-ピエトロ・アンニゴーニ
ピエトロ・アンニゴーニ Pietro Annigoni (1910-1988)は、イタリアでは有名なのですが、それでも誰もが知っている!という程でもありません。
彼は第二次世界大戦後に大きく抽象絵画と具象絵画の二派に別れた際の、具象派を代表する画家です。デッサン力も素晴らしく、とても力量のある画家であったにも関わらず、特にイタリア国内では嫉妬も含めた妨害にあい、正当に評価されませんでした。なので、むしろ国外での評価の方がよかったたようです。近年その評価は国内でも高まっています。
サン・ミケーレ・アルカンジェロ教会 / ポンテ・ブッジャネーゼ
そんなイタリア人画家の大作が、フィレンツェから少し離れたピストイアの近郊の町、ポンテ・ブッジャネーゼの教会Chiesa di San michele Arcangeloにあります。
ごく普通の小さな町で、教会のファサードもシンプルです。(普通に車も正面に駐車されていてるし。)
あまり、というか観光客は全くと言っていいほどの場所ですが、中に入るとすごいです。
中に入ると圧倒されます。あちらもこちらもフレスコ画。
まず、正面入り口から入って振り向くと、その壁一面に”キリスト十字架降下”と”キリスト復活”が連続して描かれています。一連の壁画の最初に描かれた作品です。
もともとオルガンがあったのが1959年に撤去され、そこにぽっかり開いてしまったスペースに絵が欲しいと、ここの教区で話し合われ、1967年に最終的に指名されたのが画家アンニゴーニ。ここのエジスト・コルテージ神父のイニシアチブで事が運びました。お祈りに来ていた教区の方によると二人は友人でもあったそうです。アンニゴーニとその弟子たちは、シンボル的にわずかな賃金を最初にもらうだけで、後に続く作品は無償で1980年代半ばまで描き続けました。
上の写真(不鮮明で恐縮です)の上の写真の真ん中に扉があり、その左側にはエレミア、右側にはイザヤの姿があります。
イザヤの細部はこちら↓
こちらは左身廊の一番手前の壁画。
こちらはその細部↓
こちらは1946年の作品で、後になって右身廊の祭壇に設置されました。
聖フランチェスコの図。
同じく右身廊。
ゲツセマネの祈り。とてもドラマティックです。
そして、これが主祭壇のフレスコ画。
上の半円形の部分は最後の審判。下は最後の晩餐。
ルネサンス的なシンメトリックな構成で、後ろの風景はおそらくゲツセマネの隠喩だそうです。
そこから更に上を見上げると、ドーム部分にペンテコステの図。球形ドームと建物をつなぐペンナッキ(ペンデンティヴ)と呼ばれる部分には4人の副音記者。
ここに載せた写真の他にも多くの絵で埋め尽くされています。
このような不鮮明な写真で見るよりも、その場に行くと色味や迫力もかなり違って見えますので、行くのにははちょっと不便ではあるものの機会があれば訪れてみていただきたい場所です。
(フィレンツェからだと車か電車+バス)
フィレンツェの中心部にも大聖堂広場に面したミゼリコルディアという団体の建物の外壁、サン・ロレンツォ教会内の祭壇画などにも作品がありますが、なにより多くの作品が集まるのは割と意外な場所にあります。
ヴィッラ ・バルディーニです。↓こちらもどうぞ。