オルヴィエート観光、そしてチヴィタまでバス爆走

オルヴィエート大聖堂

友人から電話がかかってきました。

「久しぶり、元気?次の旅の予定は?Civita di Bagnoregioに行かない?」

と言うので、

「行く行く。」

と、Civita di Bagnoregio チーヴィタ・ディ・バンニョレージョ行きが決定。この友人、中国人でフィレンツェガイドなのですが、よくお客様にこの場所の事を聞かれるそうです。私も行った事がなかったので、二つ返事でok。天空の城ラピュタのモデルとしても知られる”死にゆく街”です。

フィレンツェからは、まず電車に乗ってお隣のウンブリア州のOrvieto オルヴィエートまで行き、そこからCotralというバスに乗ってラツィオ州Bagnoregioバーニョレージョまで行きます。平日から土曜日までの時刻表では、9時フィレンツェ出発の電車で昼前にオルヴィエート駅到着、14時発のバスに乗るので待ち時間にオルヴィエート観光ができるというおまけ付き。

 

そんな訳で、まずはオルヴィエート観光!

久しぶりに来ましたオルヴィエート。鉄道駅前からケーブルカーに乗って、旧市街地まで登ります。

まずは、ケーブルカーを降りてすぐ、

サン・パトリツィオの井戸 Pozzo di San Patrizio

サン・パトリツィオの井戸

 

深ーい井戸。1527年にGiuliano da Sangallo il Giovane ジュリアーノ・ダ・サンガッロ・イル・ジョーヴァネの設計でその当時の教皇クレメンテ7世の命により造られました。

窓のある階段をぐるぐる降りて行きます。

下から上を見ると、

サン・パトリツィオの井戸 下から

 

 

太陽でも見ているかのよう。

整然と並んだ窓が美しいです。面白い構造で、下りの階段と上りの階段は互い違いになっていて、人がすれ違う事はありません。

 

オルヴィエート大聖堂

オルヴィエート大聖堂

 

正面のファサード微妙に見えにくいこの角度で大聖堂の写真を撮ったのには理由が、。
フィレンツェのサント・スピリト教会の原案がこの側面の凸凹の壁デザインをヒントにしているからだと言われています。
その側面を撮りたかったからです。

ブルネッレスキによる案の復元図がこちら。↓

 

ブルネッレスキ サント・スピリト教会設計

 

現在のすっきりとしたサント・スピリト教会に比べるとかなり異なる外観で、このオルヴィエート大聖堂の側面にあるようなぼこぼこが更に深く、そしてなにより正面ファサードが普通は3つの扉なのに対して5つというかなり特徴的な設計でした。実現していたら今でも面白い教会だったと思いますが、残念ながら敷地を確保できずに案が修正され、ブルネッレスキ自身も完成前に亡くなってしまいました。

 

話がずれたのを戻します。

大聖堂内部のサン・ブリツィオ礼拝堂

サン・ブリツィオ礼拝堂

 

ベアート・アンジェリコ(日本ではまだフラ・アンジェリコと呼ばれる事が多いですが、同一人物)、ベノッツォ・ゴッゾリ、ルーカ・シニョレッリなどによる装飾画。

とても有名なので図版なんかにもよく出てくるのですが、2次元で見る図像とは違って本物はやっぱりいいです。この礼拝堂にまず入る時に金箔に反射した黄色の神々しい光をまず認めて、中に入ると圧倒される迫力。息を飲む美しさです。

 

左隅に肖像画

 

入り口から入ってすぐ左を向くと、隅っこに黒い服を着た二人組。ベアート・アンジェリコとルーカ・シニョレッリの肖像画があります。アンチクリストが説教をしているという珍しい図像の中にいます。教皇から破門されかつ異端として火あぶりの刑に処されたサヴォナローラの隠喩と考えられています。他にもその当時実在した人たちがこの中にはいます。チェーザレ・ボルジャ(ボルジア)とか、ピオ二世とか。

 

大聖堂の正面ファサードのレリーフなんかも素敵なもので、友達とセルフィーなんてしながらのんきにしていたら、バスの時間が迫ってきてそそくさとオルヴィエートを後に。
本当はこの場所、エトルリアの重要な遺跡とかもあったりしてゆっくり見るべきなのに、、今度はオルヴィエートだけ見るために来ようかなー、なんて思いました。

 

チヴィタ・ディ・バーニョレージョ行きバスだが

焦ってバス停まで行ったのに、バスの出発時間までに間に合ってるのに、、バスの運転手さんが乗客の一人と言い合いになり、出発できない。さすがのイタリアやん。

運転手さんがアフリカ系の乗客に切符を見せるように言ったところ、彼はそれを拒否。カラビニエーリを携帯で呼んで、それを待つ間もずーーーーーーーっと、言い合い。どちらも引かない。

その乗客の言い分は、他のイタリア人の乗客(学生)には切符を見せろとは言わなかったのに、なんで自分だけ見せろと言うのか!(それは差別だ、という意味。)

運転手さんの言い分は、学生たちは定期券を持ってるのを知ってるし、毎月定期券を刻印しているのも見てるから必要ない。切符を見せろというのは、自分の仕事だし、それを拒否されたら当然降りてもらうしかない!
と、ずっとずーーーーっと大声の言い合い。

ヒートアップしきったところで、運転手さん、「お腹が減ってるのに!!!!」と本音。

で、なんだかんだ拒否し続けたのに、乗客、ついに切符を見せる!

運転手さん「まずはこの切符が有効かどうかだ!!」(チェックする→ちゃんと刻印されてる有効な切符だった)

でも、ずーーーっと言い合いだったものだから、引っ込みがつかなくなっているのか、そのまま言い合いが続く。

 

そして最後に、

運転手さん「どうしてこういう事をするんだ???!!!!Ma perchè fai così??

乗客「そういうのが好きだから!!!!Perchè mi piace così!!!

他の乗客、思わず全員軽く吹き出す!!

 

笑えればそれで解決なのか、カラビニエーリを呼んだ事なんてすっかり忘れて、もう来ないで大丈夫とも電話を入れずに、ここでようやく出発。20分遅れ。

バスはアドレナリンが全開なまま狭い曲がりくねった田舎道を爆走。

でもなんだかんだ言ってこの運転手さん、そのアフリカ系の乗客を停留所でないところで降ろしてあげたり、親切。
ほかの学生たちの家も運転手さんはどこか知っているみたいで、一人ずつ家の真ん前で降ろしてあげてたり。
田舎のバスって、そういえば、そんな感じですよね。前住んでいた山の中を1日に5本だけ走るバス、自分の車が使えない時とかたまに利用していました。やっぱり好きなところで降ろしてくれてました。

 

 

長くなってしまったので、ラピュタは次回へ。

チヴィタ : 「ラピュタは本当にあったんだ!」