blogイベントフィレンツェ

ストロッツィ宮殿で今日から! : フィレンツェ1500年代展

投稿日: 更新日:2020-06-14
ストロッツィ宮殿 フィレンツェ1500年代展

 

今日から始まりました!

ストロッツィ宮殿で開催中の”IL CINQUECENTO A FIRENZE” フィレンツェ1500年代展。

宮殿の前をお昼に通り過ぎた時にすぐ入ろうかと思ったのですが、お腹が空いていたので、まず家に帰って食べて食後のコーヒーも飲み、体調を整えてから行きました。何であっても鑑賞するのには体調ってすごく大切だと思いませんか…?

色々違った視点から見られるように工夫された展示の順番やら、、なによりも修復が終わった作品が見られるのが新鮮です。知ってるはずの彫刻作品がホコリや汚れが取り除かれていて、一瞬初めて見る作品かと思ってしまったりしました。

展示の構成としては、最初に話題の作品を持って来て、その後に続く部屋は何回来ても違う発見があるような、そういう意図もあるそうです。

 

 

目玉作品のうちの、ビック3。それが一番上の写真。左からロッソ・フィオレンティーノ、ポントルモ、ブロンズィーノ。スターが勢揃いの祭壇画です。

-ポントルモ

写真真ん中のポントルモの作品、最初にフィレンツェに来た時に絶対見逃してはならん!と、ヴェッキオ橋すぐ近くのサンタ・フェリチタ教会に行って、長いこと眺めていたのをよく覚えています。図版と本物はやっぱり違いますもんね。
で、今回はその本物は修復を終えています。より美しい色彩の描かれたばかりの頃の姿に近づきました。
決してがっつりと手を加える訳ではない修復の方法がとられています。今までは板の上に油絵だと思われていたのが、テンペラ画だという事が判明しています。私自身はテンペラ画を試した事がないので正直実感を伴わない知識でしかないのですが、油絵とは違った不透明な質感の色をここまで繊細に描き出のはすごいと思います。物質感を伴わないこの絵画の人物、空間、玉虫色の衣服、タイツの様に張り付いたシャツ、十字架降下のシーンのようで十字架のない場所、パン(肉)の贈り物としてのキリスト、などなど、。
画家が意図して表現しようとしたことが、表現技術と相まってより鮮明になります。

 

-ブロンズィーノ

あと、ついに来ました!このブロンズィーノの祭壇画、はるばるフランスはブザンソンより!
ブザンソンとはいづこ?という感じの場所で、一生行かないかもしれないと思っていた場所の美術館からわざわざ作品がこちらにいらっしゃっている訳です。非常にうれしい。
ブロンズィーノ日本の美術大学時代に図版で見たその陶器のように美しい肌の表現に魅せられた、思い入れのある画家。日本では大学図書館くらいにしか図版がなかったのですが、イタリアではレオナルド・ダ・ヴィンチとかのビッグネームには負けつつも、決してマイナーではないです。でも比べる相手がビッグすぎるので、若干影ってますね…。
この絵は元々ヴェッキオ宮殿のエレオノーラの礼拝堂にあったものですが、そこの置かれていたのはわずかな期間でこの絵を気に入ったカルロ5世の側近へ、コジモ1世がプレゼントしてしまいます。現在同じ場所に置かれている絵はコピーではなく、ブロンズィーノ本人が再び描いたオリジナルです。贅沢を言うと、両方並べて見たみたいですけどね。

 

-ロッソ・フィオレンティーノ

ロッソの作品もヴォルテッラまで行かずとも鑑賞できる良い機会。なにより、この三つの作品が並んでいるというだけで、もう、素晴らしい。
ちなみにロッソはポントルモと同い年で、サンティッシマ・アンヌンツィアータ教会の中庭に共にフレスコ画を残しています。どちらも美しい作品。

 

-河の神 ミケランジェロ・ブオナッローティ

ストロッツィ宮殿 il cinquecento a firenze

順路ではこっちが先です。ミケランジェロの河の神が修復を終えて、最初の部屋に来ています。(後はアンドレア・デル・サルトの”ルーコのピエタ”。)
この作品についての話は、こちらのブログで書きましたのでよかったらご覧ください。↓

ミケランジェロ未完の作品 -河の神- の修復詳細発表


この展覧会での作品についてはまだ調べなきゃならない事がいろいろありますが、まず第一印象は、「いいんじゃないかしら!」
カタログを買って来ました。

 

ストロッツィ宮殿 カタログ

 

ストロッツィ宮殿での展覧会のカタログは結構好きです。一点一点かなり興味深い解説が付いています。

 

関連の展覧会カタログと合わせて↓

 

ストロッツィ宮殿 カタログ

 

似た様なテーマや芸術家の作品の展覧会、左から2011-2012年のブロンズィーノ展、2014年のポントルモとロッソ展、と今回の。全部ストロッツィ宮殿のものです。
それぞれに展示作品も作品へのアプローチも違っているので、どれも良かったです。

 

・・後日談・・

仕事の関係で、購入したカタログのPDF版をいただきました。でも、やっぱり私は印刷されたものが好きでです。データだと読みにくいし、書き込みにくいし、なにより部屋の中に本として存在する方が気になった時にすぐ出せるという利点がありますよね。

 

 

・・追記・・(2017年10月4日の記事を同じページにまとめました)

ストロッツィ宮殿のガイドの仕事

オファーを受けていたガイドの仕事、ストロッツィ宮殿 Il cinquecento a Firenze展 が当日に遅延の上のキャンセル。(本日の事です。)さすがVIPはスケジュールが謎!?フェラガモの招待客だったそうで。

ガイド料の支払いがあれば問題ないのは確かですが、これは、、完全に不完全燃焼!

というのも、この展示はフィレンツェにある他の教会や宮殿、フィレンツェ独自の事情、トレント公会議での反宗教革命などの要素が絡みあっている時代を今までなかった角度から見ていく、というもの。フィレンツェに住んでいてある程度の知識があれば一言で「あーなるほど。」となる事も、日本からいらした方にどうやって分かりやすく、時代背景説明の長話を抜きに伝えられるだろうと、かなり考え抜いたツアーを計画していたのです。

うーん、そうだ、自分でツアーを企画しよう!

そういった経緯だったのですが、この展示は非常に面白いです。これで誰にも紹介しないで終わってしまうのはもったいない。一見すると、1500年代の絵画、彫刻作品、しかも17点も修復が終わったばかりのものが一堂に会する素晴らしい展示です。一点一点を鑑賞するのが、それだけでも満足させてくれます。

でも、その裏にある時代の流れと、作品制作への注文主たちの要求や趣味、などを読み解いてゆくと作品たちが生き生きとしてくるのが感じられます。

 

通常1500年代と言うと、マニエリスム様式の時代。偉大なる芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロまでのルネサンス時代(一般にです。ヴァザーリによると、第3のマニエラ)ベルニーニやカラヴァッジョなどのバロック様式の間に挟まれて、あまり目立たない時代でもあります。それが近年かなり光を当てられるようになって、同じストロッツィ宮殿でブロンズィーノ展、ポントルモとロッソ展が開催され、これらの芸術家の名もようやく知られるようにはなってきていました。

そして今回はマニエリスム3回目の展示!という訳ではないです。私にとっても新鮮な切り口で魅せてくれます。

 

・・・・という追記でした。この展示はもう終了しています。・・・・