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美術館を100倍楽しむ方法 – ボローニャ編

投稿日: 更新日:2020-05-28
がいこつ

 

シリーズに見せかけて第一編で終わる記事も多い中、ブログ著者が美術鑑賞を真面目にしながら妄想する癖を持っているので、再び登場、美術館を100倍楽しむ方法

-1回目はこちら-

美術館を100倍楽しむ方法-ピサ編

2倍でも10倍でもなく、100倍と謳っているあたりが胡散臭いです。
繰り返し言いますが、しっかり通常通りの美術鑑賞をしつつ思い浮かんだ妄想が以下になります。決して悪意あるひやかしではありません。本当に好きな美術館です。

 

ボローニャ編・・・ボローニャ国立絵画館

このボローニャ絵画館はイタリア美術館の典型的な展示方法で、年代順。1300年代から始まります。

1300年代って、解剖学*はまだ進んでなかったし、遠近法は直感的で数学的ではなかったし、聖書の内容を文字の読めない信者に伝える為にがっつりストーリーが入っていたり、、

なので現在の常識から見ると不思議と不自然が入り混じったツッコミどころ満載の面白い絵になってしまっていることが多々あります。

*解剖学といえばボローニャ大学のパラッツォ・アルキジンナーズィオにある解剖室

 

 

では、1点目。

いい感じに顎が外れた骸骨

がいこつ

 

どことなしか、あの修復に大失敗(大成功)しちゃったスペインのエッチェ・オモを思い浮かべる骨格の歪みっぷり。

微笑んでいるようにも見えて、かわいいです。

 

実は、この作品は前にも取り上げた作品の一部です。

ボローニャの見どころは?(ボローニャ絵画館に決まっている!!!)

これ↓

十字架刑図
Giovanni Martorelli ? “Croce sagomata col Pellicano, la Madonna e i santi Giovanni e Cristina” 1450 ca.

 

十字架の下の方にあるアダムの頭蓋骨でした。

 

 

 

続いて、

超ウルウル

うるうる
Giovanni Martorelli “Polittico(frammentario)” 1460 ca.

 

目力がすごい少女漫画風うるうる。

こんな可憐なマリア様もなかなかないでしょう。

 

 

 

 

生け花用剣山が悪用された。

ぐさっ
Pittore bolognese del XV sec. “Polittico” 1450/1475 ca.

 

いや、こりゃ痛い!

地面に滴る血が地獄だ!!という感じを醸しているけれども、実際に刺さっちゃってる人は割と穏やかな顔をしているのが対照的。

 

 

 

 

 

モザイク処理をすべき。

えんま様
Maestro dell’Avicenna “Paradiso e Inferno” 1435 ca.

 

何を指してモザイク処理と言っているのかは察して欲しいところですが、腹にも口がある悪魔に断罪された悪人が食われているところなんですって。

ここにいる悪魔さんたちは皆とぼけた顔をしています。

やっていることは凶悪でも根は優しいシリアルキラーキャラかも。

いい味出しています。

 

 

 

 

スーパーヒーロー アントニウス

ヒーロー アントニウス
Vitale di Aymo degli Equi detto Vitale da Bologna “Quattro storie di sant’Antonio abate” 1340/1345 ca.

ロープで脱出

 

ヒーロー アントニウス

絞首刑の人を救ってる?

ヒーロー アントニウス

死者を蘇らせつつ、さりげなく祝福benedizioneのピースマーク。やるな。

 

ヒーロー アントニウス

またここも、念力か?!

 

アクションあり、奇跡あり、ハリウッドスターよりかっこいい聖アントニウスです。

いやー、こういう絵を見てワクワクドキドキしてた人もいるんじゃないでしょうか?

 

 

 

聖アントニウスと言ったら修行中のシーンの方が有名ですが、この一連の絵ではその後に起こした奇跡がメインテーマ。

修行中のシーンは、このあたりの絵↓が有名です。

 

どうでもいいんですけれども、小学生の頃に画集で見たヒエロニムス・ボスが描いた聖アントニウスの誘惑の絵の印象が強すぎて、大人になるまで随分長いこと聖アントニウスを、聖ヒエロニムスかと思っていました。

もっとどうでもいいんですけれども、イタリア語読みのヒエロニムスはジローラモ。ジローラモという名前で一番最初に思い浮かべるのは、この人。という人が多いと思います。

なので、この方もジローラモ。wikipediaの画像↓

ちょいワルのはずが、エレガントなじい様になってしまいました。

 

 

 

 

ロン毛

ロン毛
Giovanni di Pietro Faloppi detto Giovanni da Modena “Croce sagomata con il Padre eterno, l’Addolorata e i santi Giovanni e Francesco” 1415 ca.

 

いい感じのロン毛。

これは1400年代初頭の作品で、骨格に激しい異常は見られません。(肋骨が怪しいけど)

 

ヘッドバンギングしたら、映えると思います。

いや、結構持久戦つらいんですね。

あんまり音楽ニュースはチェックしないので、マサ・イトーさんを久しぶりに見ました。なつかし。

 

 

 

 

小さい抱っこマリアちゃん

抱っこマリア
Simone di Filippo detto dei Crocifissi “Sette spisodi della vita della Madonna” 1396/1398 ca.

 

ヘッドバンギングの後に話題が可愛くなるんですけれども、
このシーンはマリア様が疑い深いトマスに腰紐を垂らしてあげているところです。

マリア様が天に召し上げられたのが信じられん!と、トマス言うので、「しょーがないわね」と、物的証拠の腰紐を与えるシーン。

縮尺が都合のいいように変えられて、抱っこされている姿が小さくなっちゃってます。
画面スペースの都合で、このシーンでの端役使徒たちは顔省略の頭の一部+光輪で済まされているのも割とグッとくるポイントです。

 

 

 

 

 

細部に精霊は宿る

精霊がー
Pseduo-Jacopino “Polittico” 1330/1335 ca.

 

多くの人は一瞥するだけで素通りするこの作品。

せいぜい見る人は、休日にお金を払って入った美術館なだけにケチ根性でやけに丁寧に見るタイプか、義務的に全部観なくちゃいけないと思っているタイプ、他人が興味深く観察しているのを見てそれが有名な作品と勘違いしてつられて見るタイプ、美術が好きでたまらなくて作品の前で快楽オーラを醸し出しているタイプ、くらいではないでしょうか。

 

いや、一点だけこの作品があったら誰だって見るけど、こういうタイプの作品がまじでゴマンとあるイタリアです。

大抵の美術館に行けば、小さな規模でも最初の方の部屋にこんな感じの金箔を使った祭壇画(fondo oro)が最低80点あって、しかも作者は”Scuola toscana-トスカーナ派”とか、”ignoto-不明”とかになってるんだから、まあ、分かる、足早に通り過ぎちゃう気持ち。

ゴシック建築は人気があるけど、ゴシック絵画、ゴシック彫刻はあまり人気がないですね。宗教画というのが全面に出てる感じがして、それだけで敷居が高くなりますし、ミケランジェロ!レオナルド・ダ・ヴィンチ!みたいな「作品の前でセルフィーしなきゃ!」的行為はないですよね。
有名なジョット・ディ・ボンドーネもセルフィーをされているシーンは見た事がない。それはスクロヴェーニ礼拝堂であったとしても…。

 

でも、細部を無理してでもいいから見つめてもらいたい。

精霊がー

 

一見火の玉みたいに見えるモノの中に、米粒大の顔がびっしりと書き込まれている…。

米粒顔もちょっと怖いし一瞬ビビりました。

よくよく観察すると、まだ赤ん坊のキリストが入れられているカゴの網目まで、よく描きこまれていて見応えがあります。

マリア様の指は、描いてる本人は「長すぎるなこりゃ!」となんで気づかなかったのか、その辺は時代の違いですね。

 

 

 

 

 

めっちゃはためいてる!

躍動感
Pseduo-Jacopino “San Giacomo alla battaglia di Clavijo” 1315/1320 ca.

 

聖ジャコモさんが、馬に乗っているシーン。

衣のはためき方がやたらリアル。1315〜1320年あたりの作品。

この衣はなんだかやたら美しい。

衣のはためく バフッ!っていう音、聞こえません?

 

 

はためく・・・・

 

小さくはためく・・・

 

「はためく衣」という検索ワードに、しっかり引っかかってくれたはためきに、感謝。

 

 

おわりに

ゴシック絵画の鑑賞の仕方は、その美しさを愛でると共に、個人的な曲解を入れ、理性と常識と妄想とファンタジーに揺れ動くところに醍醐味があります!(違

ちなみに、このボローニャ国立絵画館にはカッラッチ兄弟、グイドレーニ、などの作品が多くあるかなり興味深い展示内容です。ラッフェエッロの代表作のひとつもありますし。

ここで登場させたのは、その中でもかなりマイナーな作品群です。

ひねくれた鑑賞をせずとも、素晴らしいコレクションなので、ぜひボローニャに訪れる際は寄ってみてください。