工事中で閉まっていたウフィツィ美術館の一部の部屋が、2月19日にリニューアルオープンしました。
今まで”黄色の部屋”と呼ばれていた、出口に一番近い区画でカラヴァッジョの作品などが展示されていた場所です。
2月19日は月曜の休館日でしたが、お披露目のためにリニューアル部分のみの一般無料開放。
当日行ってみたら長蛇の列、、しかも全然進んでないという並び中の友人のメッセージを読んで、初日は断念。
火曜日の午後、仕事の後に寄ってきました。(ウフィツィでの仕事でなかったのが不幸中の幸。さもなくば絶対月曜日に下見!)
ウフィツィ美術館は展示作品数が膨大なもので、最後に行き着くこの場所は通行路にあるカラヴァッジョの作品を鑑賞し後は、クタクタに疲れていてダラーっと出口に流れて行く人が多かったです。
なので、”1600年代のフィレンツェ絵画”っていうちょっとマイナーな世界が広がる黄色い部屋の奥へ入って行く人はあまり見ませんでしたし、そもそもロープが張られて閉まっている事の方が多かったんです。
そんな、最後のクタクタゾーン、これからは見逃せなくなりましたよ!
(素直にそう思っている訳でもないのは後述します。)
改装工事後は、イメージを一新して壁の色は上品な赤。
最初の部屋の真ん中には、ドッソ・ドッシ↑が来ました。
長い事お蔵入りになっていて、年末の特別展示なんかで登場していましたが、常設になる模様。
個人的にひじょーに嬉しいのは、これ↓
アンニーバレ・カッラッチ。
これ、パラティーナ美術館にこの作品のコピーで小さい版があるけれども、単にオリジナルを観たくなるだけの作品。
これは本物を肉眼で観るべき作品。
ヴィーナスの背中が、えも言えぬセクシーな輝きを発しています。
そして、多くの人にとって必見のカラヴァッジョは右手奥の部屋にあります。
この写真は奥の部屋の二つ目。
奥の部屋のどん詰まりにあるのがカラヴァッジョのバッカス。
奥の部屋の一つ目には、同じくカラヴァッジョのメドゥーサがあります。
で、ここで問題なのですが、、、
写真を見てわかるように、部屋が若干狭いんです。
入館者が少なめな今の時期はいいんですけれども、これ、ハイシーズンになったら???
部屋の奥にあるという事は、奥まで行ったらまだ戻ってくるUターンが必要。
という事は、25人とかのグループが来たらどうなる?
奥へ行く人と戻ってくる人の動線が、まずいんじゃ??
しかもグループが2つ来たら、3つ来たらどうする???
しかも、それが他のグループの事を考えない学校の先生とかが引率してたらどうする??
そんな学生たちが、絵の前で体育座りとかしだしたら、どうなる????????
で、そこに個人の鑑賞者も入り乱れますよね??????????????????????
え?どうなんだい?????館長さーーーーん!!!!
きっと、下見に行ったガイドはみんなそう思ったに違いない、。
この展示方法が、カラヴァッジョの両作品がそれですもん。
時間の制約のある団体ツアーだと、遠くから通りすがりに一瞥して終わりになる気がしてます。
展示作品が大きくチェンジ!
更に進むと、こちらの部屋に到着。
はい、こちらに出現したのは、
なんと、ルーベンスとレンブラント!
今まで”青の部屋”と呼ばれる区画にあった名作たちです。
あの部屋、名作がこっそりとごっそりとある場所なのに、よく閉まってるんです。
その青の部屋の目玉作品のいくつかがここに登場。
レンブラントのラビとか自画像とか、ルーベンスの自画像と愛する妻の肖像画とか。
え?
という事は、青の部屋の重要度を落として、気軽にそっちは締め切っておこうとでも、そんな作戦立ててません??
穿った見方かな、。
・追記→青の部屋はコンティーニ・ボナコッシコレクションの展示室になりました。
消えた作品たち
リニューアルされて、結構目玉作品が集まってたりしてるので、リッチになったこのリニューアルゾーン。
でも、よくよく前の展示を思い出すと、消えてしまった作品が相当数ある事に気づきます。
例えば、
ピンニョーネ。
このたっぷりしてて繊細、青が上品な作品がない。
フリーニの作品も、何点かあったのが、一点のみに。
この作品も消えてます。
ビリヴェルトの作品、この名作は来てます。
・前にブログで紹介しました・
でも、これ↓がない。
カルロ・ドルチの自画像も!ない!
う〜ん。。
家のご近所さん同士だった、スステルマンスのガリレオ・ガリレイ肖像画が目立つところに登場。
この作品が目立つところに来たのって、若干わざとらしいかも。
なんだか、所蔵作品のダイジェストでも見ているような気分。
目立つ作品を目立つ場所に置いて、、一般受けを狙ったね、これは。。
個人的にはちょっと残念なリニューアルオープンでした。
まだ展示室変更の計画は続いているので、先をまた期待したいです。
もっと常設展示作品数を増やしてほしいいいいいいいいい、です。
フェデリーコ・バッロッチとか。(展示して欲しかった作品の1つ)
なんだかんだ言いつつ、
初めてウフィツィ美術館に訪れる人、一生に一回しか行かない人、が鑑賞者の大多数を占める事を考えると、
いい展示方法になったのではないかと思います。
府には落ちないけれどもね、。
・追記・
この記事は2018年2月のものです。その後レオナルド・ダ・ヴィンチの間、ラッファエッロとミケランジェロの間が、最上階にリニューアルオープンしています。-2018年7月時点