もくじ
- 1 メディチ別荘 – ヴィッラ・ディ・カステッロ Villa Medicea di Castello
- 2 メディチ別荘 – ラ・ペトライア Villa Medicea La Petraia
- 3 メディチ別荘 – ヴィッラ・ディ・ポッジョ・ア・カイアーノ Villa Medicea di Poggio a Caiano
- 4 ヴィッラ・デミドフ Villa Demidoff (メディチ別荘 プラトリーノ Villa Medicea di Pratolino)
- 5 メディチ別荘 – ヴィッラ・ラ・クイエーテ Villa La Quiete
- 6 メディチ別荘 – ヴィッラ・ア・フィエーゾレ Villa Medici a Fiesole
- 7 メディチ別荘 – チェッレート・グイーディ Villa Medicea di Cerreto Guidi
- 8 メディチ別荘 – ポッジョ・インペリアーレ Villa Medicea del Poggio Imperiale
- 9 メディチ別荘 – アンブロジアーナ Villa Medicea dell’Ambrosiana
- 10 メディチ別荘 その他ヴィッラ 関連記事
メディチ家の別荘をはじめ、フィレンツェ周辺にはヴィッラと呼ばれる別荘が点在します。
土地の狭い街中に対して、大きな建物とそれぞれのスタイルでデザインされた庭園を持つのが特徴です。狩りの為であったり、政治から身を引いた後の静かな暮らしを求めたものであったり、休日を過ごすくつろぎの場であったり、、用途や場所によって趣が異なります。
フィレンツェから日帰りで行ける場所を主にご紹介します。
メディチ別荘のマップ↓
メディチ別荘 – ヴィッラ・ディ・カステッロ Villa Medicea di Castello
メディチ家のコジモ一世が幼少期に過ごした別荘。
ここに、現在はウッフィツィ美術館所蔵の”春-プリマヴェーラ”、”ヴィーナスの誕生”などボッティチェッリの作品が一時期飾られていた事が確認されています。
イタリア式庭園と呼ばれる幾何学的デザインの美しい庭には、春からまだ暖かい秋にかけて数々の珍しい種類のレモンの鉢植えが並べられます。”動物のグロッタGrotta degli Animali”という人口洞窟も見所の一つ。
建物内にあるAccademia della Crusca アカデミア・デッラ・クルスカ所蔵のスコップの飾られている部屋は圧巻です。*庭園は一般公開されていますが、建物内の見学にはクルスカの許可が必要です。
オフィシャルページ
–Firenze – Girardino della Villa di Castello–
アカデミア・デッラ・クルスカオフィシャルページ
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ヴィッラ ・ディ・カステッロ – ジュスト・ウテンス
ジュスト・ウテンスGiusto Utens はイタリア風の呼び名で、本名はIustus Van Utensというフランドルの画家です。1599年〜1602年にかけてメディチのヴィッラ の絵をシリーズで描きました。17点描いたうち、現存するのは14点、現在はラ・ペトライアに展示されています。
イタリア式庭園 Giardino all’italiana
ここが最初ののイタリア式庭園、ニッコロ・トリーボロの設計です。ジオメトリックな配置。冬の間はここに置かれているレモンの鉢植えはリモナーイアと呼ばれる温室で管理されます。沢山の形、珍しい貴重なレモンなどが大切に育てられています。
ヘラクレスとアンテオの噴水 バルトロメオ・アンマンナーティ
オリジナル作品はすぐ近くにあるメディチ別荘ラ・ペトラーイアに保管展示されています。イタリア式庭園の中央にあります。
動物のグロッタ 内部 Grotta degli Animali
トリーボロが設計し、ヴァザーリが完成させました。中には沢山の動物の彫刻もあります。その中でもブロンズ製の動物たちはバルジェッロ美術館で見る事ができます。近年修復され噴水が機能するようになりました。詳細ブログ→カステッロのメディチ別荘 – 噴水というか、すごい水遊び庭園
アッカデーミア・デッラ・クルスカ Accademia della Crusca
壁にかけられた沢山のスコップ。それぞれにアカデミア・クルスカ会員ひとりひとりのモットーとそれを図像にしたデザインの絵が描かれています。どれもが小麦(クルスカが麩を意味します。小麦を脱穀して麩を取るように、イタリア語も美しく整えるという例え。)に関連しています。スコップも小麦をすくう為の道具です。申し込むと見学可能。
イタリア語を美しく、、ということで、ここだけ表記を『アカデミア』ではなく『アッカデーミア』と元の発音に近い表記にしてみました。
メディチ別荘 – ラ・ペトライア Villa Medicea La Petraia
メディチ家のコジモ一世が相続したヴィッラ・ディ・カステッロのとはまた別に、その近くに購入した別荘です。コジモ一世の長男フランチェスコ一世はヴィッラ・デミドフを熱心に造り上げますが、その死後に家督を継いだ弟フェルディナンド一世は、このラ・ペトラーイアの改装をします。フランチェスコ一世がからくりや優美さを追求した複雑なヴィッラを造ったのに対して、現実的な考えの持ち主フェルディナンド一世はシンプルな改装に留めます。現在バルジェッロ美術館に展示されているミケランジェロのブルータス像があったと記録されています。その後、徐々に装飾が加えられ、19世紀後半にイタリア王ヴィットーリオ・エマヌエーレ二世とその妻ロジーナが普段の居城であるピッティ宮殿を離れてくつろぎの時を過ごしたのがこの別荘です。
オフィシャルページ
–Firenze – Villa medicea della Petraia–
ヴィッラ・ラ・ペトライア - ジュスト・ウテンス
ラ・ペトラーイア荘の16世紀末の様子。その他のウテンスが描いたメディチ別荘の絵も、現在はこちらラ・ペトライアに保存されています。
中庭/舞踏の間
入ってすぐの中庭。もともとは吹き抜けだったのが、19世紀終わりに屋根がつけられ舞踏の間として利用されました。一面の壁画はヴォルテッラーノとコジモ・ダッディによるもので、16世紀から17世紀に描かれました。
遊戯の間
ビリヤード台、カルタ遊びの机や、会話を楽しみながらパイプを吸う為の変わった形の椅子、ボードゲーム、すごろく、など沢山のゲームが置かれている部屋です。
フィグリーナのデッキ Piano della figurina
建物内から見た、庭から一段上がった場所です。庭の真ん中に置かれている彫刻は、ジャンボローニャ作、”ヴィーナス・フィオレンツァ”、もともとはお隣のメディチ別荘カステッロにありました。現在庭園内のものはレプリカに置き換えられており、オリジナル作品は建物内に展示されています。
バスルーム お香立て
19世紀終わりの陶器製人形型お香立て。シャワーを浴びる事の滅多にない時代の王侯貴族の日用品です。
ブロンズ製プット
もともとは近くのもう一つのメディチ別荘カステッロの噴水ですが、現在はここ、ラ・ペトラーイアにあります。アンマンナーティ作のヘラクレスとアンテオの噴水の水盤の縁にいるのが、このプット。レオナルド・ダ・ヴィンチの甥、ピエリーノ・ダ・ヴィンチ作。後の壁に見えているウテンスの絵は、ヴィラ アンブロジアーナです。
ラッファエッロ、カラヴァッジョ、フィリッポ・リッピ、ロッソ・フィオレンティーノ、カノーヴァ、ピエトロ・ダ・コルトーナ、アルテミージア・ジェンティレスキなど数多くの作品がクアドレリーアと呼ばれる壁一面に絵画を並べる形式で展示されています。
目当ての作品を探してもいいし、じっくり滞在して知らなかった作品に惹かれたり、ふとした新しい発見も楽しめる場所です。
メディチ別荘 – ヴィッラ・ディ・ポッジョ・ア・カイアーノ Villa Medicea di Poggio a Caiano
ルネサンスの別荘建築の雛形にもなったジュリアーノ・ダ・サンガッロの設計。内部にあるポントルモのフレスコ画”ウェルトゥムヌスとポメーナ”がメディチの賞賛を今も続けます。
ヴィッラの2階(日本式には3階)に静物画美術館が2007年、オープンしました。(2024年現在休館中)
オフィシャルページ
–Villa Medicea di Poggio a Caiano–
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ヴィッラ ポッジョ・ア・カイアーノ ジュスト・ウテンス
現在の姿とは違う1599年当時のヴィッラ ポッジョ・ア・カイアーノの姿が確認できます。
ヴィッラ ポッジョ・ア・カイアーノ 外観
正面の曲線を描く階段は1800年代初期パスクアーレ・ポッチャンティ設計によるものです。ジュリアーノ・ダ・サンガッロ設計の15世紀当時のものは真っ直ぐ。
ヴィッラ内 劇場
トスカーナ大公ピエトロ・レオポルドの時代の劇場。奥の絵画”アポッロとミネルヴァ”はナポレオンの妹エリーザ・バチョッキの注文。
ウェルトゥムヌスとポモーナ ヤーコポ・ポントルモ
レオ10世の間にある大きなフレスコ画、ポントルモの代表作の一つ、ウェルトゥムヌスとポモーナ。真ん中の円窓は木の幹を表しています。
ヴィッラ・デミドフ Villa Demidoff (メディチ別荘 プラトリーノ Villa Medicea di Pratolino)
メディチ家のフランチェスコ一世がブオンタレンティに設計をさせ造った別荘。なんと、ウフィツィの建設費用の約2倍の資金が使われました。残念ながらフランチェスコ一世の後は打ち捨てられ放置され、後になってロシアの富豪デミドフ家(ロシア語の発音はディミードヴ)が買い取り整備したのがおおよそ現在の姿です。現在、冬期を除いて公園として解放されており、週末は家族連れなどで賑わいます。フランチェスコ一世の時代のものでは、ジャンボローニャの巨大な彫刻、アッペンニーノがあります。その他、失われてしまった数々の水を使ったからくりや建物は、ジュスト・ウテンスの絵画に見られます。(メディチ別荘ラ・ペトラーイアに展示されています。)
オフィシャルページ
–Giardino Mediceo di Pratolino–
ヴィッラ・ディ・プラトリーノ – ジュスト・ウテンス
1500年代終わり頃のメディチ別荘プラトリーの様子。現在は失われてしまった建物、庭園(部分的に残っています)が描かれています。広大な敷地を使った庭園は、小道を通ると水が吹き出したり、仕掛けによって装飾が回ったりする手の込んだ仕組みでした。
アッペンニーノ ジャンボローニャ
フランチェスコ一世時代の庭園で一番大きく一番よく残っている部分。一般公開はされていませんが、裏から彫刻の中に入れるようになっていいます。中で火を灯すと目が光っているように見えたそうです。
こちらも数少ないフランチェスコ一世の時代のもの。庭園内にあります。
礼拝堂
デミドフ時代の礼拝堂。
ユピテル
現在はボーボリ庭園内に移動してしまったユピテル(バッチョ・バンディネッリ作)の代わりに置かれた彫刻作品。デミドフ家の時代のもの。
彫刻作品についてのブログ→フィレンツェ大聖堂 バンディネッリ作品の行方
メディチ別荘 – ヴィッラ・ラ・クイエーテ Villa La Quiete
メディチ家最後のメンバー、アンナ・マリーア・ルイーザにゆかりの深い別荘。2017年になって一般公開されました。ラ・クイエーテという別荘の名前は、1632年にジョヴァンニ・ダ・サン・ジョヴァンニが描いたフレスコ画のタイトル、”La Quiete che pacifica i venti ラ・クイエーテ(静寂)は風をなだめる” に由来します。
見学無料、要予約。
オフィシャルページ
–Antico Conservatorio delle Montalve–
ラ・クイエーテ庭園
建物側から見た庭園。鍛鉄の門も美しいです。
絵画コレクション
ラ・クイエーテの絵画コレクション。一番右はボッティチェッリの作品。
建物内部の様子
アンナ・マリア・ルイーザ・デ・メディチが暮らした18世紀のフレスコ画です。
メディチ別荘 – ヴィッラ・ア・フィエーゾレ Villa Medici a Fiesole
老コジモが購入した別荘をその息子ジョヴァンニがルネサンス様式に改装したのが、このヴィッラ・メディチ・ア・フィエーゾレ(フィエーゾレのメディチのヴィッラ)。フィレンツェの街から車かバスで20分ほどの小高い丘にある街フィエーゾレのバス終点少し手前にあります。
1478年のパッツィ家の陰謀での最初の計画ではこの別荘で偉大なるロレンツォ、その弟ジュリアーノを晩餐会の時に毒殺するというものでしたが、ジュリアーノが体調不良を理由に欠席し、翌日にフィレンツェ大聖堂で決行されたという歴史の一部の場所です。(見学は要問い合わせ)
オフィシャルページ
ヴィッラ・メディチ・ア・フィエーゾレ 外観
見晴らしのいい丘の斜面に建つ、ヴィッラ・メディチ。
ヴィッラ・メディチ庭園内部
この写真右手にジョヴァンニ・デ・メディチが書簡の中で書き綴ったオリジナルの壁が一部残されています。
イタリア式庭園
景色の良いヴィッラ・メディチからの眺め。ジェオメトリックなイタリア式庭園です。
メディチ別荘 – チェッレート・グイーディ Villa Medicea di Cerreto Guidi
コジモ一世が狩の為に、また新しい支配者としての権威を示す為に建たのがこの別荘。コジモ一世の娘、イザベッラがその夫パオロ・ジョルダーノ・オルシーニに殺されるという事件がここでありました。別荘内の床空いている穴は、下の階のベッドで寝ているイザベッラ殺害の為に仕掛けた紐を通した跡だ、と言われています。(穴が小さすぎるので、事実ではないらしいのですが。)フィレンツェにあるメディチ・リッカルディ宮殿のオリジナルの木製扉も展示されています。内部には狩猟の道具などを集めた美術館があります。
レオナルド・ダ・ヴィンチが生まれたヴィンチにほど近い場所にあります。1日あれば、エンポリ、モンテルーポ、などの小さな街と合わせて回ることができます。
オフィシャルページ
–Villa Medicea di Cerreto Guidi–
メディチ別荘チェッレート・グイーディ正面 階段
特徴的な圧倒するような階段。正確な歴史資料がないのですが、ブオンタレンティ設計と考えられています。
狩猟の歴史と土地の美術館 Museo storico della Caccia e del Territorio
階段を登った後に見えるのがこのヴィッラ。中央の階段を上って内部に入ります。美術館としての名前が、『狩猟の歴史と土地の美術館』です。
サン・レオナルド教会
別荘の真横にある、サン・レオナルド教会。別荘と内部で繋がっていて、一旦外に出る事なくミサなど宗教行事に参加できるようなっています。ここはちょうどその別荘側から入ったところ。テラスのようになっています。
メディチ別荘 – ポッジョ・インペリアーレ Villa Medicea del Poggio Imperiale
16世紀後半よりメディチ家所有のヴィッラ。ポルタ・ロマーナ(ローマ門)から真っ直ぐのびる坂道を登った先、フィレンツェ中心地から一番近いヴィッラです。バロック様式と、ネオクラシック様式の建物。2013年にユネスコ世界遺産として登録されました。フィレンツェにモーツァルトが訪れた際にここでコンサートが開かれました。(コンサートが開かれた部屋は非公開)
現在は国立寄宿学校として使われています。見学は要予約。
オフィシャルページ
–Villa Medicea del Poggio Imperiale–
謁見の間
教室として現在も使われているこの部屋は、マリア・マッダレーナ・ダウストリアの謁見の間でした。
食堂
チネゼリーア
1700年代に流行した中国趣味の部屋。
メディチ別荘 – アンブロジアーナ Villa Medicea dell’Ambrosiana
アンブロージ家が所有していた周辺の土地と2つの塔を、1573年にフェルディナンド1世が購入、塔を4つに増やすなどの改装を施しました。当時の外観が保たれた珍しい建物です。
1960年代から精神科病棟として使われましたが2015年に閉鎖、2017年より見学ツアーが不定期に開催されます。
ヴィッラ ・アンブロジアーナ – ジュスト・ウテンス
庭園はこの絵の中のような姿ではなくなってしまいましたが、建物の形は現在も同様のものを保っています。
ヴィッラ・アンブロジアーナ 外観
現在の外観です。四隅の塔のような形が特徴。