ロックダウン終了後 イタリア旅行@ローマ

イタリア 旅行

あれよあれよとびっくりする勢いでロックダウン、旅行どころか外出さえ制限という状態から少しずつ規制も緩和され、州を超えての移動にも自己証明書も必要なくなったのが6月に入ってから。


もともと7月に期限の切れるパスポート更新の為、ローマの日本大使館に行く予定でした。本来であれば仕事の忙しくなる春〜夏を避けて、早めの3月にイタロの往復チケットも確保してありました。
まあ、でもその日が見事に移動制限に引っかかってしまったのですね。
仕方ないので払い戻しの手続きをして、しばらくしたら支払ったのと同額のヴァウチャーが発行されたのですが、利用期限が6月13日までというイタロのヴァウチャー利用諦めさせ作戦!!期限切れが早過ぎる…!
それには引っかからぬ!と、高くなった電車賃の差額を更に支払って6月10日にローマに行ってきました。(ちなみその差額はローマ〜フィレンツェ間の割引チケットが買える値段。)


規制緩和後の電車の旅

チケットを買い直した時に注意書きがあって、「乗車に時間がかかる場合があるので早めに駅に来てください」との事。
行ってみてなるほど、フィレンツェ サンタ・マリア・ノヴェッラ駅構内は乗車の人と降車の人とが別のレーンを通るように仕切られてるので、いつもよりかなり大回りでホームに向かわなくてなりませんでした。
しかも鈍行と高速鉄道のホーム間の移動ができなくなっているので、間違えて入ると(私)一旦ゲートを出て大回りをもう一回してホームに入り直さなくてはなりません。
あと体温が37.5度以上の人は乗車できないという決まりもありますが、特に体温チェックはなし。タイミングで測定の人がいなかっただけかも。

電車内は2列並びシートは全て一席分しか使えないようになっているので、満席だったとしても乗客はいつもの半分。かなり空いているように感じました。
隣に携帯電話でずっとしゃべりまくってるおっちゃんが居たりしないのは快適です。
あと、ちょっと前まで義務だった手袋着用も必要なくなっていてよかった。あれを電車内でずっと着用しているのは絶対辛い。
マスクは義務で、乗務員に「マスクをしてくださいね〜」と言われている人もいました。でも決してピリピリした感じはなく、乗客もゆったりシートになったし思い思いにリラックス。

そんなこんなで、電車の本数もかなり減っているので、ダイヤに乱れは全くなく、予定通りよりもちょっと早めにローマ テルミニ駅に到着。
むしろ、早めに到着して乗降車時間を増やしているのかもしれません。いつもより電車が駅に停まっている時間が長めでした。


ローマ テルミニ駅近く 日本大使館へ

日本大使館は駅から歩いて15分くらい、他の街から電車で来る人には割とアクセスのしやすい場所にあります。
現在、感染防止の為に完全予約制になってるので、予約時間までは駅の周辺をぶらぶらしました。

駅近くのサンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会にふらっと入ったところ、ベルニーニ作の聖テレジアの法悦が、いい光の具合!

ベルニーニ ローマ
ジャンロレンツォ・ベルニーニ 聖テレジアの法悦

(あ、しまった、画質を落としすぎて感動的な様子が伝わらない。)

日本大使館には普段、不幸にもパスポートの入ったポーチごと盗まれてしまった人とかイタリアの中南部に住んでいる人がパスポート更新にやってきたりするので、行くと必ず何人か日本人がいるんですけれども、今は完全予約制になっているので予約時間よりも10分早めに行ったけれども他には誰もいませんでした。

さあ、手続きを終えて、向かう先はバチカン。

激しく空いているバチカン美術館 Musei Vaticani

ありえない、ありえない、、、バチカン美術館が空いているだなんて。
ローマにはちょこちょこ展覧会がある時とかに来ますけど、バチカン美術館ってこれまで二回しか行った事ないのですね。
なぜならば、激混みじゃないですか!!あそこ!!!!あそこ!!!!!!!
最大入館者数の制限が他の美術館よりも多いのかなんだか、(例えばウフィツィ美術館は予約数に制限があるのでそこまで混まない)人間ベルトコンベアーか?という混みようがトラウマ。
20年位前に行った時はそこまで混んでなかったけど、2016年の10月あたりに行った時は大混雑。時期と曜日や時間帯によってはマシな日があったはずですが、、
それが、現在、空いてます。とっても。

通常ですと、予約なしでも辛抱強く並べは入場できますが、現在は予約手数料なしの入場料のみで完全予約制です。
こちら、入り口。↓

バチカン美術館入り口
バチカン美術館 入り口

行った事がある人なら驚きの光景。誰も並んでない!

では、以下、優雅なバチカン美術館よりかいつまんでご紹介。

絵画館 La Pinacoteca

ラッファエッロ バチカン絵画館 
ラッファエッロ 空いてるぅー

混雑していると、落ち着いて鑑賞ができなかったりしますが、ああ、これはベスト。

  • どの作品の前でもちょっとイラッとするあの待ち時間がない。(短気です)
  • 目の前に腕を上に伸ばしてスマホで写真を撮りまくってる人がいない。
  • セルフィー決めて、顔をこっちに向けている人がいない。
  • みんな小さい声で話してるつもりなのに、だんだんみんなで大声になっていない。
  • 隣にいるはずの友達に声をかけたら、あ、違う人だった、とか焦ってる人がいない。
  • くたくたになって、椅子に座って腰痛の重い黒いオーラを出している人がいない。

最後の二つはありがちな仕方のないシチュエーション。側から見ている方が心配になるから…!


レオナルド・ダ・ヴィンチ
レオナルド・ダ・ヴィンチ 聖ヒエロニムス
カラヴァッジョ
カラヴァッジョ 十字架降下

カラヴァッジョは正面からだと光の反射があったから斜め前から写真を撮ってますが、正面でも鑑賞し放題。近くからも引いて遠くからも鑑賞し放題。わーしあわせ!

ブラッチョ ヌオーヴォ Braccio Nuovo

ブラッチョ ヌオーヴォ
ブラッチョ ヌオーヴォ

この気持ちよく日の差し込むブラッチョ・ヌオーヴォの空間におわすのが、こちらのアウグストゥス。↓

アウグストゥス
プリマ ポルタのアウグストゥス

あまりに何気なく、そして前に誰もいないもんだから、「これ本物?」と思ってしまうけど、本物でした。
りりしい。大理石の細工を近くから観察できるのもよいですね。

ピオ・クレメンティーノ美術館 Museo Pio-Clementino

コルティーレ オッターゴノ
コルティーレ オッターゴノ

寛ぎの空間になってます。まだ太陽も厳しくなく、暑くも寒くもなく、心地よい風が通るこの中庭。ここに有名な彫刻作品あります。

ラオコーン
ラオコーン

うおー真正面からも写真撮りまくり。大理石の継ぎ具合をいろいろ観察すると楽しいです。(元石彫専攻)

カノーヴァ
アントーニオ・カノーヴァ 勝利のペルセウス

カノーヴァのペルセウスは神々しく上から光が…

残念なことに、同じ中庭にあるベルヴェデーレのアポロンは修復中で観れませんでしたが、こちらはベルヴェデーレのトルソ。↓

ベルヴェデーレのトルソ
ベルヴェデーレのトルソ

後ろ側からデッサンすると鳥に見えたりするのでお馴染み、石膏像のオリジナル。
しつこいかもしれませんが、周りに誰もいないんですよ!!

ヘラクレス テアトロ ポンペオ
サーラ ロトンダ

奥におおきなブロンズ製、ポンペオ劇場のヘラクレス。
近くから見上げると、頭が薄っぺらく見えるんですよね…。

地図のギャラリー Galleria delle Carte Geografiche

地図のギャラリー

自宅で地図を見てると1時間があっという間に過ぎる人にはトラップの地図のギャラリー。

イタリア 地図のギャラリー
いたーりあ あんてぃーくあっ!

各都市の詳細も観ていて楽しいけど、向かい合わせに昔のイタリアと1500年代当時のイタリアの地図が向かい合わせになってるのが、人混みがないと見比べやすい。上の写真は昔のイタリアITALIA ANTIQVA。

ラッファエッロの間 Stanze di Raffaello

ラッファエッロの間
ラッファエッロ アテナイの学堂
聖ピエトロの解放
ラッファエッロ 聖ピエトロの解放

ファッファエッロの代表作ですね。
実は、今回本当は行く予定だったのはバチカンではなくラッファエッロ展でした。
同じローマのScuderie del Quirinaleで開催中の“Raffaello 1520-1483”、この展覧会は全くもって不幸なことに、開催されて数週間?だったかでパンデミックの為に閉鎖。ようやく6月2日から再オープンになりました。
ローマ行きを決めてから、この展覧会の予約(完全予約制になってます)をしようと思ったら全ての時間が売り切れになっていたので、もう一回ローマに行く事にしました。各地からラッファエッロとその周辺の作品が多く集められていて、フィレンツェからも沢山の代表作が貸し出されているかなり気合の入った展覧会です。8月30日までに会期が延長しましたので、行ける方は是非。

システィーナ礼拝堂  Cappella Sistina

相変わらず写真撮影禁止なのはシスティーナ礼拝堂。
それほど大きくもない空間に、うぢぁうぢぁ人がいるところがすっきりしていました。2016年に行った時、同僚ガイド達は他のグループも効率よく動けるように綺麗に整列してもらっていたりしていたのが印象的でした。
今回は、まだグループは入っていないようでしたので、来場者は思い思いの場所であっち観てこっち観て、という感じ。
ここぞとばかりにミケランジェロの最後の審判を祭壇近くの至近距離で鑑賞していたら、係の人に随分経ってから注意されました。至近距離は空いていてもダメなんですね…すみません。

出口 螺旋階段 Scala a spirale

螺旋階段
出口のうずまき階段

思わず走り出したくなる空いている螺旋階段。走ってはいけません、ぜったいコケる。

時間の都合で3時間ちょっとしか居られなかったので、お庭とか大聖堂の方は見学できませんでしたが、非常に贅沢なひとときでした。
上に載せた代表的な作品や場所の他、気になっていたボルジャのアパートメントのピントゥリッキオの壁画天井画や、ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノの裾絵とか、近代美術作品をかなり重点的に鑑賞できたのが個人的に収穫です。

何かの宗教行事で入場規制をしている訳でもないのにすっきりしてしまっているサン・ピエトロ大聖堂↓

聖ピエトロ大聖堂
大聖堂も見学可能(今は美術館側からの入場はできないので一旦出てから)

人混みがないのがなんだかやっぱり違和感でしかないです。
すこし歩いて振り向いてみても、、、

サン・ピエトロ大聖堂 コンチリアツィオーネ通り
コンチリアツィオーネ通り

閑散としていますね。

ローマの街の様子

テルミニ駅まではバチカンから徒歩で1時間弱。
交通機関を使ってもいいけれども、街の様子を見たかったので往復歩きました。
道すがらの様子です。

テヴェレ川
テヴェレ川
ポーポロ広場
ポーポロ広場

人はそれなりにいるけど、屯しているのは地元の若い子だけ。

ナヴォーナ広場
ナヴォーナ広場。

ちなみにこのナヴォーナ広場の右奥あたりに入り口のあるPalazzo Bareschiでカノーヴァ展”Eterna bellezza”が期間延長で開催中。昨年の11月に行ってきてよかったので、こちらもおすすめ。

パンテオン
すっきりパンテオン

パンテオンもやっぱり空いていました。
入り口でモニターに顔を合わせると、体温が測られる仕組み。
内部は時計回りの一方通行。

ローマ 道
ローマの小道

大都市だとそれなりに人口が多いので、もうちょっとは活気があるとは思っていたのですが、観光客の来ないホテルやお店は閉まったまま。そこで働いていた人たちも街の中心には来ないので、ローマも閑散としていました。
フィレンツェだと住人はもともと中心地から抜けて周辺の郊外へ移ったりしているので空洞化はある程度分かるのですが、ローマもこんなものなのだなぁ、と改めて今後の経済の先行きが心配になるのでした。
他人事のようですが私も仕事がガイドですので、仮に今後数年にわたって低迷が続くのであれば廃業も考えなくてはいけません。
もともと低コストなライフスタイルなので、まあ、暇なのを利用して色々やっておこうかな、と思っています。
とりあえず、イタリア国内旅行ができるようになったのは喜ばしい限りです。
早く国をまたいでの旅行も安心してできるようになる事を祈っています!