春分を知るには
暦が今日から春ですよと言うので、何も考えずに「寒いけどもう春か」と毎年思いますが、それを科学的に日の傾き具合から観察するシステムが、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会にはいくつもついています。
そのシステムを使っての春分のイベントがあったので行ってきました。今まで何回もあったのに、予約していても仕事で行けなかったり、すっかり忘れて予約をしていなかったりで、今回やっと初参加でした。ここ数日無理をして風邪をこじらせて辛かったのですが、がんばって行きましたよ。
ファサードに日時計が二つ
まず、このシステム、1500年代後半にコジモ一世の命によりファサードに取り付けられた二つの日時計があります。
一つ目の方は、2つの輪でできる影の形で判断するものなので、日時計だとあまり言えないですが、。
両方ともとにかく、太陽の角度によって変わる影を利用したものです。
しかしそれだけでは用が足らなくなってしまったので、ファサードに二つ穴が開けられます。
サンタ・マリア・ノヴェッラ教会の”穴”
時計みたいに読む位置で言うと43か44分あたりに、小さい穴があります。ブルーのゾーンで、光が少し強いところです。(肉眼だと分かりやすいのですが)
あと、壁と天井の間に穴が一つ、天井の壁に近いところに長細い穴が一つ。これらはファサードに開けられている一つの穴から差す光を教会内に通す為のもので光源は一つです。
他にもこういった仕掛けがある教会は色々ありますけれども、二つも開いているのは珍しいんだそうです。
例えば、ローマのテルミニ駅近くの名前を全部書くと非常に長くなてしまう教会、
サンタ・マリア・デリィ・アンジェリ・エ・デイ・マルティリ教会のものはこれ。
床のデザインが美しいですね。この上に光が差すように計算されています。
そして、今日のサンタ・マリア・ノヴェッラ教会の春分イベントの様子。↓
ところがなんと、曇り・・・。
全くぼんやりとも光の線がありません!
残念!!
春分-秋分-冬至-夏至 が分かる仕組み
教会内独特のワーンというエコーの効いてしまうマイク音声で色々詳しくスライドを使ってご説明いただいています。↓
そうでなくてもボーッとしてる風邪っぴきの頭には結構つらかったです。
このスライドでは1575年ではここまで来ていた光線が少しずつずれて、440年後の現在では18cmも違うという説明。一世紀ごとに4cm短くなると。
写真は撮りませんでしたけれども、光線が床を楕円の形になって照らした時の直径の変化とか、星座との関係、あと、一時間に11mmライン上を移動していく、、などと細かいデータもお話されていました。
一緒に行った友達は、「はっ!?こんなのもう知ってる話よ。太陽が出ていないんじゃ意味がない。じゃ、私は帰るわ。」と言って、さっさと帰って行きました。非常にさっぱりした友人です。確かに、細かい数値は知りませんでしたけれども、要点は簡単・・・。私はしっかり日本人らしく律儀に説明が終わって質問タイムのさわりまで聞いてから、帰りました。その後、面白い話があったかどうかは知りません。
その最後の質問の1件目は、「次は6月?その時もイベントやります?」
まだイベントの企画自体は決まってないようで、一緒にご説明されていた修道士の方と見合わせていましたが、うなずいていたので、やるのでしょう。既に定期イベントみたいになってますし。
昔の人にとってはは、今日みたいに天気が優れないと、せっかくの記録観察のできる日が台無しになってしまって、次を待たねばならないという気の長い研究だったのでしょうか。そんな事も考える、春分の日でした。
これは、去年床に入れられた真鍮製のライン。今は楕円の筋にも真鍮のラインが入っています。天気が良いとこの上を太陽が通ります。