今日から始まりました!
ストロッツィ宮殿で開催中 “IL CINQUECENTO A FIRENZE” -フィレンツェ1500年代展
宮殿の前をお昼に通り過ぎた時にすぐに入ろうかと思ったのですが、お腹が空いていたので、まず家に帰って食べて食後のコーヒーも飲み、体調を整えてから行きました。
対象が何であっても鑑賞するのには体調ってすごく大切だと思いませんか…?
そんな訳で、一旦気持ちを切り替えてから展覧会の鑑賞!
色々違った視点から見られるように工夫された展示の順番やら、、なによりも修復が終わった作品が見られるのが新鮮です。知ってるはずの彫刻作品がホコリや汚れが取り除かれていて、一瞬初めて見る作品かと思ってしまったりしました。
展示の構成としては、最初に話題の作品を持って来て、その後に続く部屋は何回来ても違う発見があるような、そういう意図もあるそうです。

目玉作品のうちの、ビック3。それが上の写真。
左からロッソ・フィオレンティーノ、ポントルモ、ブロンズィーノ。
マニエリスムスターが勢揃いの祭壇画です。
-ポントルモ
写真真ん中のポントルモの作品、最初にフィレンツェに来た時に絶対見逃してはならん!と、ヴェッキオ橋すぐ近くのサンタ・フェリチタ教会に行って、長いこと眺めていたのをよく覚えています。
図版と本物はやっぱり違いますもんね。
で、今回はその本物、修復を終えてより美しい色彩の描かれたばかりの頃の姿に近づきました。
決してがっつりと手を加える訳ではない修復の方法がとられています。
今までは板の上に油絵だと思われていたのが、テンペラ画だという事が判明しています。私自身はテンペラ画を試した事がないので正直実感を伴わない知識でしかないのですが、油絵とは違った不透明な質感の色をここまで繊細に描き出のはすごいと思います。物質感を伴わないこの絵画の人物、空間、玉虫色の衣服、タイツの様に張り付いたシャツ、十字架降下のシーンのようで十字架のない場所、パン(肉)の贈り物としてのキリスト、などなど。
画家が意図して表現しようとしたことが、表現技術と相まってより鮮明になります。
-ブロンズィーノ
あと、ついに来ました!
このブロンズィーノの祭壇画、はるばるフランスはブザンソンより!
ブザンソンとはいづこ?という感じの場所で、一生行かないかもしれないと思っていた場所の美術館からわざわざ作品がこちらにいらっしゃっている訳です。非常にうれしい。
ブロンズィーノ日本の美術大学時代に図版で見たその陶器のように美しい肌の表現に魅せられた、思い入れのある画家。日本では大学図書館くらいにしか図版がなかったのですが、イタリアではレオナルド・ダ・ヴィンチとかのビッグネームには負けつつも、決してマイナーではないです。でも比べる相手がビッグすぎるので、若干影ってますね…。
この絵は元々ヴェッキオ宮殿のエレオノーラの礼拝堂にあったものですが、そこの置かれていたのはわずかな期間でこの絵を気に入ったカルロ5世の側近へ、コジモ1世がプレゼントしてしまいます。現在同じ場所に置かれている絵はコピーではなく、ブロンズィーノ本人が再び描いたオリジナルです。贅沢を言うと、両方並べて見たみたいですけどね。
-ロッソ・フィオレンティーノ
ロッソの作品もヴォルテッラまで行かずとも鑑賞できる良い機会。
なにより、この三つの作品が並んでいるというだけで、もう、素晴らしい。
ちなみにロッソはポントルモと同い年で、サンティッシマ・アンヌンツィアータ教会の中庭に共にフレスコ画を残しています。どちらも美しい作品。
-河の神 ミケランジェロ・ブオナッローティ

順路ではこっちが先です。ミケランジェロの河の神が修復を終えて、最初の部屋に来ています。(後はアンドレア・デル・サルトの”ルーコのピエタ”。)
この作品についての話は、こちらのブログで書きましたのでよかったらご覧ください。↓
『フィレンツェ1500年代展』カタログ

ストロッツィ宮殿での展覧会のカタログは結構好きです。一点一点かなり興味深い解説が付いています。
関連の展覧会カタログと合わせて↓

似た様なテーマや芸術家の作品の展覧会、左から2011-2012年のブロンズィーノ展、2014年のポントルモとロッソ展、と今回の。
全部ストロッツィ宮殿のものです。
それぞれに展示作品も作品へのアプローチも違っているので、どれも良かったです。