バッソ要塞は、ピッティウオーモなどのイベントや展示会に使われるフィレンツェにあるモニュメントの一つ。
要塞という名前からして想像がつくところですが、イベント用に近年造られた訳ではなく、本当に要塞として1534〜1537年アレッサンドロ・デ・メディチ公の下、アントーニオ・ダ・サンガッロ・イル・ジョーヴァネの設計で建てられました。
その当時、フィレンツェの街を囲んでいた城壁の北西側に建設されています。
バッソ要塞の”バッソ”というのは、イタリア語で低いという意味で、正式名称ではありません。
当初はフィレンツェ守護聖人の洗礼者ヨハネ、サン・ジョヴァンニ・バッティスタの名前が付けられたものの、大砲が発明されてからの設計で低めで厚い壁なのと、地理的に外敵からよりも内敵を監視する意図のある場所にある事から、バッソと呼ばれています。
現在では元々の正式名称は殆ど知られていません。
さて、そのバッソ要塞、イベントの折にはかなりの入場者数で混み合うのですが、
そんな時にもひっそりとずっと非公開になっていた部分がありあした。
それが、
地下道!
今年になって修復が終わり、初公開!
外側から見ると、こんな感じ。
外壁は丸と角の装飾がついていて、丸はメディチの紋章から、角はメディチのシンボルの一つダイヤモンドから、とも言われます。
一個一個のブロックにそんな加工をするのって、結構面倒だよな、と思いつつも、中に入ります。
中に入って、まず向かうのはこの建物。
一枚前の写真で正面から見た所の裏に、塔みたいなものが隠れていますよね?(上の写真の丸っこい物見台の後ろ側)それです。
これは、要塞が建てられる前に使われていた城門で、ファエンツアの門と呼ばれています。
要塞建設時に取り壊されずに、構造体の中に組み込まれていますので、現存しています。
あ、この門に入る前に、一箇所注目。これ↓
アーチになっているところの下、ここは川が流れていました。
ムンニョーネ川です。
アルノ川はよく知られていますが、フィレンツェの街の発展に深く関連しているのが、このもう一本のムンニョーネ川。フィレンツェの真ん中を大昔は流れていたのが、街が大きくなるに従ってじゃまになったので、どんどん西側に追いやられていきまして、現在ははとんでもなく遠くのカッシーネ公園の向こう側に行ってしまいました。
バッソ要塞が建てられる前はここは城壁の外側になりますので、流れていたのはここ。
お堀みたいな感じですね。治水の歴史から見ても面白い街です。
入りますよ!
入ってすぐはホールみたいになっていて、ブルネッレスキ(大聖堂)のクーポラ思わせます。
そこから下へ、、、
細かい事なんですけれども、こんな地味なところでこのライティング、うまいですよね。
ワクワクするじゃないですか!
進みます。
バッソ要塞の地下道入ります
狭い!長い!相変わらずライティングがいい感じ!
もっとボロボロなのを想像していましたが、修復と整備が済んだだけあって、結構整っていました。
壁のレンガがボロっとしていますが、全部チェック済みだそうです。
今回公開されたのは一部のみで、本当は要塞の壁を全部ぐるっと一周回れるようになっています。安全上の問題でコンディションが良い場所のみ、公開されています。
面白い構造をしていて、等間隔に幅が広く、天井が高くなっている部分があります。
写真では若干分かりにくいですが、これは見上げている状態です。
暖炉の中にでも入っているように感じられるものの、別に上に開口部がある訳ではありません。
この通路、防衛戦の時に要塞内を安全に行き来する事ができて、非公開部分には仮に敵が入り込んで来ても鉄砲で反撃できるような穴が壁に空いていたりするそうです。
伝説によると、街の南側にあるベルヴェデーレ要塞と地下通路で繋がっている(かなり不可能っぽいそうな)とも、街の外か内側に逃げる地下道があるとも言われています。
実際にどこに行くのか分からない塞がった出入り口の跡なんかもあるので、もしかしたらそのうち発見されるかもしれませんね。
なんだか歴史ロマン。
で、これで終わりかと思いきや、うれしいおまけが付いて来ました。
ファエンツァの門!
地下道を見学した後に解散かと思いきや、案内されたのは、ファエンツァの門の地下。
右手にアーチがみえるのは、橋桁の跡です。
ここをムンニョーネ川が流れていました。外側からよりも見やすいですね。
写真前方にいる人たちは、一緒のグループの見学者。毎回思うのが、こういう見学ツアーに申し込む人って、ある一定の年齢以上の人ですね。
特にこれは無料なので、そういうのを目敏く見つける、かつフィレンツェ大好きな人…それは、じーちゃんばーちゃん!(一番手前にいる女性は一番の若手。)と、私。
地下を見学できたなら、今度は、
ファエンツァ門に登る!
まず、こんなテラスみたいなところまできて、箱型のファエンツァ門の小さな扉から中に入り、階段を登ってゆきます。
すると、左側の屋根付きのおしゃれなカフェテラスみたいなところに出られます。
右手にクーポラが二つ見えます。右側がサン・ロレンツォ教会(メディチ家礼拝堂)の君主の礼拝堂。左側が大聖堂のブルネッレスキのクーポラ。
本当にここでカフェができたらいいな、なんて思いつつ、
外を覗くとこんな感じです。↓
手前に試験運転中で誰も乗っていないトラムが走っています。(現在は正式に運行中!病院のあるカレッジ行きです。空港線開通は2019年にずれ込む模様。)
このトラム、バッソ要塞前に停留所ができたので、駅から徒歩で来られる場所とはいえ、アクセスが向上しました。
左側から外を覗くと、
より要塞っぽい感じがしますね。
この壁の下を地下道が走っている訳です。
景色が良いので、ここも前のブログ記事に載せてもよさそう。↓
バッソ要塞地下通路の見学申し込み
このバッソ要塞の見学ですが、行けばすぐに入れる訳ではなくて、電話予約が唯一の方法です。
2018年の公開は、7月7日〜9月29日の土曜のみ、9:30/10:30/11:30 の三回のツアーどれかに参加する形になります。予約料もなくここは無料。参加可能年齢は8歳以上。イタリア語のみ。
当初4日間のみ公開の予定でしたが、リクエストが多かったのか会期延長しています。この機会に是非!
Tel. (+39) 055-2768224 Mus.e