ミラノ展覧会その2 1900年代美術館、カルロ・カッラー

ミラノ 900美術館

 

 

「インスタ映え!ハッシュタグ付けて宣伝よろしく!」という意図が感じられる上手い見せ方、
ミラノのMuseo del 900の館内から見たミラノ大聖堂。

前回からのの続きです。

 

Museo del 900 – Milano

直訳すると、900の美術館。
意味は、1900年代の美術館。

フィレンツェにもほぼ同名の美術館があり、やっぱり1900年代の作品を収集、展示しています。
美術館名が少しだけ違って、Museo Novecento(novecento=900)です。
del (di+ilという定冠詞で、”〜の”の意味)が付いていないので、900美術館か発音そのままでノヴェチェント美術館と読んだら良いのでしょうか。


隣のPalazzo Realeはちょくちょく行くのに、なんだかんだここに来るのは今回初めて。
美術館の順路を進むと、しょっぱなから美術の教科書に出てくる作品がゴロゴロ出てきます。

 

モディリアーニ

アメデーオ・モディリアーニ。
高校の美術の教科書ーーー!本物!

 

 

モンドリアン

 

モンドリアン!
この時期のモンドリアンの絵画、理屈は抜きで好きです。
実家に放置している昔の展覧会カタログを持ち帰りたい意欲up。
いつの展覧会だったのか検索してみたら、1998年のBunkamuraザ・ミュージアムでのモンドリアン展。結構前でした。

 

 

ボッチョーニ

ボッチョーニ!
これも教科書に載っていましたねー。
実物は想像していたものよりも若干大きく、そしてブロンズという素材が、構成的でありながらも重厚さが出していました。

 

キリコ

 

ジョルジョ・デ・キリコ!
よく知られている形而上絵画というもの自体、フィレンツェのサンタ・クローチェ広場がインスピレーションの元って、あまり知られていない気がします。
フィレンツェのノヴェチェント美術館、シヴィエーロ美術館にもデ・キリコの作品あります。

 

 

美術館内では、「CHI HA PAURA DEL DISEGNO? – デッサンが怖いのは誰?- 」展も開催中でした。

 

一周美術館を廻った後にある展示室は小さい規模でしたし、あまり期待はしていなかったけれども、
このデッサンを発見!

アドルフォ・ヴィルト

 アドルフォ・ヴィルトのまだ見た事のなかったデッサン!
この人はイタリアでは結構有名な彫刻家です。 

ガラスケースに思わぬものも発見。↓

アドルフォ・ヴィルト

 

この本、持ってます!
20年くらい前に日本のオンラインの古本屋かなにかで購入しました。
インターネットであまりヴィルト作品の情報がなかった時代(探し方が悪かったのかもしれませんが)に、この1945年発行の小冊子のデータを元に、後日ミラノで実際に作品探しをしたんです。
薄っぺらい小さな冊子の割に内容が良く、そして思い入れのある良本です。

初めてミラノを訪れた時に探しきれなかったアドルフォ・ヴィルトの作品を、最近になって再度探し出した時のブログはこちら。↓

 

 

Carlo Carrà カルロ・カッラー展

続いて、Palazzo Realeの地上階の会場でやっているCarlo Carrà展。
(前回ブログで書いたピカソ展はPalazzo Realeの上の階。)

 

カルロ カッラ

 

このカルロ・カッラーというイタリア人画家の作品、作風にかなりの振幅幅があります。
撮影禁止の作品も多かったので、会場でもらってきたパンフレット↓をご覧いただけますでしょうか。

 

カルロ カッラー

見開き4点、一瞬4人の画家の作品が紹介されているようですが、どれもカッラーの作品。
中央下にあるはデ・キリコそっくり。左上はジョルジュ・ブラックっぽく、右下は純粋な風景画っぽい風景画、右上は人物が配置された風景画。
その他、展示作品の中には画面内を大きくキュビズム的に構成したものもあれば、風景をそのまま切り取ってきたようなもの、デフォルメされた人物像、自然な人物像、、、、。
時代別にカテゴリーで分けられるものもありがなら、晩年にトスカーナの海近くに家を構え描いた作品には、自然な風景画の中にも画面を平面的に割って構成したようなものもあり、なので一括りでカッラーを語るのは難しいです。
約130点ものカッラーの作品を集めた、これまでなかった大規模な展示なので、少ない展示数では分からない大きな流れを見る事ができました。
でも、やはりよく分からない面もあるなぁ、なんて会場を進んでいたら、「・・・必ず両義的である。」というカッラー自身の言葉が壁に示されていました。

 

で、ですね、結局のところ芸術というのは、その時代のリアリティーの各々のヴィジョンなのではないかと、そんな事を思った展覧会でした。