サンティ・アポストリ教会の中が明るかった

サンティ・アポストリ教会

ヴェッキオ橋近く、ちょっと小道を入るとひっそりとあるこの地味に重要な教会、サンティ・アポストリ教会。

最近になって映画「冷静と情熱のあいだ」を観なおしてみました。
映画の最初の方の、友達の結婚式シーンはこの教会で撮影されています。
この映画が公開されてから結構経ちましたね。
まだ日本に住んでいた時、イタリア旅行をする前にトランジットで友人の家に寄らせてもらって、そこでこの映画を観てからフィレンツェに来たら「この道だー!」と思ったのを覚えています。
その友人には「愛と情熱の自転車ツアーやるから!」とそれ以来毎回言っていますが未だに叶っていません。笑

 

この教会は時間を見計らって入ろうとすると閉まっていることもあります。
電話で問い合わせをして時間通りに行ったのに閉まっていた事があります。
でも、通りすがりだとなぜかよく開いています。(なぜ?)

今回も通りすがりにふと教会を見たら開いていたので、なんとなく中に入ったら、あらなんと綺麗に照明が。
なかなか直射日光の当たらない場所なので、普段内部は真っ暗です。
ロマネスク様式の教会の特徴でそれはそれで良いです。真っ暗な中でパイプオルガンを演奏する人が一人だけいる時に入った時など幻想的で、そこだけ異次元のようでした。

でも明るいと作品がよく見えて、それもまた良かったです。
なので、今回は写真を撮って来ました。

 

サンティ・アポストリ教会内部

 

明るいと言っても、ものすごく明るい訳ではなく、作品に照明が当たっていたりするだけではあります。

 

復活祭で使う石 パッツィーノ・デ・パッツィPazzino de’ Pazzi

入ってすぐ左の副祭壇にあります。
復活祭の時に使用する火打ち石と火を運ぶ道具。

ポルタ・フオーコ

 

第一回十字軍に参加して、エルサレム攻略の際に一番に城壁に登ったパッツィーノ・デ・パッツィが持ち帰ったという三つの聖墳墓の石のうち2つがこちらに。もともとは、chiesa di santa maria sopra portaという教会に保存されていたのが、1785年のこの教会廃止と共に、近くに位置した現在のサンティ・アポストリ教会に移動されています。廃止された教会は城門の上にくっつくようにして建てられていたので、sopra porta(門の上)という名前でした。ヴェッキオ橋から続く道の名前Via Por Santa Mariaヴィア・ポル・サンタ・マリアにその名残があるばかりです。

その石を火打ち石として使って、フィレンツェの復活祭の際に行われるスコッピオ・デル・カッロという一年の吉凶を占う花火を使った行事の火を起こします。しかし実際のエルサレムの石は砂岩なので、それで打っていたら火が起こらないのはもちろんのこと、1101年にフィレンツェに持ち帰ってから毎年打ち付けていたとしたら多分何十年もしないで粉々でしょう。なので、アルノ川から持って来た石を火打ち石にしたと言われています。この火を起こす行事は復活祭の前日の聖土曜日に、この教会から石を大聖堂前まで持って行き、そこで行われます。

そして、その翌日に、大賑わいの花火の日になる訳です。雌バトの形をしたロケットみたいなものが、ワイヤーを伝って大聖堂内部とファサード前に持ってこられたブリンデッローネと言われる山車の間をちゃんと行って戻って来たら、その年は安泰だ、という占いみたいなことをします。

雌バトが山車に到着すると、仕掛けられた花火が点火して、車輪みたいなものもその花火で回ったり、旗もぐるぐる回っちゃったり、かなり長時間にわたって花火が続くするかなり大掛かりな仕掛けです。

毎年、この行事を観に来る人で大聖堂前は大賑わい。狭いスペースに大勢の人が一斉に来るので、見物にいい場所を確保するには朝早くから出動しなくてはいけません。一度だけうちの子をダシに(?!)使って群衆をかき分けて前の方まで割り込んだことがあります。今年は仕事でしたし行きませんでしたが、その時にお話をした日本からいらっしゃった方が、何のお祭りか知らずに行列に付いて行ったらいい場所で花火を見れたとおっしゃっていました。その手もありますね。

 

タベルナーコロ アンドレーア・デッラ・ロッビアAndrea della Robbia

タベルナーコロ

教会内を奥左側に進むと、アンドレア・デッラ・ロッビアのタベルナーコロがあります。

この中の、神殿の形をしている中にさらにカマボコ型のヴォールトがあって、その下の白枠の小さい枠の上に更に小さな丸い小窓があります。そこに、エルサレムから持ち帰った3つの石のうちのひとつが入っています。

 

お墓 ベネデット・ダ・ロヴェッツァーノ Benedetto da Rovezzano

ベネデット・ダ・ロヴェッツァーノ

 

上記のタベルナーコロのすぐ近くにあります。
オッドーネ・アルトヴィーティのお墓。ドクロと蛇がなんとも良いです。

 

アルトヴィーティ家紋章

 

その墓の枠には、アルトヴィーティ家の紋章。この教会の色々なところ見つける事ができます。この付近の有力な貴族でした。

 

 

無原罪の御宿り ジョルジョ・ヴァザーリ Giorgio Vasari

ヴァザーリ

 

こちらの作品も綺麗に照明が当てられています。
下にアダムとイヴ、上にマリア様がいて救いを表します。

 

 

今日はメーデーでおやすみです。これから出かける予定でその合間にブログを書いているのですが、家族で出かけるとなるとどうも遅い。出発は午後3時の予定だそうですが、そういった口約束の場合はそこに2時間を足して考えるのが懸命。うーん、午後5時の出発か。。。行きたいところには、苦行のようであっても必ず行くひとり旅とは大違いです。

仕方がないので、暇つぶしに聖墳墓教会へ妄想のバーチャルツアーに行ってまいります。

 

・Chiesa di SS.Apolstoli e Biagioの場所・

ヴェッキオ橋からVia Por S.Mariaを進み、二番目の左手にある道、Borgo SS.Apostoliを先にちょっと進むと、Piazza del Limboという小さな広場があるところです。