フィレンツェ大聖堂(ドゥオーモ) Duomo di Firenze

フィレンツェ大聖堂
フィレンツェ大聖堂

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂 Cattedrale di S.Maria del Fiore

イタリアの街の中心となる教会のことを”ドゥオーモ“と言います。 フィレンツェのドゥオーモは”大司教座“でもありますので大聖堂
その名称が『サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂』です。

教会の呼び方は色々あってややこしいはこちらにまとめました。→大聖堂orカテドラルorチャペルor聖堂… 用語集

フィレンツェの大聖堂関連の建物には大きく以下のものがあります。

  • サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂 + 地下遺跡 サンタ・レパラータ教会
  • サン・ジョヴァンニ洗礼堂
  • ジョットの鐘楼
  • ブルネッレスキのクーポラ
  • 大聖堂美術館

この内、大聖堂内のみ無料で入れますが、その他(地下遺跡も含む)は以下のチケットが必要になります。
下記の入場チケットの項をご覧ください。公式サイトより購入可能。
フィレンツェカードは使えません。

もくじ

-サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のなりたち

花の聖母マリア(サンタ・マリア・デル・フィオーレ)に封建するフィレンツェの大聖堂は、1296年に竣工のゴシック様式。

建築家で彫刻家であるアルノルフォ・ディ・カンビオの設計。彼は他にもフィレンツェでヴェッキオ宮殿サンタ・クローチェ教会の設計もしています。

フィレンツェ近郊で採掘される三色の大理石(緑は蛇紋岩)が外壁全てを覆います。それぞれがキリスト教の神学徳(信仰・慈愛・希望)を表します。

外壁が華やかなのとはうって変わって、内部は意外とシンプル。これはマリア様の婚姻を表し、婚姻の華やかさと慎ましやかな内面を建物全体で表します。

フィレンツェ大聖堂

フィレンツェ大聖堂ファサード - エミリオ・デ・ファブリス

現在見られる正面のファサードは、大聖堂の中では一番新しく19世期終わりにエミリオ・デ・ファブリスが設計。

フィレンツェ大聖堂 内部

外観よりもシンプルな内部。イタリアのゴシック様式の特徴で、過度に高さを強調しません。縦のラインだけでなく、アーチの上の横のラインなど、上への上昇する目線を止める要素がいくつもあります。そしてこの後ルネサンス様式に移行してゆきます。

フィレンツェ大聖堂内部 ドゥオーモ
バンディーニのピエタ ミケランジェロ

バンディーニのピエタ - ミケランジェロ

ミケランジェロが自身の墓の為に製作していましたが、未完のまま1555年に放棄した上、自らの手で破壊してしまいました。その後助手のティベーリオ・カルカーンニが手を加え、フランチェスコ・バンティーニの手に渡ったので”バンディーニのピエタ”と呼ばれます。一番上にいる人物ニコデモはミケランジェロの自刻像です。1933年から大聖堂内に飾られていましたが現在は大聖堂美術館蔵。

バラ窓のステンドグラス - ロレンツォ・ギベルティ

大聖堂正面の大きな丸いバラ窓を飾るステンドグラスです。ギベルティの下絵をもとに製作されました。
(この写真は2015年に修復が終わった後、洗礼堂の中に展示されていた時のものです)

フィレンツェ大聖堂 ばら窓
パオロ・ウッチェッロ 時計

時計 - パオロ・ウッチェッロ

1が下にある反時計回りの24時間です。日没の時間が0時になりますので、指し示す時刻は季節によって変わります。遠近法を使って四隅の人物が丸い枠の中から飛び出ているように描いたのはルネサンスの画家パオロ・ウッチェッロ。

聖具室

1478年のパッツィ家の陰謀でロレンツォ・デ・メディチが逃げ込み危うく難を逃れた場所。後にこの事件に関わった者は全て静粛されました。ロレンツォを殴ったと記録のあるベルナルド・バンディーニ・バロンチェッリは、現在のバルジェッロ美術館にその遺体が晒されました。レオナルド・ダ・ヴィンチがそのデッサンを描いています。木製の象嵌パネルはアレッソ・バルドヴィネッティ、アントーニオ・デル・ポッライオーロらのデザイン。(この場所の見学はツアーで可能)

大聖堂聖具室
フィレンツェ大聖堂  テラス

フィレンツェ大聖堂 テラス

大聖堂外壁の上のテラスに登れます。
(一般コースには含まれません。ツアーで可能。)

サンタ・レパラータ教会(大聖堂地下)Chiesa di S.Reparata – Cripta

現在の花の聖母マリア大聖堂が建てられる前に使われていた旧大聖堂、大聖堂の地下にその遺跡が今でもあります。

サンタ・レパラータ教会は複数回増築や改築がなされている為、一見分かりにくいのですが、
大まかに地面を下に掘り進めれば進むほど古い時代のものになります。

古い順に下から、ローマ時代、初期キリスト教時代、中世前期、ロマネスク期、になります。
順路最初の方にプロジェクターで各時代の復元図などを3Dで映し出しているので、それを見てから奥へ行くのがおすすめです。

入り口は大聖堂の内部、右身廊にある階段を下りて右側。
全ての種類の入場パスで入れます。

サンタ・レパラータ教会 フィレンツェ大聖堂

サンタ・レパラータ教会内部

奥に階段が見えます。サンタ・レパラータ教会は主祭壇側がクリプタとの二重構造になっていた時代のものです。

サンタ・レパラータ教会 床のモザイク 孔雀

このモザイクはアフリカからやってきた職人が制作しています。孔雀は不死を表します。

サンタ・レパラータ教会
フィリッポ・ブルネッレスキの墓

フィリッポ・ブルネッレスキの墓

サンタ・レパラータ教会へ行く階段を下りて、左側の奥にブルネッレスキの墓があります。クーポラを設計した事で知られる偉大な芸術家。
ここにはブックショップもあり、無料で入れます。

サン・ジョヴァンニ洗礼堂 Battistero di S.Giovanni

フィレンツェの守護聖人、サン・ジョヴァンニ(洗礼者ヨハネ)の名前の洗礼堂。

北南東に一つずつ扉があり、中でも有名なのはロレンツォ・ギベルティによる”天国の門”です。

3つの門のオリジナルは大聖堂美術館内にあり、屋外のものは全て精巧に作られたレプリカです。

内部の天井一面の金色のモザイク、床の大理石のモザイクはとても美しく、必見。

入場パスはどのタイプのものでも洗礼堂に入れます。

サンジョヴァンニ洗礼堂

サン・ジョヴァンニ洗礼堂 外観

フィレンツェ大聖堂関連の建物で一番古くロマネスク様式です。理性的な幾何学模様は、ルネサンスのデザインに大きな影響を与えました。

洗礼堂内部 黄金のモザイク

コッポ・ディ・マルコヴァルドからジョット派の下絵にしたモザイクです。きらきらと黄金がどの角度からでも輝きます。このモザイクの高解像度の写真がwikipediaに!肉眼では分からない細部も観察できます。

洗礼堂 金のモザイク
洗礼堂 床モザイク

床モザイク

上ばかりでなく下を見ると、そこには大理石のモザイク。ミケランジェロ広場近くのサン・ミニアート・アル・モンテ教会の床モザイク(こちらも美!!)と同時期のものです。

洗礼堂天井モザイク スカルセッラ

八角形の洗礼堂の西側に出っ張った部分があり、そこをスカルセッラと呼びます。語源はフィレンツェの古い言葉で”かばん“です。かばんの形からきているのだそうで。この部分もやはり美しいモザイクで覆われています。

洗礼堂 スカルセッラ
対立教皇ヨハネ23世の霊廟

対立教皇ジョヴァンニ(ヨハネ)23世の霊廟 - ドナテッロ/ミケロッツォ

ドナテッロとミケロッツォ共作、ルネサンス様式の霊廟です。対立教皇ジョヴァンニ23世の俗名はバルダッサッレ・コッサ、聖職者のイメージとはかけ離れたような人物でした。聖ヨハネの指(聖遺物)を寄付することで、この洗礼堂に墓を持つ事を許されました。

天国の門 - ロレンツォ・ギベルティ

写真は復活祭の朝のもので、普段は閉じている扉が開いていて洗礼堂の中が少し見えます。この日は大聖堂の中央の扉も開かれ、作り物の白鳩を飛ばして一年の吉凶を占うスコッピオ・デル・カッロ(リンクから動画が観れます)という伝統的なお祭りがあります。レリーフのオリジナルは大聖堂美術館に保存されています。この複製品は日本企業の寄付で制作されました。

天国の門 洗礼堂

ジョットの鐘楼 Campanile di Giotto

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の右横に位置する鐘楼、画家として有名なジョットの設計から始まっているのでジョットの鐘楼と呼ばれています。1359年の完成。

エレベーターはなく414段の階段。
チケットの種類は、ジョットパスかブルネッレスキパス。ギベルティパスは不可。

ジョットの鐘楼

ジョットの鐘楼 建築の変遷

フィレンツェ大聖堂の建築には時間がかかっているので、設計の担当は何人もいる中で、その1人がジョット。彼は画家としての方が有名でウフィツィ美術館などに絵画作品があります。
このジョットは本来任されたはずの大聖堂ではなく、鐘楼の設計を手がけました。
しかし、完成を見る事なく亡くなってしまい、その後に別の建築家アンドレーア・ピザーノ、フランチェスコ・タレンティが続いてよやく1359年に完成。
ジョットの最初の計画ではもっと高く、先は尖った、よりゴシック的なデザインでしたが、基礎の構造が良くなかったり政治的な配慮があり、現在の姿になっています。
最初の建築家の名前にちなんで、”ジョットの鐘楼“と呼ばれます。

“ズッコーネ”預言者アバクク - ドナテッロ

ドナテッロはそのあたりを歩いているような普通の人の姿で、リアルに預言者アバクク(ハバククとも)を表現します。髪の毛はほぼなしの頭なので、フィレンツェ人からズッコーネ(大きなカボチャ/”でくの坊”という意味にも)と呼ばれる様になりました。鐘楼にある彫刻、レリーフは現在全てレプリカに置き換えられいます。オリジナルは大聖堂美術館に展示され、近い距離から鑑賞できます。/大聖堂美術館蔵

ドナテッロ ズッコーネ
ジョットの鐘楼 クーポラより

ジョットの鐘楼 クーポラからの眺め

ジョットの鐘楼の上部がよく見えるのはクーポラから。このようにフィレンツェの街と共に綺麗に見えます。鐘楼は一番てっぺんまで登る事が可能。風がかなり通る場所なので、人や物が飛んでしまわない様に金網で全面覆われています。写真は金網の穴からどうぞ。

ブルネッレスキのクーポラ(ドーム)Cupola di Brunelleschi

フィレンツェ大聖堂の主祭壇の上に位置するこのクーポラは、現在でも石造りとしては世界最大、フィリッポ・ブルネッレスキによる設計です。

1296年のサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の建築の開始後、他の都市の大聖堂に負けない大きさにする為1300年代に設計変更、クーポラも当時としては実現不可能な巨大な計画になってしまいました。
ですのでで、ブルネッレスキ登場までしばらく屋根なし。

フィリッポ・ブルネッレスキは、木の枠組みを使わない自立式の工法を編み出し、新たな技術をいくつも使ってこの大きなクーポラを造りあげる事に成功しています。

クーポラを登っていく最中、上の方に行けば行くほど壁の傾斜が強くなってゆくので、その特殊な工法を体験する事ができます。
ただ、建築方法について詳しい事は謎の部分もあり、今でも研究が続けられています。マッシモ・リッチ氏の研究が有名です。

興味深い複雑な研究は置いておいても、クーポラの上からは絶景が望めますので、時間と体力が許せば、是非訪れていただきたい場所です。(エレベーターなしの463段の階段)
ヴァティカンにあるサン・ピエトロ大聖堂のクーポラはこのフィレンツェのクーポラをモデルにしたミケランジェロの設計です。

クーポラに登ることができるチケットの種類はブルネッレスキパスのみ。混雑期は1カ月前には売り切れます。

クーポラ ジョットの鐘楼より

クーポラの眺め - ジョットの鐘楼より

ジョットの鐘楼から眺めるクーポラは迫力があります。物好きな方はアウトラインにご注目ください。ルネサンス様式を特徴づける建築のエレメントは丸いかまぼこ型アーチですが、ここでは強度を高める為に尖塔アーチ(先が少しとんがった形)が採用されています。

クーポラに登る階段

ここは頂上近く。階段の幅もせまく急なので足下にご注意。あとちょっとで素晴らしい景色が楽しめます。

クーポラに登る 急な階段
クーポラ ヴァザーリ ズッカリ

クーポラの内側 ジョルジョ・ヴァザーリ/フェデリーコ・ズッカリ

当初はモザイクで装飾が施される予定でしたが、メディチのコジモ一世の時代にジョルジョ・ヴァザーリに絵を描くように任されました。しかし両者ともに1574年に亡くなり、その後の製作をしたのはフェデリーコ・ズッカリです。クーポを上り下りする際にこの内側の絵を間近から観る事ができます。地上から眺めた時との違いを見比べてみてください。

クーポラの内側

近くから観たクーポラの内側の壁画。

クーポラの内側 

大聖堂美術館 Museo del Duomo

大聖堂付属の美術館。

ミケランジェロの晩年のテーマ ピエタの一つ(バンディーニのピエタ)、ドナッテッロのマグダラのマリア、ギベルティの天国の門のオリジナルなど、多くの大聖堂関連のオリジナル作品が収めれれています。
アルノルフォのデザインした(1500年代まで存在)ファサードの実物大のレプリカなど、見応えあります。

屋上テラスからは特別な角度からのクーポラを望めます。

全てのタイプのパスで入場可能。

フィレンツェ大聖堂 美術館

アルノルフォのファサード 原寸大レプリカ

大きいホールに大聖堂の顔であるファサードの実物大再現レプリカがあります。アルノルフォ・ディ・カンビオのデザイン。ゴシック様式ですが、その時代としては大変めずらしい革新的な彫刻作品を多用したデザインです。財政の問題やペストの流行などにより未完のままに終わり、大公フランチェスコ一世の時代に取り壊されました。

荘厳の聖母子像 - アルノルフォ・ディ・カンビオ

建築家としてよく知られているアルノルフォが製作した彫刻。大理石彫刻で、目の部分にガラスが使われています。ファサード中央の扉上部に飾られていたものです。実物大レプリカの中に展示されています。

フィレンツェ大聖堂 美術館
フィリッポ・ブルネッレスキのデスマスク

フィリッポ・ブルネッレスキのデスマスク

お墓は大聖堂地下にありますが、こちらのデスマスクは大聖堂美術館にあります。本物です。

聖歌壇 - ドナテッロ

もともと大聖堂内にあった聖歌隊が歌う時の席。同じ部屋の向かい側には、ルーカ・デッラ・ロッビアが製作したもうひとつの聖歌壇があります。二つを見比べてみると、ルーカの作品は一枚一枚のレリーフが精巧にリアルに作り込まれているのに大して、こちらのドナテッロの作品はこの高さと距離で見られる事を意識した、動きと表現に強弱のある表現です。素材もモザイク部分にガラスを使うなど、光が反射することも計算されています。

ドナテッロ 聖歌壇
ドナテッロ マグダラのマリア

マグダラのマリア - ドナテッロ

もともとは洗礼堂にあった作品です。余分な肉がそげ落とされた彼女の体を衣のように覆っているのは自身の髪の毛です。ドナテッロの代表作のひとつ。

天国の門(部分) - ロレンツォ・ギベルティ

サンジョヴァンニ礼拝堂の扉を飾るパネル。こちらは大聖堂美術館に収蔵されたオリジナル作品。修復を終えて美しい姿を取り戻しています。手前は非常に立体的、背景は絵画的に表現されています。全体に奥行きのある空間が表現されています。

天国の門(部分) - ロレンツォ・ギベルティ

フィレンツェ大聖堂 インフォメーション

-所在地

Piazza del Duomo, Firenze

-公開時間

宗教行事等で時間に臨時に時間は変更になる事があります。
公式ページにて日にちを指定してご確認ください。

-入場チケット(パス)

  • Ghiberti Pass ギベルティパス   /洗礼堂,大聖堂美術館,サンタレパラータ教会に入場可
  • Giotto Pass ジョットパス   /上記 + ジョットの鐘楼
  • Brunelleschi Pass ブルネッレスキパス   /クーポラを含む上記全ての箇所

フィレンツェカードは使えません。

-所要時間目安

  • 大聖堂         約15〜30分
  • サンタ・レパラータ教会 約10〜20分
  • 洗礼堂         約5〜15分
  • クーポラ        約1時間
  • ジョットの鐘楼     約40分〜1時間
  • 大聖堂美術館      約1〜1.5時間

-フィレンツェ大聖堂OPAオフィシャルページ

OPERA DI SANTA MARIA DEL FIORE

-教会としてのオフィシャルページ(宗教行事や大司教などの紹介)

Il Duomo di Firenze, Cattedrale di Santa Maria Novella

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