですが、石の種類としてはとても柔らかく繊細です。
私も大理石作品を野外展示したら、数日後にシミがついていて取れなくなってしまったとかあります。結構シミって石の中まで染み込んでしまうものなのですね。
なので、表面の汚れだけでなく奥のところまで優しく染み抜きをしてくれるバクテリアを使うってとても画期的。
従来の薬剤を使った洗浄方法だと、修復師さんが薬品に暴露される安全面の問題や、作品自体を痛めつける危険もあります。
ダヴィデ像のお尻の細かい傷なんていうのも、1800年代の修復による被害ですし…。
日々作品の保護や修復に細かい心配りをしていただけることに感謝です。
オリジナル記事はこちら。→ Restaurate grazie ai batteri le tombe medicee di Michelangelo