ナポリ 景色のいい散歩・コース1

ナポリ サン・マルティーノ

 

イタリア国内なのに、なんだか外国気分になれるナポリ。

前回は地下のカタコンベとかに入りましたが、今回は地上の高いところを歩きます。

歩くと色々な場所に出くわすので、内容的にはち切れんばかり。記事が半分に分かれる予定です。

今回はかなりの高低差と距離なので、歩くのが好きな人にはいいモデルコースになるかもしれません。

ナポリ中央駅からナポリ中心街を通って、更にその先へ行きます。

 

サンタ・キアーラ修道院

道中色々ありまして、今回はサンタ・キアーラ修道院にも寄りました。

Chiesa dell’Arte della SetaChiesa di Sant’Angelo a Niloも入りましたが省略。言い出したらキリがない!)

こちらの中庭が特に有名です。

サンタ・キアーラ聖堂 中庭

美しいマイオルカ(マヨルカ)焼きの装飾。1700年代前半のもの。

強めの日差しに映えます。

 

中庭の一角から美術館に入りますと、1943年の空爆(第二次世界大戦中)に遭いながらもなんとか残った装飾、霊廟などの一部を見ることができます。

現在見られる聖堂内が不自然にがらーんとしているのは、この空爆で焼け落ちてしまったからです。

サンタ・キアーラ聖堂

 

フィレンツェと関係の深いロベルト・ダンジョ(アンジュー家のロベルト一世。ヴェッキオ宮殿の外壁に紋章が入っています。)の霊廟が主祭壇の奥にあります。

修道女たちが火災の中を身を危険に晒してまで救い出した聖遺物の数々なども展示されており、二度と戻らない失われた修道院の姿を写真で見ていると泣きそうになります。

 

 

こちらは美術館内で見つけた面白いもの↓

おしゃべりルオータ

臼?と思って説明書きを見ると、

ルオータ 説明書き

説明の右下の図を見ていただくと分かりやすいと思いますが、修道女と外の人が話をする為の道具でした。

現在のチケット売り場に入る為の扉に備え付けられていて、回転をさせると穴が出現。その穴からお互いの顔を少し見合わせながら話をする事ができる仕組みです。

一度修道院に入ってしまうと一生外界には出ない”クラウズーラ”という規律の下、外界とのコミュニケーションにはこういったものを使っていました。

クラウズーラClausuraは、ラテン語の閉めるという意味Claudere(イタリア語ではChiudere/閉める)に由来します。

 

 

ナポリ建築

サンタ・キアーラ修道院を出て、更に西へ進むとこんな扉の前に出ます。

パラッツォ・カラファ・ディ・マッダローニ

 

Palazzo Carafa di Maddaloni パラッツォ・カラファ・ディ・マッダローニの扉。

こんなに綺麗な装飾なのに、道幅が狭いので見逃しそうです。

フィレンツェではありえないこのデコ角ばったデザインは魅力的。

建築家の名前はCosimo Fanzago コジモ・ファンザーゴ、この後で行く場所でも登場します。

 

そこから更に進むと、

ナポリ 扉

 これもいい扉だねー、え、ん?

扉の上になんかある。

洗濯物干し

洗濯物干し!

どうやってこの穴に入れたのかのだか。

グーグルストリートビューで見てみたら、やっぱりある!

穴の後ろは窓になってるのでしょうか。

謎ですが、ここが洗濯物干しの定位置な事はほぼ確実な気がします。

 

 

ナポリの道:スパッカナポリ

スパッカナポリ

 この細い道がなんとも言えませんね。スパッカナポリって呼ばれる道。

道順としては、道を振り向いている方向で↑、

進行方向↓にはこんな教会。

chiesa di Santa Maria ad Ogni Bene dei Sette Dolori

chiesa di Santa Maria ad Ogni Bene dei Sette Dolori。

キエーザ・ディ・マリア・マッダレーナ・アドンニ・ベーネ・デイ・セッテ・ドローリ

うん、長い名前ですね。

この教会の入り口前にあるテラスからの眺めもいいですよ。

 

 

坂道!

さらにここから上って行きます。が、一心不乱に歩いたので記憶がありません。

記憶が再開するのは、この場所より。

 

汚い!

この壁!汚いじゃないか!!ゴミがいっぱい引っかかってる!!!

よくよく足元を見ると、ガラスの破片でいっぱい。

汚い道

き、危険!!

なんでここだけこんなに汚いのか、最後まで登ると理由が分かりました。

パノラマ風景 ナポリ

 いい景色!ナポリの街を一望!!

夏の夜なんてここは夜景が綺麗な上に風通しも良くて気持ちがいい事でしょう。

ビール瓶を片手に持てば、更にね。

いや、絶対に下の坂道は夜に通行をしてはいけませんね。おそろしい。

 

 

サン・マルティーノ修道院

先ほどの危険な絶景スポットから後ろを振り向くと、サン・マルティーノ修道院があります。

私が行った時は正面が修復中の足場が組まれており、入り口だけぽかんと開いていました。

そんな味気のない入り口から中に入ると、

サン・マルティーノ修道院

素敵じゃないですか。

内部はこんなです。

サン・マルティーノ 教会

左右の柱、ワインレッドの大理石の地で、真ん中にバラのような植物デザインのメダルが入っていますよね。

入り口近くのお手洗いの扉にこのデザインのカラープリントで貼ってありました。ここまで来てその同じデザインに「あ、これだ。」と気づく、、え?演出???

お手洗いの扉のデザインとしてはどうなのかと思いましたが、汚れが目立たないのかも。

 

一つ目の中庭。

サン・マルティーノ修道院

尖頭アーチではなく、綺麗にシンプルな丸いアーチなので、ルネサンス様式?と一瞬思いましたが、建築家はドーズィオGiovanni Antonio Dosioなので、1500年代終わりの反宗教革命後のもので、すっきりデザインです。

そういえば、サンティ・ディ・ティートSanti di Titoの建築デザインと似ていますね。

 

 

これは、図書館の前室です。

前室 図書館 

1700年代のもので、天井、壁、床、窓、全部きめ細やかな装飾が施されています。

床のタイルは、上でご紹介したサンタ・キアーラ修道院中庭のマヨルカ焼きと同じ職人が担当しています。

竜宮城はこんなだろうか、と妄想します。

 

 

ルーカ・ジョルダーノの天井画。

ルカ・ジョルダーノ

狭い空間が良い効果を出している天井画です。

ルーカ・ジョルダーノの天井フレスコ画は、フィレンツェのメディチ・リッカルディ宮殿や、サンタ・マリア・デル・カルミネ教会でも見られますが、彼の描くキャンバス画とは違って色合いが全部同じに見えてしまいます。いや、いいんだけど。

 

同じ部屋にはリベーラまたは、スパニョレット

リベーラ

独特のリアルさのある肉体表現。

 

同じくナポリにあるカポディモンテ美術館のこの作品が個人的に好きです。『酔っ払いのシレーノ』

お腹のぽっこりっぷりがいい感じ。ちょっと健康状態は心配。

 

ピエートロ・ベルニーニ作。有名なジャン・ロレンツォ・ベルニーニのお父さん。

ピエトロ・ベルニーニ

バロックよりもちょっとだけ手前の時代。

ピエトロは、ここサン・マルティーノ修道院で仕事中、まだ幼い息子をそばに置いていたそうです。

作品の不自然なほど傾いた首の角度などは、同時代のカラヴァッジォの作品である巡礼者たちの聖母マリアwikipedia(ロレートの聖母)の影響だと言われます。

 

 

また、この作品も同じく、ピエトロ・ベルニーニ作、サン・マルティーノのレリーフ。

ピエトロ・ベルニーニ

もともと、修道院の入り口の上に飾られていました。

ちなみにこの作品、昨年パラッツォ・ストロッツィでの展覧会Il Cinqueceto a Firenzeで、一番最後に展示されていたものです。

1500年代のフィレンツェを今までなかった視点から切り込んだ展覧会の締めがこの作品であったのは、その次の時代、息子ジャン・ロレンツォ・ベルニーニで花咲くバロックへの前兆を、まだ硬さが残りながらもダイナミックな動きを彫刻に取り入れた象徴的な表現であったからです。

フィレンツェに何の関係があるかというと、父ピエトロはフィレンツェ(セストフィオレンティーノ)出身で、カッチーニなんかとも関係があります。

 

 

で、また、いい景色!海ーーーーーーーー!!!!

ナポリ サン・マルティーノ

修道院内美術館のテラスからの眺めです。

暑すぎてここから出れる庭は回りませんでしたが、そちらもとっても綺麗でしたよ。

 

ただし、後から気づいた重大な事。

それは、この階段↓を見逃した! Cosimo Fanzago-wikipedia

 

だから、何?と言われそうな気もしますが、階段好きなものでショックです。

これが、前述のファンザーゴの設計でした。

また行くしかないな。

 

散歩の続きはまた次回。

以上”ナポリ 景色のいい散歩・コース1”でした!

続き↓

 

・今回訪れた場所の地図・