フィレンツェには丘がいくつかあって、その一つにミケランジェロ広場があります。ベルヴェデーレ要塞はそのお隣の丘の上にあります。位置的には、丁度ボーボリ庭園とバルディーニ庭園の間。
ブオンタレンティ設計のベルヴェデーレ要塞は、その名の通り(Belvedere-良い眺め) とても眺めがよく気持ちのいいところです。
フィレンツェのビューポイントとしては最高ランクなのですが、夏にある特別展の時以外は閉まっているのですね。なので、今回のような特鉄展は見逃せないタイミングです。
バスでベルヴェデーレ要塞へ行く
現在、Ytalia展というがベルヴェデーレ要塞でやっているのですが、気持ち良い高い場所に行くには、かなり坂を登らなきゃならないので気合が必要です。なんとなく気が乗らずに行けないでいたら、あら、新しいバス路線が期間限定でできたと言うではないですか。
ATAF – Linea FB (今はありません)
ATAFのFBという路線。決してFaceBookからのパクリではなく、Forte Belvedere(ベルヴェデーレ要塞)の略なんでしょう。C 4とかのありがちな記号にされるより分かりやすいキャッチーな名前。朝の10時から30分間隔で出ています。
このバスは特別展Ytaliaの為の路線なので、月曜日は展示のお休みなのに合わせてバスも運行がありません。ご利用の方はオフィシャルサイトから確認してくださいね。
と、そんな訳で、気軽に家を出て、自転車を停留所のあるピッティ宮殿の前に停めて、ふと気づいたら、13:32。13時のが出てしまったーあーー、次のバスまではあと30分。
これが、停留所。
30分も待つのはな・・・。
徒歩でベルヴェデーレ要塞へゆく
バスを待たずに真夏の真昼に、ボーボリ庭園を突っ切る事にしました!
(私がいたピッティ宮殿前からだとボーボリ庭園横断(有料)が近道。それ以外はCosta San Giorgioという道をぐるっと回ったり、もっと東側からだとVia di Belvedereを通って、、などがメジャーな行き方です)
ボーボリ庭園通過中
ボーボリ庭園内に入って左手奥にあるカフェハウス側を通過します。(通過地点はこの建物の裏側)
庭園内をじっくり楽しむのもいいのですが、今回は単にベルヴェデーレ要塞までの最短距離を歩いているだけなので、ストイックに脇目もふらず進みます。
これ↑は今回の写真ではなく5年前くらいのものですが、今も変わりません。
ちょっとだけ説明を加えると、このカフェハウスはザノービ・デル・ロッソ設計。ロレーヌの緑と呼ばれるきれいな薄黄緑色。ウフィツィ美術館に入ってエレベーターを使わないで階段で登る時に、上の方はこの緑色で、同じ建築家によるものです。この人はあんまり知られていないのか、インスタグラムでハッシュタグに入れたら誰も使っていない名前でした。美術愛好家が陥りがちな状況、”snsでぼっち”。他に好きな人はいないのか、さみしい。
カフェハウスにもYTALIA展の彫刻作品がありました。が、上り坂は勢いで登りたかったので、そのまま要塞側の出口へ直行。ここで下るとまた登らなくちゃならない…また改めて来ます。
ベルヴェデーレ要塞到着
わーい。
この要塞の建物の中と外に作品が展示してあります。建物の周りはぐるっと歩いて回れます。とても見晴らしいのいい、そして夏は風通しのいい気持ちの良い場所です。
作品は街の中、美術館の中にも点在していていますが、ここが一番集中しているところです。他に、ヴェッキオ宮殿、ウフィツィ美術館、サンタ・クローチェ教会、近代美術館、パラティーナ美術館、ボーボーリ庭園、900美術館、マリノーマリーニ美術館、でも展示されます。12人のイタリア人、イタリアで活躍するアーティストたちの作品です。
作品展示の様子
暑い割に曇ってて、湿気もあり、あまり冴えた写真にはなりませんでした。って、カメラの使い方があまり分かってない言い訳です。
建物の中にはこんな。
“Dopo la fine (Ermafrodito)” ジューリオ・パオリーニ作
アポロンっぽい石膏製の体に、マスクみたいにして女性の顔がくっついています。
タイトルのDopo la fineは”終焉の後”、(Ermafroditoヘルマプロディートス)はギリシャ神話に出てくる両性具有の神。
この部屋はレーモ・サルヴァドーリ。
右から”Continuo infinito presente” “Due tazze” “L’Osservatore non l’oggetto osservato”
“現在の続く永遠” “2カップ” “観察される物ではない観察する者”と訳してみます。
壁にヤモリと数字。マリオ・メルツ作 Mario Merz。
写真には写ってませんが、手前には彼がよく作るドーム状の構造物がありました。万力のようなもので止めてるだけなので、監視の人がしっかりと目を光らせていました。目の前で作品に崩れられたら悲劇的ですもんね。ピリピリします。
建物の裏側にも作品がくっついてます。金属製の折り紙みたいなのが縦にずらっと並んでいます。先ほどと同じアーティスト、レーモ・サルヴァドーリ作 Remo Salvadori “Nel momento-その瞬間に”
写真も建物の中央あたり、柱が2本あるところはカフェになっていて座り心地のいいソファーもいっぱいあったりして、優雅に軽食やカフェタイムを楽しむ事ができます。
ちなみにベルヴェデーレ要塞では、外側の壁から2人落っこちて亡くなられています。それで一時が閉鎖されていたのが現在は監視の人を増やしてオープンしています。数年前に久しぶりにオープンした当時は、監視の人がかなり厳しかった(少しでも壁に寄ると注意される)のですが、今年はそこまでではなかった感じです。
丘に登ったついでに、近くのヴィッラ・バルディーニで始まった特別展示も見てきましたが、それはまた今度。
バルディーニ庭園をまたまた突っ切って、下に降りて、ぐるっと回ってピッティ宮殿前に停めておいた自転車置き場に到着。
そしたら、登りは乗りたかったバスFBがそこに・・・・。
タイミングが見事にずれて、乗りたい時にはなくて必要ない時にそこにありました。
時計を見てみると15時半。約2時間のお散歩でした。
この展覧会YTALIAですが、現代美術というよりも近代美術という印象です。というのも、ここに展示してある作品も作家も私の学生時代にはもう名前が確立していた人たちです。結構なつかしいものがあり。マリオ・メルツ、ヤニス・クネリス、ルチアーノ・ファブロ、ジュリオ・パオリーニ、ミンモ・パラディーノ、など。一番若い人で、ドメニコ・ビアンキ1955年生まれ。展示方法もクラシック。テーマとしてはまとまってて良し。
ベルヴェデーレ要塞からの景色はとっても気持ちいいですし、そこにバスで行けてしまうという、うれしいサービスが付いているので、おすすめです。