メディチ別荘ポッジョ・ア・カイアーノ へ行く

メディチ別荘 ポッジョ・ア・カイアーノ 外観

 

ポッジョ・ア・カイアーノのメディチ家別荘、Villa medicea di Poggio a Caiano

現在ここでArdengo SofficiとOttone Rosaiの展覧会をやっているので行く事にしました。 

 

 

-フィレンツェからの行き方

ポッジョ・ア・カイアーノという小さな町の真ん中にこの別荘はあります。フィレンツェからだとバスCAPに乗ります。市バスatafではなくフィレンツェ周辺の町と町を繋ぐ路線です。

このバス会社のサイトで時刻表を調べてから、切符売り場に行きました。サイトではフィレンツェ発はサンタ・マリア・ノヴェッラ駅近くからとレオポルダ駅近くからと二つ路線が出ていたので、切符売り場でも一応確認。

私「ここからもバス出てますよね?」

お返事「あ、こっちはもうないわ。」 

私「え?時刻表をサイトで確認しましたけど?」

お返事「それは最近変わったのだけれども、まだ更新してないみたい。」

という訳で、窓口の人がしっかりしていた切符売り場が唯一の確実なインフォメーション。現在、バスはレオポルダ駅近くの停留所を示すポールが一本立ってるだけの場所から発車します。

バスもポッジョ・ア・カイアーノが終点のダイヤのはずなのに、正面に「POGGIO A CAIANO」という表示ではなく、「PISTOIA」。運転手さんに直接行き先を確認してから乗りました。こういう通勤通学の人が多い路線はインフォメーションがきっちりしていない事が多いので、人に聞くのが確実です。降りる場所が分からない場合も運転手さんに言っておくと、(覚えていれば)教えてくれます。

よくこんなので機能するな、と思いますが、なんだかんだ言ってちゃんと乗れるので機能はしているんです。

 

 

-メディチ別荘

せっかくなので、久しぶりにメディチ別荘も見学する事にしました。無料で見学できます。

1時間ごとの入場で係の人が必ず付き添います。ちらっとだけご紹介しますね。

 

↓ここは劇場。

劇場

現在見られるこの劇場は18世紀、トスカーナ大公ピエトロ・レオポルドの時代のものです。奥の大きな絵は19世紀初頭に加えられたApollo e Minervaアポロンとミネルヴァで、ルイージ・カターニ作、この別荘内で他にも装飾を施しています。

 

 

他にも沢山部屋があるのですが、、一番の見所はここ。↓

ポントルモ ポッジョ・ア・カイアーノ

 

ポントルモ作、”ウェルトゥムヌスとポモーナ”。オウィディウスの著「転身物語」からのテーマ。ウェルトゥムヌスは果樹、熟する季節の神で画面の左下描かれ、ポモーナは果実、オリーブの木、ぶどう木の神で、右下に手に鎌を持った姿で描かれています。真ん中の穴を大きなローリエの木の切り株と見立てた空間性のある構成です。

レオ10世の間と呼ばれる建物中央の大きな部屋にあります。この部屋には他にアンドレア・デル・サルト、フランチャビージョ、アレッサンドロ・アッローリの壁画があります。

 

 

-静物画美術館

2007年に3階部分にこの静物画美術館がオープンしました。実はここ、初めて来ました。割と新しい美術館ですし、ここがフィレンツェ県ではなくプラート県にあり、フィレンツェガイドの範囲外だったという事情もありまして。(2017年12月現在、その規定は宙ぶらりん。)

こちらは予約が必要です。2日前の夜にメール予約を入れたのですが、返信がなかったので前日の午後に電話予約。当日は指定した時間になると、係の人が3階まで連れて行ってくれます。

バルトロメーオ・ビンビという17世紀後半から18世紀にかけて活躍した画家の作品をメインに、沢山の、それもう沢山の静物画が収蔵されています。この質と量は想像以上でした。

 

バルトロメーオ・ビンビ 静物画 レモン

 

↑これがバルトロメーオ・ビンビの代表作。

レモン、これ全部番号が付いています。その番号が画面下のプレートにもあって、その横にレモンの名前。

レモン図鑑になっちゃってます。

拡大したところ。↓

バルトロメーオ・ビンビ レモン

 

メディチ家のものに限らず郊外の庭園付き別荘にはよくリモナーイアと呼ばれる建物があります。レモンの色々な形を愛でるのが流行ったので、沢山育てていました。トスカーナの冬はレモンに適していないので、寒くなると庭園内に鉢植えとして置いているレモンの木は全部リモナーイアに収納。なので冬季は庭から鉢植えが消えます。暖かい時期の方が庭園は綺麗です。

しかし、レモンって、こんな種類があるもんなんですね。

 

レモンだけではなく、

メディチ家別荘 バルトロメーオ・ビンビ

 

洋梨のてんこ盛り。

 

拡大図↓

バルトロメーオ・ビンビ 洋梨

 

ここまであると、なんだかよく分からないけれども、とりあえず全部美味しそう。

 

メディチ別荘 静物画 イチジク

 

イチジクもこんなに沢山。

夏の楽しみの一つ、イチジク狩り。外側が緑色と黒色のがあるな、くらいにしか思ってませんでした。

ここまであると、学術的に違うのか、それとも見た目が違うから呼び名を変えてあるのかとか、その辺を疑ってしまいます。Wikipediaを見てみたら「数えきれないほどの種類があって、イタリアではその一部が栽培されている。」で、その例として17種類が挙げられています。なので、やっぱり種類が違うみたいです。

この絵のイチジクの名前リストは右端の大きな器の下に挟んであります。

 

 

こっちはぶどう。

 

その他にも、もっともっと沢山の静物画が展示されています。それぞれメディチ家の誰が発注して誰がコレクションしていた作品なのか、などが分かるように各部屋ごとのセクションに分かれています。

 

そして、最後の部屋で面白い一点を発見しました。

 

メディチ家別荘 静物画美術館

 

一見、普通の花を飾った花瓶の絵です。

何気なく画面下の文字を読むと、

ボーボリ庭園の一本の茎から3つの花が咲いているチューリップを、4月24日バスティーノ・ラーピが崇高なるエレットリーチェ・パラティーナへ届け、エレットリーチェはその花をガスパロ・ロペス・ナポレターナに二方向から描かせた。

と書いてあります。

エレットリーチェ・パラティーナElettrice Palatinaとは、アンナ・マリ・アルイーザ・デ・メディチAnna Maria Luisa de’ Mediciの別称で、メディチ家が途絶える最後の女性です。選帝侯エレットーレ・パラティーノElettore Palatinoのジョヴァンニ・グリェルモと結婚したのでこの別称でも呼ばれます。夫に先立たれた後はフィレンツェに戻り余生を送りました。

一本の茎から3つの花って本当に珍しいですよね。私たちが 写真を記念に撮るように彼女も画家に描かせたのでしょう。しかも、ちゃんと花の前と後、両面から。

この作品が描かれたのは18世紀半ば。チューリップバブルは過ぎて収まっていたでしょう。ふと、チューリップバブルで現在のビットコインの高騰が頭をよぎりました。通常の”お金”が”ビットコイン”と取って代わるのならば、ビットコイン化された対価は同じで、支払われた”お金”が保留される状態であれば腑に落ちない事もないですが、なぜ片方だけの価値が膨張?存在しない架空のモノも信じる人がいれば成り立つという事でしょうか。投機って不思議。それを言えば中央銀行が刷る紙の価値も信用で成り立ってますね。

 

-今回の目的の展覧会

冒頭に書いた、今回のポッジョ・ア・カイアーノ訪問の目的であるArdegno Sofficiアルデンゴ・ソッフィチとOttone Rosaiオットーネ・ロザーイの展覧会は、スクデリーエと呼ばれる旧厩で開催中。

小さな規模なので昼休みがあるのですが、12時15分に行ったら、、、外の門は開いているけれども、入り口のガラス戸の中が暗い、そして開かない。閉めたな、これは、。

午前中は13時までって書いてあるのに!

20分前に誰も来ないから閉めちゃうっていうのは想像できるけれども、45分前閉館。そりゃないよ。

会期は2018年1月7日までです。

それまでにまた行けるかな?

 

ヴィッラ・メディチ別荘 Ville intorno a Firenze