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美術館を100倍楽しむ方法-ピサ編

ピサ サン・マッテオ美術館 ドナテッロ 頭部

ピサにある国立サン・マッテオ美術館

非常にマイナーなこの美術館。

どの美術館にもある「これが目玉作品だよ!!」っていうのが、ここでは”Polittico di Pisa ピサのポリプティク” 。目玉作品なのに超マイナー。

逆にこの作品を知っている人であれば、ここから先の話題は「なめてんのか?!ごらぁ!!」と思われるかもしれません。

 

そして、大仰な記事タイトルを付けたものです、「美術館を100倍楽しむ方法-ピサ編」。地味な美術館に光を当てたい、と切に願っての事です。多分誇大広告です。

では、目に止まることもなかった古い作品が楽しく見えてくるよっ、というふざけた方法のご紹介をします。

 


 
 

言い忘れましたが、ピサのポリプティクは画家マザッチョの代表作の一つです。複数のパネルを組み合わせた大きな祭壇画だったのが、現在はバラバラの場所に保存されています。パネルも全て現存しておらず、元の状態も仮定でしかありません。リンクから見ていただくと、左端に位置するちっちゃな聖パオロの絵がここピサのサン・マッテオ美術館に展示されています。(2018年2月18日まではローマのパラッツォ・バルベリーニへ特別展示の為に貸出中)

ナポリのカポディモンテ美術館に行った時に、このポリプティクの一番上の磔刑図を見ました。想像よりも小さい板絵でしたが、キリストの体の立体的な表現がいいですね。ルネサンスです。↓

ピサのポリプティク マザッチョ

 

 

 

1、胸像の裏 – ドナテッロ

 

ドナテッロの金に輝く胸像があります。

ピサ サン・マッテオ美術館 ドナテッロ 

結構、神々しかったりする本気でいい作品ですが、

裏を見ます。

ピサ サン・マッテオ美術館 ドナテッロ 頭部

後頭部にウィッグが乗っています。ここ、薄くなってくるポイントの一つですよね!

いえ、乗っていません。これは蓋です。

この中に聖遺物が入るようになっているんです。こういう聖遺物入れって結構ありますので、胸像があったら裏とか胸のあたりを探すと、蓋が見えることがよくあります。

 

胸像でありながら、聖遺物入れという一石二鳥を果たしつつ、ドナテッロの芸術作品。

ローマ時代の自然な描写の彫刻を参考に制作したというこの彫刻、おでこのあたりをじっと見ていると、”ガッタメ”を思い出します。フォルムが似ていますね。

 

・参考 – ガッタメラータ・

「石膏デッサンの100年 」 が、届いた!

 

2、穏やかなる人々、特に聖ステファノ。

ドメニコ・ギルランダイオ

 

ドメニコ・ギルランダイオという有名画家の作品。

絵画を鑑賞すると、一瞬ベアート・アンジェリコ風の静謐な空間が感じられたりなんかした後、穏やかな微笑みを浮かべる聖ステファノをよく見ます。(下の写真右の聖人)

 

ピサ 聖ステファノ ギルランダイオ

 

頭部、やっぱり血が滲んでますよね。痛そう!

後ろにいるアレクサンドリアの聖カテリーナの視線はその先にいるマリア様に向かっていますが、聖ステファノの頭部を若干気にしている風でもないでもない。

ドメニコ会の聖人でナタが頭に刺さってるままの聖ピエトロ・マルティレ(ダ・ヴェローナ)よりは、ライトな傷です。

 

 

3、目が点

ピサ サン・マッテオ美術館 目が点

見ての通り、目が点。

大理石が風化しちゃって、象嵌で入れた黒目だけが元サーフェイスを維持しています。

これは、アルノ川沿いにある小さな宝箱のようなサンタ・マリア・デッラ・スピーナ教会の外壁を飾っていたオリジナルの彫刻作品。

悪意でもあるかのようにアップで写真を撮りましたが、普通に鑑賞する場合はあまり目の点は気になりません。

 

 

4、クレーの天使

ピサ サン・マッテオ美術館

この天使像も、上の”目が点”と同じ場所、サンタ・マリア・デッラ・スピーナ教会からの彫刻です。

背にはブロンズ製の羽が付いています。

風化してしまった大理石と羽根のラインが、パウル・クレーの忘れっぽい天使

似てないこともない・・・?

 

 

5、エネルギー値が最大

ピサ サン・マッテオ美術館 シモーネ・マルティーニ

シモーネ・マルティーニの祭壇画、中央の聖母マリアとイエスキリストの部分を拡大しました。

仏教画の炎の表現にも通じるような、イエス様の髪の毛。

エネルギーに満ちていそう。

 

 

 

6、ピサちゃんを救え!

ピサ サン・マッテオ美術館 ピサちゃん

聖オルソラ(真ん中の冠をかぶって赤い旗を持っている聖人)が、ピサちゃん(左のピサの街の擬人化)を洪水から救っている絵。

「助けてー!わー、ありがとう!!」

魚が描いてある波波ところが洪水中のアルノ川です。呑気に魚を丸ごと食べてる魚も水中にいます。

アルノ川が氾濫するとその沿岸にある街、ピサやフィレンツェに大災害がもたらされます。神頼み、聖人頼み。

ピサちゃんの服のをよく見ると、皇帝派の黒い鷲が繰り返し並んだデザインです。これはピサのマークです。あと、聖オルソラの持っている旗のデザインは、赤地に白の十字(後から加筆された形跡)でピサ市民のシンボル。

伝統的な解釈では、洪水の危険が去ったのが聖オルソラの日だったから、という上記のものですが、他にも説はあります。

 

 

 

7、彩色木彫展示室、船越桂風

ピサ サン・マッテオ美術館 現代美術風

と、自分で書いてびっくりした”船越桂”。

久しぶりに作品がぐぐっと蘇りました。ついでにググって船越桂作品の画像検索。

白人モデルのような骨格の人の彫刻がずらっと並びました。ここに展示されている白人モデルの白人作家が制作した彫刻よりも白人。

あ、でもこっちはラテン人、、しかも背丈が今より小さかった1300年代。

腕がない状態で彩色が若干褪せていると、これらのゴシック彫刻の優美なアウトラインは現代美術的です。

 

 

8、おまけ

 

ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ

ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノの聖母子像と、

 

ベアート・アンジェリコ

ベアート・アンジェリコの聖母子像。

おまけにするには失礼な目玉作品の2点でした。

 

 

 

 

かなり乱暴な鑑賞の仕方ですが、ちょっとは楽しめましたでしょうか?

では、また次回お目にかかりましょう。

アディオス!

 

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