先日のブログ記事の続きです。
一つの教会に一ページを使っても、どんなに長くなっても書ききれない豊かな都市、ヴェローナ。
でも、今日もざっくりと、勝手な主観で旅の様子をお伝えします。
模範的なモデルコースを回ったところで、同じものを見たとしても、誰一人として同じ事を感じて考える事はありませんし、そこが面白いところでもあります。
さあ、ヴェローナ大聖堂を後にして、橋を渡って少し歩いたところにこの教会。

サン・ジョルジョ・イン・ブライダ教会 Chiesa di San Giorgio in Braida
ここにパオロ・ヴェロネーゼの作品があります。
そしてティントレットの作品もあるとwikipediaに書いてありますが、この教会のボランティアの方が、まだ確定はしていないもののおそらくティントレット(と、その工房)によるものだ、と説明してくださいました。
しかし、説明をしっかり聞いてしまったので写真を撮り忘れました…。あらま。
唯一撮ったのは、ここ。教会の左側にある祭壇の後ろ側。

1400年代中頃に街の警備の兵士の一人が、いつものカードゲームなどに飽きてしまい、この教会近くにあった塔に登り、壁に草を筆がわりに、草の汁を絵の具がわりに十字架を背負ったキリストの絵を描きました。
その絵がだんだんと信仰の対象になり、この小さな礼拝堂の壁一面に残されているような供物が捧げられる事になります。
これらの絵は供物で、1700-1800年代のものだそうです。
どれも、十字架を背負ったキリストが描かれています。
こういった人々の暮らしや信仰を垣間見れると、厳かな気持ちになります。
この礼拝堂も案内していただいたボランティアの方は地理(か幾何学、どっちだったかな?)の先生をずっとされていて、定年退職後はボランティア活動や趣味の考古学を研究されているそうです。
で、「世界で一番好きな場所はもちろんヴェローナ。」と聞いてもないのに(!笑)嬉しそうに語る、すてきな方でした。
そしてここでいただいたのは、ヴェローナのマップ。
川の向こう側にあるポイントがとてもわかりやすくイラストで描かれています。

サン・ジョルジョ・イン・ブライダ教会は、マップの中の左端に大きめに描かれているものです。
結構たくさんポイントがあるので、また行っても一日では回りきれないかもしれません。
そして次はに行ったのは、
サント・ステファノ教会 Chiesa di Santo Stefano
サント・ステファノ教会にて、個人的に気に入ってしまったのがこの天井画。

とても小さい面積の天井に描かれたフレスコ画。
雲の中に色々なものが見え隠れしています。
肉眼だともう少し分かりやすいのですが、天井画を囲む壁4面全体にテラス、その向こう側にはたくさんの天使が描かれています。
吹き抜けになった中庭から空を見上げているような感覚になります。
雲の中のものは、それぞれに聖人のシンボル。
十字架はキリストを表し、鉄格子みたいなのは聖ロレンツォ、ペンチは聖アポッローニア、剣は聖パオロ、などなど。
でもこの教会の由来に関係しているはずなので、槍っぽく見えるのは矢で聖ステファノのものかもしれません。
全部意味があるのですが、その土地固有のものや伝説に基づいたものもあるので、ヴェローナ独自のものがあるのかもしれません。
そして、また次。
サン・フェルモ・マッジョーレ教会 Chiesa di San Fermo Maggiore
事前に少し調べて、ぜひ見たいと思っていたのがこちら。

ニッコロ・ブレンゾーニのモニュメント!
彫刻はドナテッロの弟子でフィレンツェでも活動したナンニ・ディ・バルトロ、キリスト復活のシーン。
絵はピザネッロで、受胎告知がテントの形をしたレリーフの上に描かれています。
額縁のような装飾があり、その上の右左に大天使ミカエルとラファエルも表現されています。
とっても良い作品ですけれどもね、作品の前に本棚みたいなものが前にどっかりと置かれていて、正面から距離を取って見れないんです。それがちょっと残念でした。
ちなみにこのサン・フェルモ・マッジョーレ教会の天井、とっても素敵なんです。

この、教会としては珍しい形の木製の天井、ヴェネト州あたりでないと見る事ができないものです。
“船底屋根-Soffitto a carena di nave“と呼ばれていて、船の底をそのままひっくり返して天井にしたような形をしています。
ゴシック時代に石造りのヴォールトに支えられた重たい天井が作られたのと同じ時期に、こういった軽量の木製天井も作られました。
ヴェネト州という事は、ヴェネツィア、ヴェネツィアと言えば海や運河、と言えば船。
船を作る技術が発達していたので、この天井を造る事は自然であったのではないであろうか、とのことです。
詳しくはヴェネツィア建築大学のこちらの資料が参考になります。
船底屋根(イタリア語)
サン・フェルモ・マッジョーレ教会の天井で面白いのは、下から見上げると、ちいさーーーーーくしか見えない窓みたいな形のところに、一つ一つ、聖人が描かれているんです。

私が行った時は修復中で、一部は足場で覆われていましたが、分かりやすいように地上には写真のパネル展示がありました。
次に行ったのは、サン・ゼノ教会。こちらはまた長くなるので別ページにします!
・続き・